- 『桜並木で笑ってみよう?』 作者:魚 / 未分類 未分類
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「たとえばさ。」
「あ?」
「私が死んだとします。さぁ、どうする?」
貴方と出会って今日で丁度3年目、公園の桜並木。
私は足を止め、隣で一緒に歩いていた貴方に問いかけた。
「は? 俺は泣かねーよ。」
「……知ってるわよ。ばーか。」
「(馬鹿って……怒) じゃ、お前はそんな質問をして俺に何て言わせたいんだよ?」
「どうするかなーって思っただけ。」
一瞬沈黙の後、私はまた前を見て歩き出す。
へーんだ。もういいや、アイツ良い答えを期待した私がバカだったわ。
「別にどうも思わないとは言ってないぜ?」
私に少し遅れてアイツも歩き出す。
「……分かってる。」
「だってお前俺の彼女じゃん。」
「でも泣かないんでしょ?」
「だって俺泣かない人間だし。」
「いっつもそうだよねっ君は!」
目の前に散っている桜の花びらに向かって私が叫ぶと「笑ってても悲しんでるよ。お前なら分かるだろ?」と言いながら早歩きで彼は私の手を掴む。
「……君は感情を表すのが下手すぎだから、私でもたまに分かんなくなるんだよ?君のことが。」
「お前は感情を表すのが露骨過ぎ、あんまり激しすぎてたまに俺も分からなくなるぜ?お前のことが。」
そう言うと彼は「俺が手を握っただけで機嫌よくなっただろ」とでも言いたいような目で握る手に力を込めた。
私はゆっくりと頷き、早くしていた歩調を彼に合わす。
私は彼を見て歩く、彼は前を見て歩く。桜の花が綺麗。
「桜が綺麗だなー」
「そんなこと思ってないくせに。」
「ははっばれたか。」
アイツの、彼の、君の、貴方の、はにかむ様な、嘘の様な、泣いてる様な、笑顔が大好き。
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「たとえばさ、私が死んだとします。さぁ、どうする?」
貴方と出会って今日で丁度5年目、公園の桜並木。
私は足を止め、一昨年の様に問いかけた。
桜の花びらが散っていく中、私は泣いていなかった、むしろ笑ってる。
「笑ってても悲しんでるよ」って貴方が私に言ったことやっと少し分かったわ。
でも
君がもう側に居ないんじゃ意味がない。
アイツの、彼の、君の、貴方の、はにかむ様な、嘘の様な、泣いてる様な、笑顔が大好き、です。
「バーカ。知ってるよ」と貴方の声が聞こえた気がした。
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2004/03/25(Thu)19:58:28 公開 / 魚
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■作者からのメッセージ
初めまして。魚と申します。ここにはたくさん素敵な小説があって大好きです。
短くて読みにくい作品ですかね?実話を元にしてるのでサクサク書けました。固有名詞を出さない方が好きなんですけど、どうでしょうか?
読んで下さりありがとうございました。