- 『運命の剣 「第一部」完』 作者:ニラ / 未分類 未分類
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全角13096文字
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<<<<<序章>>>>>
…この世界は、神によって七つの聖なる国・六つの地下の国に分けられた世界である。しかし、その分け方によって、聖なる国と地下の国の大戦争が起こった。それに困った神は、聖なる国と地下の国を、ある一つの扉で閉ざしてしまい、二つの国は、もう2度と会う事も、争う事も無くなった。しかし、それから100年後、その扉(ジャッジメントホール)を開けようとする者が現れ、この世界をまた、争いの絶えない世界にしようとした。その時、一人の剣士が、その者と対等に戦える剣(ディスティニーブレード)を手にし、その者を、200年間石版に封じた。それと共に、運命の剣も、7つに分かれ、聖なる国のどこかへと消えてしまった。
−−−−−−−−−第一章「運命と旅立ち」−−−−−−−−−
……ここは、聖なる国の一つ、「ディスティニーズ」ここには、運命の剣の核の部分が、保管され、いつ扉を開けようとする者が現れても、大丈夫な状態であった。しかし、その事もある一大ニュースで国は一変した。それは、「扉を開けようとした者『クロウディス』が復活したと言う事だった。王はそれを聞き、国中の者を集め、勇気ある者に、剣を与え、邪悪なる者の討伐を命じた。そこには、国中の猛者が集まった。そして、それを見ている一人の赤い髪で黒い剣士団の服を着た男の子がいた。
「ひょええ〜すげ〜な!国中の猛者達が集まってら〜」
男の名前は「クロフレス」国の中では最小年齢で、剣の達人だ。しかし、年齢のこともあり、剣に選ばれし者を探す会式には出れなかった。
{そうだ!こっそり忍び込んで、その伝説の剣とやらを見てやろう!}
クロフレスは、城の影にある穴から、こっそりと忍び込んだ。
{こっそりこっそり!たしか、地下室だったな・・取るわけじゃないし、いいだろ}
そう言って、クロフレスはゆっくり地下室の扉を開けた。その先には、眩い光を放つ、一つの剣が台座に刺さっていた。
「これが・…運命の剣…すごい光だ・・」
気がつくと、クロフレスは運命の剣の柄を持ち、剣を引き抜こうとしていた。その瞬間、城の兵隊がクロフレスを引き止めた。
「おい!クロフレス!何をしている!今回ばかりは王のところへ連れて行くぞ!」
そう言われ、クロフレスは兵士に引っ張られ、王の元へ連れて行かれた。
「王様!気がついたら侵入していました!」
しかし、それを聞いても、王は笑いながら言った。
「まあよい!運命の剣は、選ばれた者だけに発光し、世界の運命をたくすのじゃ!クロフレス、お前も誰が選ばれるか見ているが良い・・」
クロフレスはチェっと舌を鳴らし、王の隣に座った。そして、戦士たちの前に剣が持ってこられた。その時!剣は眩い光を発し始めた!
「王様!」兵士が慌ててそう言うと、王は、ゆっくりと皆に言い放った。
「皆の者!この中に選ばれし者がいるというお告げじゃ!一人ずつ並んで!確かめろ」
戦士たちは、剣の前に並ぶと、柄を持って、引っ張ったり、左右にずらそうとして、剣を必死に引き抜こうとした。しかし、4時間たっても、戦士の誰一人も抜くことが出来る者は一向に出ない。そして、とうとう最後の一人となった。
・・…みんなの予想通りだった。誰一人剣を抜く者は出なかった。しかし、剣はずっと光ったままだ。
「なぜだ!なぜ一人もおらん!こうして光っていると言うのに!」
そう言った瞬間、みんなが「あっ」と言ってクロフレスのほうを向いた。
{まさか!…いや、しかし意外に…}
王はクロフレスに向かって言った「やって見よ!」と。そうして、クロフレスがゆっくりと近づくと、また、さっきとは大幅に違う光が出た。そして、クロフレスは剣をゆっくり引き抜いた。その瞬間!剣から出ている光が集まって、一人の人物が現れた。
「長かった…・ようやくこの剣を使うときが来たのだな・・」
剣から出てきた人がそう言うと、王様は、ひざまずき話し始めた。
「そうなのです!遂にあの邪悪剣士『ルドア』が目覚めたのです!そして、それを阻止する為に選ばれた者が彼です!」
王は、クロフレスを指差した。そこへ、人は、近づいていった。
「君か・…運命の剣を手に取ったのは…そこまでするのだからよほど強いのだろう…
では、これからテストをさせてもらう」
そうして、彼が手をやると、そこから魔物が現れた。クロフレスは剣を構え、相手の出方を待った。すると、魔物はクロフレスに飛びつき、爪で引っ掻いた。クロフレスは避ける暇も無く、肩に深い傷を負った。
{油断してた!こいつらの攻撃を食らうとやばい!先手必勝でいくぞ!}
クロフレスは相手の方へ突っ込み、下から相手を切り上げた。そして、相手が怯んだ時を見計い、三連撃を叩きこんだ。しかし、相手は最後の攻撃を防いだので、仕留めるまでは行かなかった。そしてまた剣を構え走っていくと、魔物が手を翳し、言葉を発した。
≪ヒート≫と唱えた後、魔物の手から炎がほとばしり、クロフレスの右足に火傷を負わせた。しかし、クロフレスは怯むことなく、魔物の背後に近づき、上からの攻撃で相手を一刀両断した。すると、彼はパチパチっと拍手をした。
「お見事!始めてでここまでやるなんて…いいだろう、君に運命の剣を授けよう!」
クロフレスは、それを聞いた後、男に質問した。
「だけど、これから何をすればいいんですか?」
それを聞いた彼は、説明を始めた。
「まず、その剣はまだ未完成で、7つの内の一つなんだ・・だから、あと6つの部分を見つけ出せば、それで邪悪剣士を倒す可能性ができる完全体の剣に生まれ変わる。だから、あと6つの国に行き、6つの武具を探し出すのだ!集まるまで、また暫くの眠りにつくとしよう…では!また会おう!」
説明が終わると、彼は、消え去った。それを聞いた後、王が話掛けて来た。
「クロフレス、分かったかな?世界はお前の手にかかっている!私達も、君の旅支度を手伝うとしよう!では、明日行く前に来るのじゃ!」
そう言うと、王は城へと戻っていった。クロフレスの中では、すでにやろうと言う炎が燃え滾っていた。
・・…次の日・・…
クロフレスが旅支度を整え、城へ行くと、そこには色々な荷物がおかれていた。
「来たか!これから君に役に立つ物を授けよう!まず防具だ!これを身に付けておくといいだろう。そして、旅には欠かせない金貨じゃ!2年は持つじゃろう。では!生きてかえってくることを祈る!」
そうして、クロフレスは国中の人たちに見送られ、旅立った。
−−−−−−−−−第ニ章「国と呪術士」−−−−−−−−−
そうして、国を旅だったクロフレスは・・・・…魔物に襲われていた。
「うわあああ!国境越えた瞬間これだもんな!モンスターも何か分からないし!魔物学やっとくんだった!」
そう言いながらも、何とか運命の剣のおかげで、攻撃は防いでいるものの、防戦一方だった。
{くそっ数が多すぎる!呪力があれば全体に攻撃できるんだけど!}
そう考えながら、剣を構えていると、魔物が痺れを切らして攻撃を始めた
「やっと来たか!こいよ!八つ裂きにしてやるぜ!」
敵は約20体。剣士にとって、これほど辛い数はなかった。四方八方から飛んでくる敵を、何度も切りつけながら戦うクロフレスだが、疲れを感じ始め、だんだんと動きが鈍ってきた。そこを狙われ、魔物が全てクロフレスに飛びかかった。クロフレスが攻撃を食らうか食らわないかの瞬間に、魔物が爆発し、全ての魔物が地面に倒れこんだ。すると、青の髪で、魔術師のローブを着た男の子が現れ、クロフレスの前に立った。
「あんた!ここは僕に任せて!早く逃げて!」
彼はそう言うと、生き残っている魔物に向かって、何か唱え始めた。
「〜〜〜〜〜〜たまえ・…『バース』」
彼がそう唱えると、魔物の上に、小さい隕石が降って来て、魔物を押しつぶした。それに怖気づいた魔物達は、一目散に逃げていった。
「大丈夫でしたか?ここは魔物が良く出て、国でも手におえない場所なんです。今日はたまたま僕が見回りに来てたから良いものの、来て無かったら、即御陀仏でしたよ・・」
彼はそう言うと、クロフレスに手を差し伸べた。
「僕の国で一旦休んでください!治療をしたほうが良いですよ!」
彼がそう言うので、「分かった」と言い、クロフレスは彼に付いて行った。しかし二人は後ろに何かがいることに、全く気づいていなかった。
・……城……
城につくと、一番に国王が出迎えてくれた。
「よく来てくれたな・・旅人よ!ここまで来るのは大変だったろうに…」
王はクロフレスを部屋に連れて行こうとした時、クロフレスは重要な事を言った。
「あの!お…俺、向こうの国の王様から手紙を預かってるんです!」
それを聞いて、王は尋ねた。
「それを君は見たのかい?」
クロフレスは首を振った。すると、王はクロフレスから手紙を貰い、読んで見た。そして、王は驚愕の眼差しでクロフレスを見た。
「君が・…運命の剣の継承者なのかい!?」
それを言った瞬間、皆が驚愕した。中には、「このちっちぇえ子が!?」と言っているやつもいる。
「・…はい・…そのためにこの国に来ました。」
「武具を探しにかい?」
クロフレスは頷いた。しかし、王は肩を落としながらクロフレスに言った。
「すまない…武具の継承者がまだ見つかっていないんだ…暫くこの国で待っていてくれないか?」
王が言ったので、クロフレスは、小さい声で、「分かりました…」と言って、城を後にした。
・・…城下町・・…
城下町には、クロフレスの国には無かった店がいっぱい並んでいた。「酒場」「調合屋」と、クロフレスは片っ端から回った。そして、気がつくともうすぐに旅が出来るほど荷物がパンパンになっていた。そして、その夜は、一番安い宿に泊まることにした。ベッドに入ったクロフレスは、うつ伏せになって考えていた。
{なぜ運命の剣は七つに分けられたのだろう?聖なる世界にあるってことは、地下の世界って所にも剣があるって事だよな…どうなんだろう…}
そう考えているうちに、クロフレスは、寝てしまった。
・・…そこには一体のおのを持った魔物が立っていた。そして、そこに一人の金髪で目も覚めるような青いマンとをつけた男がいる。
「良くここまで来たな…お前達は良い餌になりそうだ・・しねぇ!」
魔物が突っ込んでくると、一人の剣を持った男が構え、一振りした。すると、雷が響き渡り、ボスクラスの魔物を瞬殺した。
「お前にこの宿命の剣を使ってやったんだ・・本望だと思え・・」
男は、剣をしまい、その先にある森へと消えていった。・…ここは何処なのか、彼らは誰なのかは・・…
「そのうち分かる事である筈だ」・・…
クロフレスは、気分が悪くなり、いつもより早く目覚めた。クロフレスは、見た夢を憶えていた。謎の剣士・宿命の剣・魔物・後ろのドア・・…どれも鮮明に脳に焼き付けられていた。彼がベッドから降りると、外が騒がしいのに気づく、窓から覗いて見た。そこには、夢に出てきた魔物が現れているのだ。
「ええ!?あれは夢じゃ・…」
驚いていると、兵隊が息を切らしてやってきて、クロフレスに応戦をお願いした。
クロフレスが行くと、そこには無数の死体が転がっていた。
「ひでぇ・・…これが魔物のすることかよ…」
そして、上を見上げると、魔物が急降下してきた。
「あぶない!みんな!避けろ!」
しかしそう言った時、一人の男の子が泣いていて、こっちへ来るのが見えた。「チィ!」舌を鳴らしてクロフレスは男の子を抱きかかえた。しかし、避けるのが間に合わず、攻撃を食らいそうになった。その時!何処からか火柱が飛んでいき、魔物に当った。それをやったのは、あの時の男の子だった。
「大丈夫!まってて今魔物の正体を調べるから!」
そう言うと、彼は兜のような物を取りだし、かぶって魔物を見始めた。
「敵は『ダスト』暗闇系弱小の魔物だ・・弱点は打撃と氷か…クロフレスさん!打撃行けますか!」
クロフレスは立ちあがり、「平気だ!」と言った。
「・・…あれ?俺、お前に名前言ったっけ?」
クロフレスがそう聞くと、彼は微笑して返事した。
「一緒に冒険する人の名前は憶えなきゃいけませんからね…」
彼はそう言うと、魔物に向かって呪力を使い始めた。
「悪しき彼らに凍てつく制裁を与えたまえ・・≪リバー≫」
すると、彼の手から氷が発射され、魔物を貫いた。
「今です!クロフレスさん!打撃を!」
クロフレスは走って、剣を槍のように構えた。そして空中に飛び立ち、魔物の腹部を貫通させた。
「剣術![空覇貫槍牙]!」
クロフレスの攻撃によって、魔物は地に落ちた。しかし、倒すまでは行かないで、魔物は声をあげて、何処かへよろめきながら飛び去っていった。
「倒しましたね…」
クロフレスは頷き、手を出した。
「これから世話になるぜ!え〜っと・・・・」
「レルトです!」
クロフレスはそして、握手をした。こうして、二つ目の「運命の兜」をゲットした
−−−−−−−−−第三章「突然の襲来と弓使い」−−−−−−−−−
朝起きるて、宿の下の部屋に行って見ると、机にレルトが座っていた。
「早いですね!今から起こそうと思ったんですが…」
クロフレスは頭を掻きながら、机に座った。
「・…そういえばレルト、次に行く国は何処なんだ?地図持ってないから分からないんだよ」
クロフレスが言うと、レルトは地図を取り出し、島を指していた。
「おい…ここ国じゃね〜ぞ?何でこんな所に…」
レルトは溜め息をつき、説明し始めた。
「知らないんですか?…ここは世界の貿易場所なんです。だからそこに行けば情報が得られるんです。」
「なるほどな…一応金はあるけど、問題は武具なんだよ。俺の防具は昨日の戦いでボロボロだぜ?」
それを聞いたレルトは、鼻をふふんっと鳴らした。そして、丈夫そうな防具を机に出した。
「その点は心配しないでください!王様に頼んで特注品を作ってもらいましたから・…その防具に全て呪力が込められているので、魔物の攻撃で壊れても、呪術で治せるすぐれものです!」
そしてクロフレスは早速装備した。
「動きやすくて気に入った!よっしゃ!じゃあ出発しよう!」
こうして、クロフレスとレルトは貿易の島「アルカドス」へ向かった。
「クロフレスさん、貿易の島に行くには、船で行けば簡単なのですが、途中モンスターが出る可能性がありますよ・・」
クロフレスはレルトの頭を撫でて、きっぱりと、こう言った。
「大丈夫だ!俺は剣士だ!大抵の魔物はへっちゃらさ!」
こうして、二人は船に乗りこんだ。しかし、途中魔物が出てくることは無かった。その時、船長が言った「やばいな・・・」と言う言葉が頭に残った。
・・…アルカドス・……
ここにあるのは村と、貿易用の館だけ、後は草原の平和な国だ。
「ひぇ〜〜こんなに沢山の人がいるとはな・・」
気がつくとレルトは色々な人に話をし始めていた。
「レルトって…商売上手かもな・・」
そうして、クロフレスがゆっくりしていると、女の子がクロフレスにぶつかって倒れた。
「大丈夫かい?お嬢ちゃん?」
そう言って手を差し伸べた瞬間、クロフレスの剣を鞘ごと持って行ってしまった。
「ぇ・…?お…追っかけなくちゃ!まてええええ!」
クロフレスは走って追い駆けて行った。
「クロフレスさ〜ん!良い情報が見つかりました!…ってあれ?クロフレスさん?」
レルトが戻ってきたときにはクロフレスの姿は無かった。
「はあっはあっはあっ一体何処行ったんだ?あの子?」
気がつくと裏路地に入ってしまっていた。その時、奥の方から何かがはじける音が聞こえた。なにかと思い、クロフレスは走ってそっちへ行って見た。すると、何度もクロフレスの剣を叩いて鉄にしようとしている者達がいた。
「やめろおおおおおお!」
クロフレスは大急ぎで、そこへ行き、剣を取り返した。
「何するんだよ!お前ら!」
そういうと、さっきの女の子が出てきた。
「ごめんなさい・・・」
「おい!リビ!これは貰ったんじゃないのか!」
クロフレスは、今の一言で・・…切れた…・
「ふざけるな!俺はこの剣でまた起きようとしている戦争を止めようとしてるんだ!」
その事を聞いて、そこにいる者達が「その事を教えてくれ…」と言った。クロフレスは説明した。
「なるほどな、世界でそんな事が起きてるなんてな・・」
「知らなかったのか?」
それを聞き、彼らは説明し始めた。
「いや…その戦争は知っている…そのせいでこんな所に住まなきゃならなくなったんだ・…俺らは戦争で、ここに閉じ込められた…表は活気づいてても、裏は行っちゃいけないんだ…」
クロフレスが「なんで?」と尋ねたとき!町の方から大きな音がしてきた。
「なんだ!」
・・…その頃レルト・・…
「なんだこいつ!僕の呪術が効かない!…とりあえず兜で確認だ!」
レルトは兜を着けて、魔物を見た。すると、信じられない情報が出た。
「海の…・・王・…ラルハトス・・だって?・・・」
しかし、それを見た後、レルトは焦りながらも、何度も呪術を海王に食らわせていた。{何故こんな所に海王が!?しかも雷の呪術が効かない!やばいぞこれは・・}
呪術を唱えていると、右から海王の腕が垂直にやって来た。レルトは呪術を唱えている最中なので、避ける事が出来ず、130キロは出てるような拳をまともに食らった。
「うわああ!」
レルトは右腕を抱えながら、壁を伝って立ちあがった。右腕は全く動かない状態で、呪術を唱えるのは難しかった。
「良かった…なんとか持ちこたえた…・『エルゼ』」
レルトがそう唱えると、レルトの腫れている腕は見る見るうちに治っていった。海王が始めて話をかけてきた。
「何故だ…我の攻撃を食らい、呪術は唱えられぬようになったはずだ・・」
レルトは海王を指差し、こう言い放った。
「僕は呪術戦闘団隊長だ!簡易呪術なら言うだけで平気なんだ!」
そう言うと、レルトは走って海王に近づき、海王の腕を指差し、呪術を唱えた。
「食らえ!(僕の中では)最高魔法!『ラルハート』!」
レルトが唱えると、間髪いれずに何発も雷が海王を貫いた。煙の立つ中、レルトは着地して、勝利を確信した。
その瞬間!
ドス!っという音がして、レルトが自分の体を見てみると、体にトライデントの槍がズブリと奥深くまで刺さっていた。
「・…これも…げほ!…効かないなんて…」
レルトは大量の血を吐きながら、もう一度槍に指を刺した。
「…食らえ…これが…最後の呪術だろう…『ダルク』」
レルトがそう言うと、槍がダンダン黒ずんでいくのだ。しかし海王は無表情で槍を捻った。レルトはまた大量の血を吐いて、気絶した。
「我の体には、呪武の衣と言う鎧があって呪術によるダメージを軽減するのだ。そして我は回復呪術を使い、まったく効いてないように見せかけた。お前がもっと持っていれば我も危なかっただろう。こいつは殺しておき、邪悪剣士の手に届かぬようにしておかなくてはならない。」
そう言うと、海王はレルトに向かって槍を構え、「覚悟!」と言って槍を振った。
・…そして、何かの弾ける音がした…・
……海王の槍がレルトに刺さる瞬間、海王の手に七発の矢が刺さっていた。それで、槍はレルトの右頬を掠る程度で済んだ。
「お前は…誰だ?…・なぜ邪魔をした…・」
そう言うと、木から、一人の銀色の髪で、ピンク色のジャージを纏った女性が降りてきた。
「彼が死んでしまうと、邪悪剣士を止められなくなるからよ・・」
海王は、その彼女に向かって槍を飛ばした。すると、彼女はするりと風のように避けて、矢を弓にかけた。
「貴方の弱点は雷らしいから、内部から攻める!」
そうすると、彼女の持っている矢が電気を帯びて、海王の心臓目掛けて、一直線に飛んだ。しかし、海王はそれを予知していたかのように、矢を避けて、何とか心臓に直撃は免れた。そして彼女の方を見ると、既にもう一本の矢が発せられている所だった。そして海王の左胸に、雷を帯びた矢が刺さったと同時に、海王はおぞましい悲鳴を上げた。
バヂバヂバヂィ!と目がつぶれるような光と、キ−ンとする音が海王から聞こえてくる。
「諦めぬぞ!お前も道ずれだぁ!」
海王は、彼女を掴もうとした。その時、空中から何かが海王の真上に落ちてきて、海王を一刀両断した。そう、クロフレスがやっと現場についたのだった。
「おのれぇ・・…我はまだ諦めぬ!あきらめてたまるものかぁぁぁ!」
海王は海へと沈んでいった。
「それにしてもすげえ呪術やったな!レルト!…・ってあれ?」
クロフレスはそこにいるのがレルトではないことに気がついた。
「こんにちは…核の持ち主さん私は「マユ」武器は「無限の弓」運命シリーズ(?)よ…これから同行させてもらうわね。」
クロフレスは苦笑いしながら「あ…ああ・・・」と答えた。そして、傷だらけのレルトを見て、慌てて宿へと向かった。
「・・…う!…ここは?」
レルトがそう答えると、クロフレスが「宿屋だ」と答えた。すると、レルトは、ばさっっと起きあがった。
「海王は!?やばい!あいつを倒さなきゃ!」
そして、近くで本を読んでいたマユが本をパタンと閉じ、レルトのほうに向き直ってこう言った。
「大丈夫、海王は倒したわ・・貴方はもう少しお眠り…まだ傷が癒えてないわ」
そうして、レルトに何か小声で言うと、パタンとレルトは眠りについた。
「それにしてもすごいな…君があの海王を倒してしまうなんて・・」
マユはクロフレスにこう言い返した。
「いいえ、倒したのは私だけじゃないわ…彼の呪術の連発と、兜の力のおかげだわ・・」
「でも、どうして海王の弱点の呪術が聞かなかったんだ?レルトの得意呪術は雷属性の呪術だぞ?」
彼女は説明を始めた。
「きっと、邪悪剣士は他の自然の神を僕に着けている筈、そして、海王にあのトライデントの槍を渡したの…トライデントの槍は、雷を地面に逃がす効果があるの・・だけど、それに加えて、海王の鎧も雷に強くしといたの…これで完璧と思っただろうけど、弓なら、内部に攻撃を与えられるから、逃がせなくなったわけ。」
それを聞いたクロフレスは、青ざめた。
「って事は、邪悪剣士を倒すには、あと三体の神を倒さなきゃいけないの!?」
マユは窓をあけながら、「そうなるわ」と言った。そして、マユはクロフレスに
向かって、手を出した。
「だから私達にも力があるわけ、これからは同行させてもらうわ。」
そうして、二人は、握手をした。そして、次なる地へ向かう準備を始めた。
−−−−−−−−−第四章「続く運命」−−−−−−−−−
クロフレスが朝起きると、やはりいつものようにレルトとマユが起きていた。
「あっクロフレスさん!やっと起きましたね、今起こしに行くとこだったんです」
クロフレスは、前にもこんなこと言われた気がしながらも、机に向かった。やはりいつもの様に、ご飯の上に卵焼きが乗っている。そして、3人で食べているが、無言なので、あまり食べている気がしなかった。ご飯を食べ終えると、クロフレスはゆっくりと立ちあがり、ドアに向かって行った。開けようとすると、レルトが忠告した。
「あっ開けちゃ・・…」
クロフレスがドアを開けた瞬間、冷たい風と、無数の雨水が顔にかかった。
「大丈夫ですか!」
「何でこうなってるの!?」
クロフレスは顔を拭きながら、レルトに向かって叫んだ。なぜか、マユが答えた。
「海王を倒したせいよ…海王が海を統一できないから荒れてるの・・」
「じゃあ旅立てないじゃん!」
「何言ってるの?この島の船はこの位の嵐じゃ壊れないわよ・・」
「何でそんな事知ってるの?やっぱり地元だから?」
するとマユは紙を取り出した。
「パンフ(パンフレット)に載ってたから」
二人は開いた口が閉まらなくなった…・・
「とにかく、出航準備整ってるから行くわよ!」
マユは二人を船に投げ飛ばした。クロフレスは鼻血を出しながらも、立ち上がって見た。妙に足元がぐらぐらしていて、上手く立てない。
「なんだっすごいぐらぐらしてるぞ!船ってこんなのなのか〜」
「ちょっと待ってください…乗った事…無かったんですか?」
クロフレスは「無い!!!」ハッキリ断言した。そこへ荷物を持ったマユが船に入ってきた。そして、船全体を見渡した。その後クロフレスを脚で蹴る!
「痛って〜!何すんだよ!」
クロフレスが文句を言っている時に、船がゴゴゴと動き始めた。
「・…どうやらやっと出航するようね…」
彼女はそう言い残し、船にあるドアを開けて行ってしまった。
「レルト〜…ちょっとマユって怖いな…」
「うん…僕もそう思う」
二人はドアの方を見てそう言った。
「そういや嵐止んだな…」
「クロフレス…これ・・…作者が今嵐だって事忘れてるからだよ…」
そうレルトがいった瞬間、また嵐が吹き始めた。
「うわ〜〜!早く船室に行こう!このままじゃ風邪引く!」
二人は急いで走りながら船の真中にある扉を開けて入った。
二人が入って2・3時間が過ぎても、嵐は止むことなく降り続いていた。クロフレスは、船室の中で、レルトと会話をし始めた。
「そういや次の目的地聞いてなかったな…何処なんだ?」
「この島から東に35キロ程行った所。そんなに遠くは無いよ。明日には着くよ」
「そういやあ・…俺達しばらく野宿だったな…ベッドで横になるのは久しぶりだ〜」
クロフレスは、気持ち良さそうにベッドに乗る。
「あっ!ちょっと待って!」
マユが言った。しかし、もう遅かった。ベッドの上に、窓があり、波が入ってきたのだ。もう気がついたときにはクロフレスはびしょびしょだった。
「うわ〜!…・今回…濡れまくりだ…」
マユは窓を閉めて、クロフレスの鎧を剥ぎ取り、イスに置いた。
「とりあえず、毛布かぶってなさい!風邪引くといけないから!」
「でも、やっぱり薬調合師とかいると頼もしいですね〜」
レルトが横から口を出して来た。
「そうね…薬無くちゃ毒食らったりした時危ないわね・・」
「へっくしゅ!!…まあ良いじゃん!後の四人の中にいる事を願おうぜ!」
そうして、その日は3人共床に着いた。
朝クロフレスが起きて見ると、かすかだが、暖かい何かに包まれている気がした。クロフレスが飛び起きて、急いで窓を開けて見ると、外は太陽が大きく出ていて、水面には自分の顔がうつるくらい晴々としていた。そして、クロフレスは二人がいない事に気が付いた。やはりいつもの様に作戦会議だろうと甲板に出て見ると、二人は釣りを楽しんでいた。
「ずるいじゃないか!二人だけで釣りなんて!」
クロフレスが二人に向かってそう言っても、二人はピクリともしない。おかしく思って、触って見ると、いつもの柔らかい感触ではなく、冷たく、堅い感じだった。
「何でだ…?一体…どうしたんだ?」
「石呪さ…」
後ろから声がし、クロフレスが振り向くと、夢で一度だけ出てきた男がいた。
「お前が運命の剣の持ち主か…お前を倒すのが俺の宿命でな…悪いがここで死んでもらう」
そう言うとイキナリその男は剣を引き抜き、クロフレスに飛びかかってきた。クロフレスも剣を引き抜こうとする。・…しかし、部屋に置きっぱなしなのを思い出す。仕方が無いので、すぐ近くにあった鉄の棒を持って構える。お互いの空気がピリピリとだんだんいたくなってくる。そして二人が動き出し、お互いに突っ込んでいった。そして、激しい小競り合いへと勝負は進んだ。お互い1歩も譲らず、力と力の戦いが始まった。
「ぐ…うううう!」
クロフレスは、時間が経つにつれて、だんだんとおされ始めた。それを見た男は、瞬時にクロフレスの剣を弾き、脇腹に向かって刃を振った。振りきったと同時に、クロフレスの腹から血が吹き出る。
{しまった!!!}
クロフレスは脇腹を抱えながら、その男から一旦離れる。しかし、離れる事はできず、すぐに男の剣がうなりを上げた。脇腹を切られ怯んでいるクロフレスは、避ける事も防御も出来ず、まともに食らってしまった。しかし、何処からも血は出ていなく、男はクロフレスの後方で構えているだけだ。
「…怒涛五星斬…」
彼がポツリとそういうと、クロフレスの目の前に星の形をした光の線が現れた。すると、次の瞬間! クロフレスの体中に刀傷が現れる。そして、その攻撃にクロフレスは右膝を付いて、剣で体を支えた状態になった。
{こいつ…強えぇ…何で…こんな力を?}
男は剣をしまいながら、こちらへ向かってきた。
「お前はまだまだだな…これなら俺が殺す必要もなさそうだ・・」
男は振りかえり、さっき現れた穴を開き、入ろうとした。
「待てよ…何で俺を殺さねぇんだ?」
男は振り向き、無気力な顔で、「やる気が無くなった」と言い返して、穴へ入っていった。
「おい!待て!」
クロフレスは立ち上がろうとするが、その瞬間に、足がガクンとして、身動きが取れなくなり、意識が遠退いて行った。
・…気がつくと、クロフレスはどこかのベッドにいた。船ではないらしく、揺れてはいない、そして、横を見ると、寝息を立てて寝ているレルトがいた。ずっと看病していてくれたらしい。クロフレスが立ちあがろうとすると、目の前を矢が通り過ぎた。そして発射された方向を見ると、マユがいた。
「右足骨折、相当な出血量、あばら骨4本、全治七週間・…全く・・一体何処でこんな怪我してきたの?」
マユは溜め息をついて冷たく言った。
「…毎晩夢に出てくる剣士がいるんだ…そして、船でそいつが現れたんだ…」
「石呪ね…」
マユはあたかも知っているかのように、言った。
「なんなんだ!?その『石呪』ってのは!」
クロフレスがマユに近づこうとすると、また矢が飛んできた。今度はクロフレスの右頬をかすめた。
「完治したかったら寝てなさい!・…石呪と言うのは、呪術の中でも、殺傷力の高い呪術なの本当の呪術名は『キルビ』って言って、相当な力の持ち主じゃなきゃ使えないわ・・まあ、あの男が使ったのは、まだ未完成だった見たいだけど」
それを聞いて、クロフレスは立とうとしたが、その瞬間、今度は下から火の玉が飛んできた。
「動いちゃったら傷治らないよ…」
それは寝言だとわかったが、次動いたら危なそうだと思い、クロフレスは頭に腕をつけ、ねっころがった。
「呪術はね、その者の精神力で力が決まるの、と言っても、瞑想とかをすれば、精神力は上がるわ・・でも、呪術を憶えるのはそれ以上に厳しいの・・レルトは普通に呪術使ってるけど、それまではつらかったはずよ・・」
クロフレスは寝ているレルトの方を見る。こんなに幸せそうな顔してるのに、それまでにそんな事があったなんて・・とクロフレスは思った。
「そして、その中でも、最も高度な呪術は、『キルビスケ』『ウィンガレス』『ラルクロス』『バースピア』『アイスレメント』そして、呪術の中で、最高の力『ビグバンズ』 それらの呪術を使うときに、自分の精神力以上だと、…自分が死ぬわ」
クロフレスはそれを聞いて、ゾクっとした。
「でも、良く考えると、なんで回復呪術使えるのに俺寝てなきゃならないの?」
「いや、あなたの傷は完治してるわ・・こうでも言わないと、あなたはその男を追いに行っちゃうと思ったから」
クロフレスはハハハと笑う・…
{普通そのためだけに矢を放たないだろ・・}
話が終わったときに、レルトが起きた。
「あ!クロフレスさん起きたんですね!」
「ああ、ありがとう」
クロフレスは、寝癖のついたレルトの頭をクシャっと撫でた。
「あ、そうそう言い忘れてた。明日この国で武装大会があるの」
「なんだ!初耳だぞ!」
「だって、1週間も寝てたから…」
「それも初耳だ!」
そう言う事で、クロフレスは大会に出る事になってしまった。
−−−−「武装大会会場」−−−−−
「さあ!やって参りました!武装大会!これからルールの説明をいたします!」
客席はもう満席で、興奮していた。
「ルールは簡単!どんなもので攻撃してもOK!そして、場外、または5カウントを取られたら負けです。チームは三人まで!では優勝賞品を発表します!」
観客席はしんとなり、光っている所を見た。
「優勝賞品は!賞金10000ガルディンと、2度振りの刃です!」
それを見た3人は、ひそひそと話を始める。
《おい、あれってもしかして・・》
《そうですね・・運命の武具が共鳴してますからあれです》
《じゃあ優勝しなきゃいけないようね…》
「じゃあ行きますか!」
「そうね!」
「がんばりましょう!」
3人は、決闘場へと控え室から向かった。この3人にはまだ使命が残っている。これをおわらさない限り、戦いは続くであろう・・…
「運命に導かれて…・」
第1部「完」
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2004/03/27(Sat)13:59:59 公開 / ニラ
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■作者からのメッセージ
なんか終わりました…でも、「第一部」なんで、そのうちまた二部始めるつもりです。
できたら、「第二部」も、読んで下さい!
この位の長さで、新規投稿やって言いのでしょうか?これについて、教えてください・・
PSこの世界のお金は、「ガルディン」で、1ガルディンにつき、日本円で約30円です