- 『WD』 作者:じゅん / 未分類 未分類
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全角1611文字
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原稿用紙約5.65枚
「もしもし?」
「……ガサ……ゴソ」
「もしもし、啓太?」
「……お…おぅ…」
「何してんの?」
「あ…ごめん、今忙しいから。またね」
ピィ…………ツーツーツーツー…………
「なによ!せっかく電話してあげたのに!!」
あたし、辻井さゆり。中学二年の14歳。
今電話した相手は、村瀬啓太。同じクラスの男子。
知り合ったのは去年の今ごろで、丁度一年になるかな。
啓太が、うちの隣に引っ越してきてからの付き合い。
あ!付き合いって言っても別に彼氏とかじゃないよ。
隣同士だし、暇してるかな?と思って電話してみただけ……。
ほんとは、ちょっと気になる男子なんだけどね。えへっ
少し前までは、部活終わってから一緒に帰ってきたり、電話で話したり……メールだって結構やったりしてたんだよ。
それなのに、三月に入ったらなんだかんだ言って話もしなくなっちゃったんだよね。
メールだって一、二回して終わっちゃう。
避けられてるのかなー? 嫌われちゃったかなー??
啓太ってクラスでも人気あるし、バレンタインの時も結構チョコ貰ったみたいだし……もしかして彼女出来たのかな?って思ったりもして……。
だって怪しいと思わない? 急に付き合い悪くなったんだよ。
普通そう思うよね……思うでしょ??
読んでくれた人だけに教えちゃうけど、それが今のあたしの『人生最大の悩み』なんだ。
それなのに、あいつはあたしの気持ちなんてちっとも考えてくれない……
あっ、言ってないからあいつがあたしの気持ちを知ってるわけないか。
あたし的には、この一年間、結構仲良くしてきたと思ってたのになぁー。
そうそう、聞いて聞いて!
初デートはね、隣町に映画を見に行ったんだ。
あの時は、マジにドキドキしっぱなしで映画の内容なんて全然わからなかったんだよね。
行きと帰りの電車に乗ってるときもね、隣に座っていったんだけど誰か知ってる友達にあったらどうしようって思ってたんだ。
って、誰にも会わなかったけどね。
あの日は、楽しかったけど、はっきりいって疲れた……。
はぁ……なんか、あいつのこと考えてたらブルーになってきた。
このまま寝よっと。「おやすみなさい」
「さゆり! 起きなさい! 遅れるわよ」
「はっ! やばい遅刻だ」
ドタドタ……
「いってきまぁす」
「おはよう、さゆ」
「あっ、啓太……おはよう」
「寝癖残ってるぞ」
「え?マジ?……ゴムでとめれば判らないよね。 これでどお?」
「あはは 色気ねぇな」
「なによ!どうせあたしはまだ子供よ……てか、朝からどうしたの?珍しいじゃない」
「ん? 一緒に学校行こうって思ったんだけど……」
啓太がうちの前で待ってたのはビックリしたけど、何気にうれしかったりして。
「なぁ、さゆ?」
「なに?」
「これやる」
「え?」
「はじめて、作ってみた」
小さな箱に入っていたのは……不細工な形をしたクッキーだった。
「これ、あたしに?」
「うん、今日三月十四日だし……俺、さゆの事好きだから……」
え? 寝癖ついたままのあたしにいきなりコクリ!? それ反則!!
啓太の言葉きいたら、急に心臓がバクバクしてきちゃって、身体が震えちゃった。
嬉しいのに涙がでちゃう……。
こういう時って映画とかドラマだったら彼に抱きついて「ありがとう あたしも好き」っていうところ、でもってチュゥしちゃう……、だけどそんなことできないよね。
だって、めちゃ恥かしいんだもん。
「ありがとう、大事にする」
「おいおい、大事にって……腐るぞ」
「もう! そういう事じゃないよ!」
大事にするって気持ちの問題なのに、こいつやっぱあたしの気持ち判ってない!
でも、やっぱりあたしは啓太が好き。
「それじゃ、最近……」
「え? あ、三月にはいってから作るの練習してた」
それから初めて啓太と手を繋いで学校にいったんだ。
冬なのに汗かいちゃったよ。
あたしの気持ち、まだ言ってないけど啓太につたわったかな?
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2004/03/13(Sat)19:35:11 公開 / じゅん
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■作者からのメッセージ
はじめまして☆彡
なんとなく、書いてみました。