- 『ブラック フェイク』 作者:黒月 師走 / 未分類 未分類
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 原稿用紙約3.3枚
 【ブラック フェイク】
 
 <一部 ウィッチハント(魔女狩り)>
 
 「『シーリーズ(魔ノ力ノ者)』も厄介になった。これ以上、もうやりたくないのに」
 朧な紅い月。その月光のもと、声が旋律となって流れ落ちる。暗黒の中に、輪郭をもつモノは無い。たった一つ。声だけが響き、存在していた。
 夜陰に溶け込みながら、美しく、儚く。響いている。此処にある、全ての生命(モノ)は、沈黙という伴奏を奏で、静かに静かに沈んでいった。
 
 「本当…。此処に生きる全ての『生命(イノチ)』は、何の為にその存在を奏で、沈んで、生まれるのだろうよ?―僕たちは何の為に生まれて、死ぬのか。運命なのか、偶然なのか…?」
 くしゃり。と少年は、力の無い笑みを作った。
 
 『生命』という名の、深い深い疑問。
 『自分』という名の、儚く脆い存在。
 『運命』という名の、見えない歯車。
 
 それが、今―カノンを奏でている。
 ふぅ。と息を吐く。其れは、白く煙となり、闇に一つ。カタチとなって溶けた。そして、
 「まあ、此処で如何たら言ったって無駄なこと、っていうのは判ってるんだけどさ―ユラ」
 虚空に問い掛けるように、少年は言った。
 再度、長い、長い煙のベールが、闇に踊る・
 
 「人はいずれ、溶けて消える。唯一それを回避できる、『アルティエイズム(機械人間)』。それが、俺」
 
 紡がれ続ける闇に、また少年の声が混じる。
 哀しい程に、玲瓏と、純粋な響きが。
 
 ★
 
 「コレはね。ちょっと怪しいけど、平常なモノだよ?『デヴィルハンター(悪魔狩人)』の封印。私の中に潜む、悪魔を封じてるんだ。―ってさ」
 へらへらと空笑いをしながら話す、レア。
 「なんかさぁ〜。この前―六年位前かなぁ。いきいなり男が来てさ、『貴様、悪魔子孫か!それとも吸血鬼の血があるのか!』とか言い始めて。なんかよくわかんないから話し合おう、って言ったんだけど。その前に、『覚悟!』って斬り付けられてさ。けっこー驚いたよぉ。ま、最後は?を押されちゃったけど、一応追っ払ったし。一件落着ーかなぁ」
 
 レア、ことレア=アウォウテッド=ウェスナ。彼は、人間の魂を糧とする『悪魔(ヘル)』の子孫である。
 
 「『悪魔』には、弐つの種類があってね。まず、僕みたいに、人の魂を食べないと生きていけない類(たぐい)を、『ヘル』という。もう一つ。ただ『黒ノ翼(ブラックウィングス)』をもつ、殺人者―『サタン』だ。ヘルは人間に有害極まりないからね、『悪魔狩人』が抹殺を図ってる、ってワケ」
 
 
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2004/03/01(Mon)21:52:47 公開 / 黒月 師走
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■作者からのメッセージ
 今晩和。
 
 まだ序章なので、ストーリーは全然姿を見せていませんが。ちょっと説明をします。
 
 シリアスファンタジー。です。
 要は、異能力者(シーリーズ)の間に絡まる、なんか因縁や色々な思惑、対決など。そんなモノを描く、中編集ですv
 
 シーリーズのルビは勿論、当て字です。ほとんど。
 
 情景描写もまだありませんが、次回、詳しい説明ズ。目を通して頂けると幸いですvv