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『いつか見た空 第一章』 作者:柚姫 / 未分類 未分類
全角811文字
容量1622 bytes
原稿用紙約3.25枚
いつか見た
あの 空は
どんな色だったかはもう忘れてしまったけど

きっと 綺麗だったんだと思う

******第一章

携帯の着信で目が覚めた。
時間はまだ6時前。
液晶ディスプレイに映る名前は幼馴染みの名前。
乱暴に携帯の通話ボタンをおす。
「・・・もしもし」
眠たげな声で答える。
『まだ寝てんの?!ちょっとあんた今日何の日か忘れたの?』
「はぁ?なんの日って。」
止まる思考。
「って。ぁあ〜!!!!忘れてた!」
『馬鹿、あんた早く来なさいよ。不安に思って電話してみれば案の定忘れてるし。
 もうみんな集まり始めてるのよ?一分でも遅れたら承知しないからね!』
そういうとプツッと乱暴に通話が切れる。
急いで飛び起きて支度する。
朝ご飯はコンビニで買ってくとして。いやそんな時間もないから
向こうでかえばいい。 ブツブツと独り言を言いながら
荷物を詰めて 階段を駆け下りる。
「おやじ、おふくろ。 いってきます」
今はもう亡き母親と父親の写真に向かって挨拶をする。
壁に掛かっている時計の時間を確認して
いそいで飛び出す。
そして空を仰ぐ。
雨など予想も出来ないほど澄み渡った水色に ほっと息をつく。
目を瞑り、深呼吸して走り出した。
学校まではそんなに時間は掛からない。
走れば十分ほどで着くだろう。
大きめの旅行鞄を背負って走って 十分ちょっと。
なんとか学校前に止まるバスに間に合った。
「翔(かける)!」
幼馴染みに呼ばれて肩で息をしながら 片手をあげて「よっす」と挨拶をする。
「もう遅いじゃない。ほら、早く乗るよ。」
幼馴染みに急かされて荷物を下に積むと中に入る。
もうみんな中に集まっていた。
「でわ、みなさま集まったみたいなので出発致しますね。」
バスガイドのおねえさんがいうとみんな「はーい」と返事をして 出発。

本日晴天なり。





あの頃 見た景色は
もう忘れてしまったけど





でも きっと綺麗だったんだと思う。







あの頃の、自分にとっては。
2004/01/31(Sat)15:45:03 公開 / 柚姫
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