- 『曲芸士 T』 作者:you / 未分類 未分類
-
全角2666.5文字
容量5333 bytes
原稿用紙約8.85枚
曲芸士・アリアが、この都市をにぎやかにした。
幻影都市・エディフィスを・・・・・。
「瑠璃葉?もう、朝だよ。瑠璃葉!」
幼なじみの鋼(こう)が、瑠璃葉を呼びに来た。瑠璃葉は朝起きるのに、
約1時間ぐらいかかってしまう。だからいつも、
毎朝行われる曲芸が見られないのだ。でも今日は、鋼が迎えに来てくれたから、大丈夫だと思う。
ここは、幻影都市・エディフィスである。鍛治がさかんな、幻の街だ。
食べ物も、山から海からとった、新鮮なものばかり。
ここの人は、優しいので、困った人を見かけたらすぐ助ける。
瑠璃葉は、曲芸士である父のスペルをもつ。鋼は、作家である母エレナをもつ。どちら2人も、この都市じゅうに知らない者はいないくらい有名。
いつか、私も曲芸士になりたい!作家になりたい・・・・・。
瑠璃葉と鋼は思っていた。
ちょうど、スペルの曲芸がはじまる。台に乗って、みんなをわいわいと
集めている。でも、曲芸はさまざまなところを旅して、極めるものである。
父は、そうやって修行を積んできたのだ。
瑠璃葉も、目を輝かせている。鋼も、母が推理、ファンタジーなどの、
ベストセラーになってみたい!と、子供の中で誰よりも思っている。
母も、スペルと同じように、自然を楽しみながらなったに違いない。
そして、スペルの曲芸が始まった・・・・・・・・。
「はいっ!今日は剣をあっという間にチャクラムに変えます!」
都市のみんなが中央の台に注目。瑠璃葉と鋼も、何とか間に合った。
父は瑠璃葉の祖母、アリアから受け持ったのである。
アリアも、世界に知らされた立派な曲芸士なのだ。父も、グラディス地方一の曲芸士になった。今、アリアは瑠璃葉に曲芸を教えている。
アリアの手は、魔法みたいになんでもできる。
瑠璃葉は、まだまだたまごだけど、いつか、何年後か世界一になる。
祖母のアリアは思っていた。瑠璃葉の母は、鍛治屋を開いている。
いつか、ここに戦が怒った時があったらしい。その時から、鍛治がさかんになったという。いよいよ、スペルの曲芸が・・・・。
「こうやって、剣を空に投げると・・・、クルースニクと唱えたら、ほら、きれいなチャクラムに変わったでしょう!」
みんな、大拍手を送った。瑠璃葉、鋼は出前に出て大拍手。
スペルは、火の魔術師でもあった。だから、どんなものでも炎を付けて、
もって踊ったり、火竜も出すことが出来る。
やっぱり、瑠璃葉は絶対に曲芸士になる。そう決めていた。
ある、男が瑠璃葉がいることに気付き、鋼叫んだ。
「スペル!瑠璃葉の曲芸を見せてくれよー!!」
「うーん。わかった!よし、瑠璃葉。上がってきなさい」
スペルの顔はピエロみたいだった。だから、近くで見て、笑ってしまう。
おじいさん、おばあさんにも楽しめるこの曲芸士は最高だ。
「お父さん。私、やるね!鋼。ちゃんと見といてよ」
「あぁ。瑠璃葉。成功を祈ってるぜ!」
「さぁ、瑠璃葉。あの技をやってごらん」
あの技とは、一番得意とする、「舞姫」。踊りながらチャクラムを投げたりする踊りだ。緊張するのは当たり前だ。と、父から受けうった気持ちで、
私は世界に旅立ちたい!
踊りを開始した。なんだか、背に翼があるみたいに舞、チャクラムを、
鳥だと思って、楽しく、笑いながらくるっと一回転まわる。
鋼は、心の中で、(かわいいな・・・)と、思っていた。父も、嬉しそうに見ているし、祖母のアリア、鋼の母エレナも、瑠璃葉の踊りを見ていた。
(私、お父さんのように旅に出たい・・・・・・・・!)
そして、10間踊り続けて、最後は、翼を羽ばたくように、ピース!をした。これで、瑠璃葉はちょっと、近づいた。
いつものように、1人10フィルもらう。
フィルは、お金の単位のことで、1フィル=10円。
毎朝1時間、曲芸をやるのでスペルは朝早く起きる。鋼は、エレナに連れられて、瑠璃葉に、手を振った。
「じゃぁな。瑠璃葉。よかったぜ。「舞姫」」
「ありがとう。エレナさん。また、よかったら見に来て下さい」
「わかったわ。そのかわり、毎朝曲芸の台に来てもらうわよ!」
「さようならー!」
鋼の母エレナも、次の小説の取材のために、グラディス地方を旅する。
帰ってくるのは、週に45回。
「鋼!昼、私の家に来てね!私のクッキーを食べさせてあげる!」
「うん。楽しみにしとくよ」
瑠璃葉、スペル、アリアは鍛冶屋の我が家に帰った。父は、瑠璃葉の肩を、
ポンと叩く。
「瑠璃葉!よくやったな!お前、やっぱり曲芸士の舞姫に向いてるよ!」
「そうかなぁ?そうだったら、嬉しいな!」
アリアは、瑠璃葉を踊り子として育ててきて、孫娘としてかわいがってきたのである。母のオリアンも、ほめている。
「瑠璃葉。明日の朝、いいものをプレゼントしてやる。楽しみに待ってナ」
「うん。私、朝ごはん食べなくちゃ。おなかペコペコだよ〜」
「はいはい。ちょっと待ってなさい。今すぐトーストとサラダを用意する」
瑠璃葉はその間、鋼のために、クッキーを作るので、材料を買ってくることにした。瑠璃葉は、父の受け売りのせいか、魔術も使える。
母のオリアンはオリアンの父がドワーフだったから鍛治をやっている。
「行ってきます!」
「気をつけてねー」
「お母さん。あの子を、旅に出ることを許すのですか?」
「わたしには、わかるんだよ。あの子は踊り子として、曲芸士として、帰ってくるとね。そう、信じようじゃないか」
〜鋼の家〜
鋼は、いつものように、物語を書いていた。鋼の父は、戦で命を落としてしまった。鋼も、曲芸士を夢見ている。
エレナは、鋼が書いている物語を読みながら、旅をしている。
「母さん。瑠璃葉、踊りうまかったよなぁ」
「そうね。あの子、成長したわ」
朝ごはんを食べながら、瑠璃葉のことを話していた。
鋼の家は、美術品や、武器などがたくさん置いてある。
鋼の父は、戦の兵士になる前までは美術の先生だった。だから、絵が壁にたくさんあるのだ。
「母さん。俺、いつか母さんのような作家、スペルおじさんのような曲芸士になって見せるからな。あと、父さんの美術も受け継ぐぜ」
「あなた、そんなに受け継げれるのかしら?」
「できるさっ!!」
朝ごはんを食べ終えて、二階へ上がっていった。
その時、エレナは鋼の父ヨーデルの写真をみて、涙を流した。
「あなた・・・・・。あの子なら、どんな夢でも、受け継げるよね・・・」
瑠璃葉と鋼は、同じ夢を持って、旅に出ることになるのだ・・・・。
続く
-
2004/01/31(Sat)14:05:44 公開 / you
■この作品の著作権はyouさんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
はじめまして。youです。
これからも、よろしくお願いします!
題「曲芸士」。主人公は1人の少女瑠璃葉と、1人の少年鋼(こう)。
2人は、一緒に旅に出ることになりそうです。2人側の父も母も、瑠璃葉と鋼の
成長をずっと見守ってきました。
次回もがんばりますので、よろしくお願いします。