- 『キミトボク 第二話』 作者:みさき / 未分類 未分類
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キミトボク 第二話
俺は一言言った。
「君は・・・・・誰?」
カリュウはにっこり笑って
「おいおい、俺のコト忘れちまったのか?」
と言った。
それからの俺達の会話はこうだった。
「カリュウ・・・・・でしょ?」
「ぴんぽーん♪アッタリ〜♪前世のキオク、戻ってキテルっぽいね。」
「前世の記憶って・・・・・俺は何!?キミと俺の関係は!?」
俺のその声でカリュウはフッと笑い、
「ごめん、それは答えられない。お前が思い出さなくちゃ。」
と目を伏せた。そして俺の額に手をやった。
頭がクラクラした。目をぎゅっとつぶり、もう一度開いた。
そこは真っ暗な闇の中ではなく、ぱちぱちと燃える、夢の中のあの村。
「カリュウ!何をするんだ!」
俺がカリュウを睨んでいた。
「――――俺達ずっと親友だろ?来世でも・・・・・・ずっと一緒にいるだろ?」
カリュウは血塗れの顔でにっこり微笑んだ。カリュウは懐から水色の珠を取り出し、
ぶつぶつと何か唱えだした。そして
「――――。はや・・・く・・・思い出して・・・・くれよ?俺・・・・あ・・・えなくなるな・・・んて
・・・・やだから・・・な?・・・・おれも・・・・がんばるから・・・・・・ばいばい・・・」
と、途切れ途切れに言ったあと、カリュウはくたりと倒れこんだ。
「カリュウ!」
俺はぼろぼろと泣き出して、懐から桃色の珠を取り出した。
そして俺も同じように倒れこんだ。
俺はぎゅっと目をつぶった。
そして目を開けると、あの暗闇で、カリュウが立っていた。
「・・・・・・俺達は昔から親友だった。昔ってゆうか、5400年前だけどな。
5400年前は妖怪だっていたんだぜ?
俺達は妖怪退治をしながら旅をしていたんだ。
でも俺はある妖怪の呪いを受け、日に日に体が弱った。
ある村で俺は気を失ったんだ。
その村に妖怪が襲ってきて、俺は死にかけた。
その時俺達は、ある約束をしたんだ。」
カリュウがそう言うと、彼の足元がすうっと消えかかった。
「まずい、現実の俺が起きかかっている!」
そう言うが早いか、カリュウは消えた。
そして俺の意識も遠のいた。
「カイリ?カイリ?」
俺が目を開けると、目の前にリュウちゃんがいた。
ここは保健室だろうか・・・・・ベッドに寝ていた。
「あ・・・リュウちゃーん。」
俺は力なく答えた。リュウちゃんはふぅ〜と息を吐いて、
「何か俺ら校門で倒れたらしいぜ?」
と茶化すように言った。俺は「そう。」とだけ呟いて、ベッドから飛び降りた。
「ごめんリュウちゃん、俺ちょっと気分悪いからさ、今日の授業サボる・・・・」
俺はそう言って。よろよろと校舎を行き、屋上に寝そべった。
「・・・・・また寝たら、思い出せるかな・・・・・・」
俺はゆっくりと目を伏せて、もう一度眠った。
・・・・また、あの燃えた村だった。
俺はカリュウの言っていた「約束」をどうしても思い出したかった。
あの燃えた村で言っていたコトバ、カリュウの言っていた約束、少しだけ聞こえた。
「ああ、――――。約束しようぜ?
ま―――りの―まえ―――だして、ふ―――た――かかげ―
あい――な――を呼ぶんだ・・・・・・
お前もわかるだろ?いいな?――――。」
それだけ聞こえて、目が覚めた。カリュウは出て来なかった。
「今の内容だけじゃ・・・・・わかんねぇよ・・・・・」
俺はくしゃりと頭をかきあげた。
「・・・今、ウチのクラスは校庭で体育かぁ・・・・」
俺はくるりと下を見た。その時だった・・・・・
「キャアアーーー!!!!」
女子の悲鳴が聞こえ、そのあと
「おい!リュウちゃんが倒れた!!」
「早く救急車を呼んでください!」
と言う声が聞こえた。
俺は真っ青になりながらリュウちゃんの救急車に無理行って乗せてもらい、
病院でリュウちゃんの容体をご家族の人と聞いた。
「・・・・残念ですが・・・・・あと一週間の命です・・・・・・」
世界が止まった気がした。
そして俺の頭に、あの時の、俺がカリュウを抱えて泣いている時の光景が、
フラッシュバックした。
俺の前世が泣いていた気分が、なんとなく、なんとなくわかった。
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2004/01/29(Thu)17:38:02 公開 / みさき
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■作者からのメッセージ
キミトボク、第二作です・・・・
まだまだ続きます。