- 『 Kill Her』 作者:黒人形 / 未分類 未分類
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原稿用紙約14.1枚
○o。.嘘ついた小さな女の子は、そのまま行っちゃった。
キミはほんとに小さくて
そのままやってしまおうかと
思ったぐらいさ.。o○
その日もオックスフォードは雨だ。
暗くて湿気がまんべんなく辺りを漂う、異質な雰囲気・・・・
絶好のチャンスさ。
「はいはい、わかったってば。・・・・・・うん・・・・・・うん。雨?降ってるわ。傘はちゃんと持ってる。・・・・そう、じゃあ帰りにドラッグストア寄ってくから、バイバイ。」
ピッ
ママはジェイと再婚してから変わっちゃった。
毎日毎日、ずっと部屋の中に入り浸って・・・・・
一日に吸う煙草の量も半端じゃない。
まるでそれが自分の命を繋ぎとめる大事な秘薬か何かのように。
気づいてる、もうとっくに。
ママは16になった私を必要としていない。
ママが私を必要としてたのは去年の夏まで。
私の代わりに、ジェイがママの゛一番になった。
そのジェイは私に気がある・・・・
一度キッチンで皿にシリアルを盛ってたら、ジェイがこう言った。
「二人だけで暮らさないか?」って。
それからジェイは私の胸をまさぐり始めた。
私は動揺して、動けなくて、ジェイの瞳の奥をじっと見つめていた。
「すまなかった・・・・今のことは忘れてくれ。」
それからジェイとは口を聞いていない。
目があったら、そらすだけ。
さっきの電話はママ。
夜10時をまわっても私が帰ってこないから、かんかんに怒ってた。
その割には、おつかい頼まれちゃったけど。
近道して、夜の公園に入っていった。
ここをぬければでっかい通りにでる。
相変わらず冷たい雨は休むことなく地面を叩いている。
傘なんか持っててもずぶぬれ・・・・・
電灯がうっすらと辺りを照らしていた。
誰もいない夜の公園は、気持ちがいいものだ。
ここ辺り一面が自分の物になったみたい。
私は女王だ。
さ、急ごう。
ガサガサッ
ガサッ
・・・・・・ドサッ
「?!」
何、今の音・・・・。
振り返った私は、目を丸くした。
ブロンドに青い瞳、不思議な雰囲気は私の何度も描いてきた夢の中の男の子そっくりだ・・・・・
「やぁ。」
男の子は私に微笑んだ。
さも、人当たりがどれだけいいかを見せ付けるような笑顔で。
「ハィ。」
私も作り笑いで返した。
嫌味なところとビニール袋を持っているのは、夢の中の男の子とはだいぶ違うみたいだど。
「血・・・・ついてるよ・・・・?」
「ん、あぁ、コレか。」
男の子は口を拭った。
「傘ないの?」
「まぁね。」
変なヤツ。
「入れてあげようか?」
「そうしてもらいたいけど、遠慮しとくよ。」
男の子は微笑んで肩をすくめた。
格好はいたって普通。
臭いにおいもしないし、髪の毛だってワックスでべちょべちょじゃない。
ビニール袋の中はおそらく必要な物なんかじゃないかしら?
家出少年に間違いないな。
歳は私と同じくらい?
「私ブリジット。そっちは?」
「リッパー、かな。」
「かな・・・って?」
「ははは、リッパーでいいよってこと。」
「リッパー・・・・。」
「うん、ブリジット。」
「じゃあ、私のことはビーでいいよ。」
「わかった。」
たぶん、自分でも嬉しかったんだと思う。
リッパーは私の周りにはいない男の子のタイプだもん。
ちょっと性格悪いけど。
「もうこのくらいでお喋りはいいかな?」
リッパーがきりだした。
「え・・・・う、うん。そうね、雨だいぶあがってきたし・・・・。」
「だね。」
この作り笑い、大嫌いだ。
それ以外は大好きだけど。
「じゃ、僕は先を急ぐから。気をつけて。」
「あっ、待って!」
「何?」
「また・・・会える?」
「さぁね。」
「さぁねってどういうこと?」って聞こうとしたけど、リッパーの方が早かった。きびすをかえして行っちゃった。
私も、ドラッグストアによってから家路を急いだ。
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2004/01/24(Sat)15:47:37 公開 / 黒人形
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