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『エスパー小澤 第一幕』 作者:棗 / 未分類 未分類
全角1614.5文字
容量3229 bytes
原稿用紙約5.55枚

エスパー小澤第一幕 『こだわりの秘密』

「うわああああああああああ」
「きゃああああああああああ」
歩道の方から聞こえる、鋭い悲鳴。
キキーッという、猛烈なブレーキ音。
と同時に鳴る、大勢の車のクラクション。
更に同時に響く、多くのドライバー達の悪態。
しかしながら一番の騒音は、石焼いもの猛烈なサイレンだった。
「…小澤…」
「…はい、お嬢…」
騒動のど真ん中には、交差点の真ん中で方向転換をしようとしたらしい軽トラが居た。

「こんなだったら、最初から歩けば良かった」
私はそう愚痴った。小澤がしょんぼりと斜め下を向いててくてく歩いてくる。
どれもこれも、みんな小澤が起こしたさっきの騒ぎのせい。
当然の事ながら、警察がその騒ぎを聞きつけ、がみがみと小澤を叱ったのだ。いてもたってもいられなくなった私はそこから駆け出した訳だが、その後をしつこく小澤がついて来た。
「ほら、焼き芋が冷めちゃいましたよ」
「すいません」
彼は心底すまなそうな顔をして俯いている。でも、私はなかなか許す気にはなれなかった。
あのまま寄り道しないで歩いていれば、もうとっくに家に着いたような時間なのだ。月がほんのりと霞んで見えた。
「…寒」
驚くほど冷たい風が、足元を擦り抜けた。吐く息は白い。焼きいもの湯気は、すっかり消えていた。
「…すいません」
また小澤は言う。
私は溜息をついた。どう対応すればいいのか判らない。
そこで、私はこの沈黙を、ある話題で打ち消そうと試みた。
「小澤」
「はい」
「あのさ、何でお客さんにそんなに焼き芋を食べきって欲しい訳?」
「それが信念だからっス」
小澤は暗く沈んだ声ではありながらも、きっぱりと答えた。
私は頭を掻き、次の質問をした。
「なんでそんな信念に、しつこくこだわるの?」
この質問には、少し小澤は困ったらしいが、またぽつりと答えた。
「兄貴の為っス」
え、兄弟がいたの!?と大声で聞き返したかったが、今の雰囲気からしてそれはちょっと無理がある。
だからあえて、少し声のトーンを落としたまま聞いた。
「何で、焼き芋が兄のためになるのさ」
「超能力っス」
この唐突な答えに、私は思わず、その辺の小石に躓いてしまった。
その衝撃で、紙袋をうっかり取り落としそうになる。けれど、後に小澤が居る以上諦める訳には行かず、懸命に守りぬいた。
すると、焼き芋がつるりと紙袋から出そうになる。私はそれを無理矢理口にくわえ、歯型が芋に残るのも嫌なので、くわえた部分を噛み切って紙袋に芋を落とした。
ふう、という溜息が、微妙に小澤と被る。
私は体勢を立て直してまた少し歩き、呼吸が落ち着いてから続けた。
「超能力?何で焼き芋と関係があるの」
「俺、超能力者なんス。で、今病気の兄貴をその力で治してやりたいと思ってるんスよ」
「だから、何で焼き芋と関係があるの」
「実はこの焼き芋には、俺の能力がこう…練りこんであるっつーかそんな感じで。能力者を増やして、もっとたくさんの力で兄貴を治したいんス」
ぴたり、と足を止めた。
小澤の足音も止まるのがわかった。
私はゆっくり後ろを振り向き、やがて小澤にこう言った。
「…ちょっと待って。私がこの焼き芋を食べるって事は…」
「イコール、兄貴を助けるのに協力してもらうって事っスよ」
泣きたくなった。
「私…食べちゃったよ」
「じゃあお嬢は今日からエスパーっス」
けろりと小澤は答えやがった。
紙袋がぽとりと地面に落ちる。
駆け足で紙袋を拾いにしゃがんだ小澤を見下ろし、私はこう叫んだ。
「この大馬鹿者ーーーーーーーーーーーっ!!!!」
シャレにならない嘘をつくな、とこの後に続いた。
すると小澤は立ち上がり、紙袋を抱えて「本当っスよぉ」と答えたのだった。

もし、私が小澤の”信念”によって芋を全部食べていないのは命拾いだった。
まあそれはともかく、あれから私はエスパー小澤になった。
これからたくさんの事件に巻き込まれていくとはつゆしらず…。
2003/12/30(Tue)15:48:01 公開 /
■この作品の著作権は棗さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
エスパー小澤です。
詳しい能力の内容とか小澤の過去とか焼きいもの事とか消化不良がありますが、後々明らかにしていくつもりであります。
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