- 『顔をあげればほらそこには君がいる。 bQ』 作者:バナナ / 未分類 未分類
- 
	全角1188.5文字
 容量2377 bytes
 原稿用紙約4.2枚
 その野良犬は、すっかり佐奈になついた。
 
 でも、すでに佐奈の家には6匹の犬。そして3羽のインコ。
 
 こんな家にもう一匹なんて無理だ。
 
 佐奈はわかっていたけれど、この犬がとてもかわいそうでならなかった。
 
 「ゴン、お母さんに頼んでみるね。」
 
 佐奈はもう犬にゴンと言う名前を付けた。
 
 理由は泣き声が何故か「ゴ〜〜〜〜〜ン!!」に聞こえるからだ。
 
 ――――その夜
 
 「お母さんなんて嫌いっ、大嫌い!」
 
 佐奈の顔が真っ赤になった。
 
 「もうこんな家出てってやる!」
 
 『佐奈の部屋』と書いてある戸をバンッと開け、財布、去年のお年玉が二万入った袋、上着、みちるから貰ったマフラー、手袋、レジャーシートをカバンの中へ入れて部屋を出ました。
 
 リビングでは六匹の犬達が心配そうに見ている。
 
 佐奈は犬達に心配かけまい、と微笑んだ。
 
 そして家を何も言わず、出て行った。
 
 
 顔には冷たい風が吹いてあたってくる。
 
 どこで寝よう。
 
 「寒いよ、助けて。」
 
 野良犬のところへ向かう。
 
 お母さんとのケンカの原因はやっぱりさっきの野良犬のこと。
 
 実を言うとお母さんは動物嫌いだ。
 
 今は無理矢理飼っている。
 
 佐奈は5歳のとき、段ボール箱に4匹子犬が入っていたのを見つけ、家に持って帰った。
 
 その時お母さんは腰を抜かすほどビックリし、「ダメ」ときつく言った。
 
 佐奈は泣きまくり、そして部屋に閉じこまった。
 
 どんなにお腹が空いても食べずにいた。
 
 そして、しょうがなく飼わせてもらった。
 
 犬の4匹のうち2匹が赤ちゃんを5匹産んだ。でも3匹死んでしまった。
 
 だから今は六匹だ。
 
 別に七匹になっても変わらないと、佐奈は思う。
 
 なのにお母さんは・・・・・・・・・・・。
 
 もうっ!
 
 地面を足で蹴った。思いっきり。
 
 ドン、と鈍い音が響く。
 
 あ・・・・・・・。
 
 ドキンッ。
 
 「みちる君・・・?」
 
 「あ、佐奈。」
 
 みちるの隣にはみちると同じクラスの、マドンナ美女。羽美(はみ)ちゃんだ。
 
 え・・・・・・・。
 
 何で・・・・・・・・・?
 
 うそ・・・・・、だよね・・・・・・・?
 
 わざと明るく振舞った。
 
 「ど、どうしたの?二人で。」
 
 顔がジワジワと熱くなる。
 
 「佐奈・・・・・。」
 
 その後のみちるの言葉をさえぎるように、羽美が口を開く。
 
 「二人、どういう関係?」
 
 キョトンとした顔で質問する。
 
 佐奈とみちるはクラスが違うし、あまり付き合っていることを知られていない。
 
 だからたぶん羽美は知らなかったのだろう。
 
 「私達・・・・・・付き・・・・・・・あ・・・・てる。」
 
 「え?」
 
 「俺達付き合ってるんだよ。」
 
 「うそ。」
 
 羽美はショックと言った風に両手で顔をふさぐ。
 
 そんな事どうでも良かった。
 
 『何で、みちる君と羽美ちゃんが一緒に?何で?何で?何で?』
 
 考えても本当の答えは出てこないのに、この疑問が頭の中をぐるぐる回る。
 
 
 
 
 
 【続く】
- 
2003/12/25(Thu)14:53:41 公開 / バナナ
 ■この作品の著作権はバナナさんにあります。無断転載は禁止です。
 
- 
■作者からのメッセージ
 意味わからなかった人ごめんなさい。
 読んでくれた人ありがとうございました!
 
 感想あったら宜しくお願いします(^0^)