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『交通事故 第一話』 作者:君野友彦 / 未分類 未分類
全角1782文字
容量3564 bytes
原稿用紙約6.8枚


君に逢ってしまった事自体が、自分にとっての交通事故。

私はその日も指紋の付いた、掃除当番がマトモに拭いて無さそうな窓から、
外を眺めていた。
ウチの学校はわりと自由な校風だ。
だからこうやって授業中に余所見をしていても、注意を受ける事は無い。
今も、初老の男性教師が口をモゴモゴさせて、白墨を黒板に滑らせている。
と、私の机の引き出しから、何かが滑り落ちた。
私は少し苦労してそれを拾う。
・・・・・・またか。
それは封筒の裏に『片岡蒼音』(かたおかあおね)とだけ書かれた
シンプルな手紙だった。
どうしてだろう。
私の何処がいいんだろうか。顔か性格か。
好かれたっていい事なんて少しも無い。
そのせいで現にこうしていじめと呼ばれるものを受けている訳だし。
馬鹿だなぁ・・・。
なんで好きな人が出来るのかワカラナイ。
そんなに嫉妬するぐらいだったら告白でも何でもすればいいのに・・・
そんな勇気、連中にある訳ないか。


「痛・・・」
私は軽く呟いて背中をさすった。
昨日つけられた傷が少し痛んだからだ。


「今日も奥山君に呼び出されたんだって・・・?あんなトコで何やってんのかなぁ」
しっかりと手入れのしてある髪を少し揺らして、同じクラスの女子が私の襟首を掴んだ。
私はチビだ。
他の人が160以上あるのに対して、私は140前後位しかない。
成長ホルモンの異常でもあるんだろうか。
そのせいで今も空中に宙ぶらりん状態だ。
・・・朝シャンし過ぎると逆に髪が痛むとかそんな話を聞いた事が
あるような気がした。私の目の前に居るこの娘も将来ハゲるんだろうか。
そんな事を考えると、少し笑えた。
「この変態!」
笑い顔は見られてないだろうが、殴られた。
それも思いっきり。血はおいしくない。トマトジュースも好きじゃない。
よかった。私に吸血鬼の気はない様だ。


口が切れた。
どっちが変態なんだか。
私は倒れることなく踏みとどまり、その娘を見る。
「何も・・・」
私は上目遣いにならないように顔を後ろにそらして答えた。
この娘の名前・・・なんだったっけ?
いかん。痴呆症が始まったのかも。
確かー・・・
「佐伯さん」
彼女の顔色が変わるのを見た。
パンという音とともに私の左頬に衝撃が走る。
涙も出ない。何の感情も湧いて来ない。
周りの子がニタニタ笑っているのを見ても怒りさえ湧いて来ない。
「あんたなんかがあたしの名前呼ばないでよ。・・・気持ち悪い」
私は左頬をさすりながら


佐伯さんが倒れた。
何が起こったのかわからないって顔をしている。
そしてその目に涙が浮かんでくるまで、大した時間は掛からなかった。
私が打ったフリッカージャブが軽くヒットしたのだ。
軽く当てただけで泣く事ないのに。
彼女たちが状況を理解した時、すぐに手が伸びてきて、私の腹を殴った。



「何年生?」
今目の前に居る警官が私に訊いた。
「ご想像にお任せします・・・・・・」
すると警官はイスを半回転させて笑った。
「可愛くない小学生だなぁ」
今確かに目の前に居るこの男は小学生と言った。
小学生と。
私はコイツの顔面に蹴りでも食らわせてやろうかと思ったが、
すんでのところで思いとどまった。


この警官は何を考えているんだろう。
さっき私は彼女たちに制服を脱がされ、下着だけで家へ帰ろうとしていた所を
この警官に呼び止められたのだ。
「何やってんの?」
と。
オマエが何やってんねん。

その後は連れられて近くの交番へ行き、子供用のパジャマを着せられて
ココアを一杯ご馳走になった。
まだ九月下旬とはいえ、『寒い』というには事足りる気温だったので
一応感謝している。
ちなみに私は高校生なんですが。

「ああそうそう」
ネタになるかと思ったのか警官が口を開いた。
「俺、高校生なんだよねー・・・じいちゃんがさぁ、一日どうしても変わって
くれって言うからー・・・」
私は唖然とした。
じいちゃんとやらは職務怠慢もいいとこだ。このニセ警官め。
「・・・さっき私の事小学生って言いましたよね」
「んあ?」
喋っている途中に割り込まれたのがイヤだったのか、彼は眉をひそめた。
「私高校生ですよ、一応」
彼は口にくわえていた安缶コーヒーを落とした。
絶叫が始まる。


この日が、私の救いようのない日々の始まりの幕開けだったのかも知れないという事は、
ずっと後になってから気付く事となる。


2003/12/22(Mon)19:47:51 公開 / 君野友彦
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