- 『カートゥーン模様』 作者:ねね / 未分類 未分類
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さあさ、少々お付き合いあれ!
え? 私は誰なのかって? そうだねぇ、スグに教えちゃつまらない。ふふ、そう怒らないでおくれよ。うーんそうだねぇ・・・・ボクはこの世界の案内人。そして、みんなを笑顔にするのも仕事のうちかな。・・・・ん?分った分った教えるよっ!・・・・ボクはピエロだよ。みんなをハッピーにする、ピエロさ!!
何々、この世界とはどの世界かって? 君は質問が好きだねぇ・・・・いや、気を悪くしないでおくれよっ、ごめんごめん。
・・・・この世界っていうのはね、君のいる世界の中の世界さ。いやいやそんな難しいことじゃあないよ。たとえば君の家の中の、君の今見ていないところとかね。君は今「ここ」を見つめている。じゃあ、君の後ろは「この世界」さ。
前置きが長くなってしまったね。ちょいとしゃべりすぎた。いやね、本当は人形のレナちゃんがしゃべるはずだったんだけど・・・・まあいい、用はね、ボクらの暮らしをちょっとばかし案内しようってんだ。
じゃ、はじめるよ。
-----夜------
テーブルの上から声がする。
「ちょいとスプーン、何しているの!」
「ああっマグカップ、そんなに大きな声出さないで・・・・悪かったとは思っているわ。だから静かに・・・・」
「これが黙ってられますか!」
ピンクの花柄のマグカップがゴトゴト叫ぶ。金のスプーンは申し訳なさそうにくねっとうなだれている。
「あなた、勝手に二階のジョンくんの部屋へ、毎晩行ってたのね」
「だって・・・・人形のルルがたまには遊びにきてって・・・・」
マグカップはふう、とため息をつくと言った。
「見つかったらどうするの!ホントにもう・・・・しょうがないコね・・・・・・今日だけよ。」
「・・・・・・マグカップ・・・・ありがとう!!」
スプーンの顔がゆっくりほころんでいく。スプーンはカシャカシャいいながら階段をかけのぼる。
「まったく、あのこったらやんちゃで・・・・」
マグカップはそう言いつつも、顔は優しいママのようだった。
「ルル、来たわよ。ルル!」
ベットのところががさがさ動く。スプーンはそこへかけて行った。
「ルル!」
「シーっ!! 今日はジョンくん寝つきが悪いの。いつ起きてもおかしくないわ」
「そう・・・・じゃ、廊下に出ましょう?」
「ええ、そうね。さあ、みんな出てきて!!」
ルルの声を合図に、ぞろぞろとおもちゃが出てくる。ラッパくん、ロボットのポール、縦巻きカール髪のキャシー・・・・・・
「みんなそろった?じゃあ、いくわよーっ!!」
おもちゃのウクレレが、ポロローンと歌いだす。ラッパくんも、合わせて歌う。みんなは歌にのって踊りだす。ずっと、ずっと。
何て歌ってると思う? ジョンのママ・ルーシーが起きるまでは私たちは自由なのよって歌ってるよ。ほら、今も・・・・
わたしたちのじゆう しあわせせ どこにある?
いつもはヒトのいいなりだけど だからこそ そうよ ヨルは フリーなのだから あそんだってバチはあたらないわ
いいでしょう? いっしょにあそびたい?
ダメよ いまだけは わたしたちの じかんだから
じゃあね さよなら ルーシーがおきるまであそびつくすのよ
・・・・どうだい? ほら、君の家にも世界があるだろう。でもね、これはまだほんの一部でしかないんだ。いつもはね、もっともっと、いろんなことが起きているんだよ。
ああっ、信じてないね?? じゃあ、言ってごらんよ。君の後ろの壁が笑うことなんてありえないって。本当にそう言える? 証拠は? ビデオでとればいいって?? はっはっは。ビデオに撮ってる間は笑わないに決まってるじゃないか。誰も見ていないときに笑うのさ。
世界のすべてを信じろとは言わないけどね、少しは・・・・ほら、ボクと一緒に夢を見ようじゃないか。
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2003/12/22(Mon)16:43:46 公開 / ねね
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■作者からのメッセージ
未熟者ですが、ここへの投稿は二度目です。自分の知らない世界って・・・素敵だと思いませんか^^