- 『天使の日記』 作者:竜紀 / 未分類 未分類
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 原稿用紙約4.6枚
 
 第1章
 
 いつもの放課後。私と友人の「りく」は、いつものように教室で2人喋っていた。
 
 「あはははっ、それっ、超ウケるし!!」
 
 「でしょ〜!?マジウケだよねっ!」
 
 「ね〜ね〜、それってさぁ、誰から聞いたの?」
 
 「・・・?りくぅ?」
 
 りくは、今まで私の方に向けていた視線を、どこか一点に強く向けていた。
 
 「・・・どした?」
 
 りくの視線をたどってみた。
 
 
 その先には、1冊の分厚い本があった。その本は、道長さんの机の上にあった。
 
 「ねぇ、ゆい、これってさ・・・。」
 
 りくはその机の前まで行って、その本を手に取った。
 私も慌ててりくの横に立った。
 
 その分厚い本は、どうやら日記のようだった。
 ピンクの可愛いチェックの模様に、赤いペンで大きく『奈美の日記』と書いてあった。
 
 道長さんは普段余り目立っていなかった。私達も、道長さんとは余り、いや、ほとんど喋った事は無かった。
 
 ただ、高校に入ってからの今まで半年、『クラスメイト』ということだけで繋がっていた、ただの『知り合い』だった。
 
 ・・・少なくとも、その日、その時までは。
 
 「道長さんの、日記・・?」
 
 私は、りくの手の中にあった、その日記を取って、つぶやいた。
 りくはやたらとキョロキョロ辺りを見回していた。私も、誰か来ないか心配だった。
 
 「道長さんのかばんもないし、ジャンバーもないし、帰ったみたいだけど。どうする、それ?」
 
 りくが言った。
 このまま置いておくわけにはいかなかった。
 誰かに読まれたら、道長さんがかわいそうだったから。
 ・・・それになにより、私達だって道長さんが日記を読んだ人に何か言われていたら、私達の『良心』というものが、きっと痛むから。
 
 「読もうか?」
 
 私は、とんでもないことを口にしていた。無意識のうちに、私の口からそんな言葉があふれ出ていた。
 
 私は、その日記に手をかけた。その手はかすかに震えていた。
 だけど、私には、好奇心を抑えるほどの強さは無い。
 
 「あっ・・!」
 
 りくが思わず声をもらした。
 私の手はもう震えていなかった。そして、ゆっくりと、1ページめくった。
 
 その1ページが、私とりくと道長さんを、不思議な関係へと導いていくのだった。
 
 1ページ目は、何も書いていなかった。いや、一言だけ書いてあった。
 右上に、きれいで小さな字で。
 
 「この日記を今読もうと思っているあなたへ。
 今この日記をあなたが手に取ったのは、きっと、運命。」
 
 そう書いてあった。私にも、りくにも、その言葉は理解出来なかった。
 
 2ページ目と3ページ目には、ぎっしりとそのきれいで小さな字で書き綴られた文章が、びっしりと並んでいた。
 
 私は、1回せきをして、その文章に目を向けた。
 そこには、こう書いてあった。
 
 『今日から日記を書くことにした。
 
 何でか、そのワケは、1つだけ。
 
 誰にもわかってもらえないから、だから、文字にしたいんだ。私の気持ちを。
 
 もしかしたら、誰かが読んでくれるかもしれない。期待はしていない。
 
 でも、自分から読んでもらうためにわざと落とすとかは、しようとは思わない。
 あくまで運命に、全てをまかす。』
 
 2ページ目は、ここで文が終わっていた。りくの肩が、かすかに震えていた。
 
 「もう、読むのやめようよ。ねぇ、ゆい。」
 
 りくの中に、嫌な予感が走ったんだろう。
 
 「大丈夫だって。」
 
 私は、3ページ目に視線を向けた。
 
 第2章へ続く・・・
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2003/12/21(Sun)14:12:28 公開 / 竜紀
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■作者からのメッセージ
 初めまして。竜紀と申します。読んで下さってありがとうございます!初めて書いたものなので、とても下手なのですが、これからもよろしくお願いします。