- 『メモリアル・キー *第6章』 作者:桜貝 / 未分類 未分類
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 「私は・・・今更戻れないの」
 
 「戻れる!帰ってきてよ!母さん・・・・!!!」
 
 「さぁ・・・鍵を渡すのよ・・・早くして・・・・撃つわよ?」
 
 セトが何やら周りを見渡していると思うと――――
 
 
 「真、綺阿羅!此処から飛ぼう!!!!!!!!!!それしか逃げる道は無い!」
 
 
 セトの掛け声と共に、二人は深くうなずいた
 
 雷雨はますます酷くなるばかりだった・・・・・・・
 
 ―――――――――――――――――−−−−−−−−---‐---
 
 セトは研究員を無視して、無謀ながらも、真と綺阿羅を抱きかかえて、屋上を飛んだ
 
 
 
 その時―――
 
 
 
 パァァン!!!!!
 
 
 
 
 研究員がセトの胸を撃ち抜いた・・・・・
 
 
 それでもセトは二人を抱えて、翼をめいっぱい広げ、飛んだ
 
 屋上からの母親の声が聞こえる
 
 「真!戻りなさい!」
 
 その言葉を裏切り、三人は入り口に着地した
 
 
 と、同時に、セトが倒れた・・・・・
 
 「セト!?大丈夫か!?」
 
 二人が急いで駆け寄る
 しかし、セトの胸からは大量の血が・・・・・
 誰もがこの状況で助かるとは思わなかった
 真は自分も怪我をしているのも忘れ、セトの心配をしていた
 
 「セト・・・・・・!?」
 
 「真・・・・・・僕はもう無理だと思う・・・」
 
 「そんな事言うなよ!!!」
 
 「作られた命は、以外に脆い物なんだね。でも・・・・・」
 
 セトの顔は生気が失せているが、かすかに微笑んでいるようにも見えた
 
 「でも、僕を助けてくれようとか・・・・少しでも僕の事を想っていてくれたなら・・・・とても嬉し・・・・・」
 
 「う・・・・・・ん」
 
 真は涙して聞くしかなかった・・・・・・・
 
 「ありがと・・・・・・」
 
 
 
 
 セトの目がゆっくりと閉じる―――――
 
 「セ・・・・・・・」
 二人は目を疑った
 しだいにセトの姿がかすれていく・・・・・・・・
 そして見えなくなる
 
 「何故姿が残らない・・・・・・!?」
 
 真は訳の判らないままに、セトの死を見届けた
 あまりにもあっけなく思えた・・・・
 
 綺阿羅が真を見て答える
 
 「この世の者じゃないからよ・・・」
 
 
 すると、屋上から研究員と母親が身を乗り出して、真たちを見ている
 
 
 突然、目の前に白い光が過ぎった
 
 屋上のアンテナに大きな雷が落ちたのだ
 
 たちまち研究所は炎に囲まれてしまう・・・・・
 
 
 
 「母さん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 
 助けたいけど助けられない・・・・この無力さを惨めに想えた
 
 綺阿羅は真に何かつぶやくと、二人は手を開き、待機した
 
 「母さん!飛び降りるんだ!俺達が居る!早く!」
 
 
 「・・・・・ッ」
 
 母親は研究員たちを見回し、目を閉じ、下に飛び降りた
 
 
 
 バン!!!
 
 
 大きな音がしたが、何とか、二人のおかげで助かったようだ・・・・
 
 
 
 
 それでも炎は終え続ける・・・・・
 
 すると、何やら、炎の中から、研究員の声が聞こえた
 
 
 
 
 「貴方はその子の元にお帰りなさい!この過ちは跡形もなくに消えるでしょう・・・・!」
 
 
 
 その言葉と共に、研究所は完璧に炎に包まれた・・・
 
 
 母親が泣いている・・・・・
 その涙は何の為に流すのか、真は不思議に想った・・・・
 
 
 
 
 ――――――――――――最終章に続く
 
 
 
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2003/12/15(Mon)16:30:21 公開 /  桜貝
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■作者からのメッセージ
 もう少しで完結です!
 セトが死んじゃって、自分でも悲しいです・・・・
 最後まで頑張って書きます^^