- 『メモリアル・キー *第2章』 作者:桜貝 / 未分類 未分類
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ザーーーー・・・・・・・
もちろん、次の日も大雨だった
早朝。真はリュックに荷物を詰め込み、首に鍵をつるし研究所に向かった
母の手紙の地図で見る限り、家からはとても遠い場所であった
だが、真は足の行くままに走っていった
長い間走り、心も体も疲れ果てたそのとき・・・
目の前に大きな、そして不気味な研究所が聳え立つ・・・
「こ、こんな所・・・普通の地図では載ってないのに。何故?」
真は声をもらし、怪しがりながらも、研究所に足を踏み入れた・・・・
ガタッ・・・
ドアが開けると、目の前には無数の血がこびり付いていた
「何だ・・!?この血、まだ新しいじゃないか・・・・」
真が研究所に恐れを抱く―その時
目の前に、懐かしい匂いの・・・・・母が訪れた
「し・・・ん?真なのね?会いたかった。さぁ、こちらに来なさい。疲れているでしょう?」
真は母親に会えた嬉しさと、研究所の恐れで頭が痛くなっていた
「此処・・・私達の研究室よ。見て、前に教えたのは、あの子・・・・」
母親が指差したその先には、不気味なカプセルに入れられた竜が居た
研究員はカプセルの前から退き、真に竜を見せた
「竜・・・?何で竜何かが居るんだ?これも・・・・作り出したのか?」
「そうよ、その通り」
「何故、人間の手でこんなの作り出すんだ!?」
真の言動と共に、研究員達が笑い出す・・・
「まぁ、疲れているのね、真ちゃん。その鍵を渡しなさい・・・
この子は立派に育つ・・・私の完成品が早く見たいの。さぁ、その鍵を・・・」
「嫌だ!!!!!」
真はそう放つと、他の部屋に駆け込んだ・・・
すると、母親と研究員たちは研究所の出口を完全に塞いだ
「ま、チャンスはあるでしょう。あの子供はもう逃げられまい・・・・」
「フフ・・・そうね。あの子は後に出てくるでしょう・・・」
ハァハァ・・・・・
真は他の部屋に潜り込み、息を切らしていた
「そんな・・・母さ・・がそんな事・・・・・信じられな・・い」
すると、真の後ろで、ダンボールが動いた
「何だ!?」
真は驚き、後ろは見てみると・・・・・・・
「あの・・・」
金髪の、まるでフランス人形のような、同い年くらいの女の子が居た
その子は震えながら、真に話しかけた
「貴方、何で此処に居るの?どうして?」
「何でって・・・・・俺の母親が研究員でさ。この鍵が必要で・・・・・」
真は鍵を女の子に見せて、話を続けた
「此処で作られた竜にはこの鍵が必要だって。家の鍵なのになぁ・・・」
「その鍵・・・・・・」
女の子は鍵を見て、ふと涙を零した
「鍵・・・私の場合は鍵が必要なかったけど・・・・」
「私の場合!?」
「・・・・・・・・・・・」
女の子は、真剣な顔で真を見た
「私も・・・此処で作られたの」
「え・・・・!?」
「此処で、作られたのよ。私は。恐くて逃げ出して、この13年間ずっと此処にいるんだけど・・・」
「何でそんな時間此処で居られるんだ?食事は?」
「だって私、人間じゃないのも・・・」
二人の場の空気が重くなった
真は何と声をかければ良いかも想いつかなかった
しかし、真はスッと立てり、女の子の手を引いた
「逃げよう」
この言葉でその重たかった空気は吹っ飛んだ
「うん・・・・・!」
「俺は真!君は・・・・?」
「私・・・は・・・・綺阿羅(きあら)よ」
「綺阿羅、行こう!」
二人は研究所を出ようとしたが、出口が塞がれ逃げられなかった
「そうだ」
真は、ふと良いことを思い付き、彼女に鍵を渡し、隠れてもらった
そして、先程の研究室に入った
「あの・・・・母さん?」
「真!鍵を渡してくれるのね?」
「え・・・・・とね、鍵は家に忘れてしまったんだ・・・・ゴメン」
「忘れた・・・・・?」
一瞬、母親の顔に怒りが込み上がったが、直ぐに微笑み返した
「そう・・・じゃあ取りに帰ってらっしゃい。3日以内に戻りなさい」
「うん」
研究員が出口を開け、部屋に戻った
そして、真と綺阿羅は出口を出て、家に向かった
真はこのまま研究所に戻らなくても良いと思っていたが・・・・・
(母さんを助けたい・・・作られた物も助けたい。あの竜も助けたい)
こんな気持ちで、研究所にはまた戻らなければいけない気がした
でもどうやって?この子は・・・綺阿羅はどうする・・・・?
学校にも連絡しなきゃ。俺だけでできるかな・・・・・
不安も有った
だが、真は進む事を決心した
―――――つづく
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2003/12/13(Sat)10:46:49 公開 /
桜貝
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■作者からのメッセージ
この物語の2話目を書きました^^
やっと主人公以外の活躍する人が出てきました〜
読みにくいかもしれませんが、読んでくれるとウレシぃです!
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