- 『わたしのせんせい 最終話』 作者:うさぎ / 未分類 未分類
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家に帰ると、美代子が、「先生、どうされたんですか、やっぱり顔色が・・。
亜希子、何かお話しましたでしょうか?あれから家に帰ってきて、何も言わず、部屋に閉じこもったきりで。」
桃子先生は、「おかあさん、亜希子さんにお話してきます。」というのがやっとだった。
桃子先生が亜希子の部屋をノックしても、返事がない。
「亜希子ちゃん・・・、どうしたのかな?先生ね・・・」
「亜希子ちゃんのことが心配で急いで帰ってきたんだけど、お話、出来るかな?」
それでも、反応はない。
桃子先生は自分の部屋に戻り、ベッドに横たわった。
さっきから、頭痛と、熱っぽさが彼女を襲っていた。
時折、桃子先生の咳が、隣の部屋の亜希子にも聞こえていた。
そして、自分が雪合戦の時に投げた雪球と、「だいっきらい」という言葉を思い出し、
激しく後悔していた。
夕食になったらあやまろう、そう心に決めていた。
ところが、夕食の時間になっても、姿を見せない桃子先生を心配して、美代子が様子を見に来た。そこには、熱にうなされる桃子先生の姿があった。
それでも、美代子が、「先生?大丈夫?」というと、
「大丈夫です、すみません、でも今日も夕食は・・・ゴホゴホ。」
と、起き上がっていった。
美代子は、亜希子に、その桃子先生の様子を告げた。
「大丈夫だって、おっしゃってたけど、つらそうだったわ。おかあさんがいくより、亜希子のほうがいいでしょう。氷枕とタオル、これからおかあさんおかゆ作るから。」
といい、忙しく動き出した。
亜希子は、氷枕とタオルを持って桃子先生の部屋をノックした。
コンコン。
「はい。」
桃子先生の弱弱しい声に、亜希子は胸が詰まった。
「先生?」
亜希子の涙声に気づき、桃子先生は体を起こした。
亜希子は、ドアを開け、桃子のいるベッドの横に立った。
「先生・・・今日雪球、投げてごめんね。もっと、この家にいたくなくなったでしょ?
もっと、私のこと嫌いになったでしょ?翔太君が、先生が私のこと嫌いだって、一緒に行きたくないって。」
といった。
桃子先生は、熱にうなされながら、一瞬驚いた顔をして、「亜希子ちゃん・・・私、亜希子ちゃんもこのお家も大好きよ。」といった。
「だって・・だって・・昨日、赤城先生が・・『先生も生徒の家で大変ですね。』って言ってたもん・・・先生が、私、ずっと・・ずっとイヤだって思ってたんだって、そう思ってた・・。」
涙の止まらない亜希子に、桃子先生は起き上がって、亜希子を抱きしめた。
「嫌いなわけないじゃない、大好きだよ、亜希子ちゃんとこの家に住めて、私、本当に良かったと思ってるわ。」
そういうと、桃子先生は、亜希子の手をとり、優しく握った。
「朝は寂しかったな、月曜日からは一緒にこうやって歩いて行こうね。」
といった。
「うん。」と亜希子が返事をすると、桃子先生は安心したように亜希子に体を預け、苦しそうに息をしながら眠った。
「ごめんね、先生、私、桃子先生のこと大好きだよ、だから・・だから・・・
早く良くなって・・・」
亜希子の目からは大粒の涙がこぼれた。
亜希子は、ずっと、先生の手を握っていた。
熱を測ると、39度もあった。
亜希子は、タオルを代えながら、先生の手を握り続けていた。
「亜希子ちゃん・・ごめんね、もう夜遅いから、お休みなさい。私は大丈夫だから。」
と夜中、目を覚ました桃子先生は言った。
亜希子は、「大丈夫、明日は日曜日だし、桃子先生のそばにいる。」
といい、タオルを代えた。
夜中、幾度なく目覚めた桃子先生は、亜希子がずっと握ってくれている手を見て、
安心してまた眠りについた。
亜希子が翌朝気づくと、亜希子に暖かい毛布が掛けられていることに気づいた。
夜中に目を覚ました桃子先生が掛けてくれたのだろう。
桃子先生の顔を見ると、熱は昨日ほどではないようだ。
亜希子がほっとして、タオルを取り替えようとしたとき、桃子先生が目を覚ました。
「亜希子ちゃん・・・、ずっと付いててくれたのね。ありがとう。先生とってもうれしいよ。」と言って、桃子先生は涙を流していた。
亜希子は、そんな桃子先生を見て、「ううん、先生、明日には元気になるかなぁ?私、明日は先生と手をつないであの道歩いていけるかな?」
と言った。
「うん、そうだね、明日までには先生、頑張ってよくなるよ、亜希子ちゃん、昨日のことだけど・・・。」
桃子先生が言うと、亜希子は、
「ううん、いいんだ、先生は、わたしのだぁい好きな先生だもん。」
と言った。
学校へ行く道は、降り積もった雪が太陽の光を浴びて光輝いていた。
完
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2003/12/07(Sun)22:28:43 公開 / うさぎ
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■作者からのメッセージ
なんだか、終わりがあっけなくなってしまいました・・・。
もっといいエンディングを思いつかれる方がいらっしゃいましたらご指導ください。
私は、小学校の先生の話を書くのが好きみたいなので、これからも、こんな感じで書いていきます!もし良かったら読んでくださいね☆