- 『大空の僕達 第一話』 作者:菊地 / 未分類 未分類
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 毎日、毎日が・・あの空の下で過ぎて行く。
 
 僕の下に広がる『雲』。大地なんて、今生きている大人達ですら見たことが無い。それもそのはずだろう、神書の中でしか見たことが無い。
 どこまでも広がる『空』と『雲』。世界の向こうを見ようと、地平線へ目を凝らしてみても、青いグラデーションが薄くなっていき、でこぼこな雲が薄くなり・・・・・何も見えない。
 雲の下には、本当に大地というモノがあるのだろうか?
 
 
 そして、僕は・・・・
 「おいっ! 俺が後で食べようと取っておいたモノだぞ!! 返せよ!」
 「いやぁ〜よっ、見つけたモノ勝ちでしょ? これは、わ・た・し・のモノなの!」
 
 この騒がしい、小さい飛空船にいる。
 
 僕の目の前を、スゴイ勢いで女の子と男の子が通り過ぎて行った。
 
 片手に苺のショートケーキをもって通りすぎて行った女の子、彼女は『エミリア・エンテランス』、僕と同じ歳で、髪は長い綺麗な黒、革製のブーツをはき、白いエプロンの下にピンク色のスカートとセットになった様な服を着ている。
 
 あっ・・・捕まった。
 
 エミリアを捕まえた金髪の男の子、彼は『オルデット・ノンハルバー』、僕より一つ上の歳で、すこし短めに切っている金髪、黒い金具止めのブーツをはき、ブラウスの上から軽いジャケットを羽織っており、すこし大きめのジーパンをはいている。
 
 「あぁ〜・・・ケーキ・・・」
 
 僕はぼやいた。
 エミリアとオルデットの視線が宙を浮くケーキへ・・・
 ケーキはエミリアが扱けたと同時に、飛空船内の宙を舞い、空と雲を映している正面ガラスに激突! ・・・・・・べチャリとクリームの花火がガラスに描き出された。
 ケーキの上に乗っていた苺が・・・コツンと僕の頭に当たり、手に乗った。僕はそれを口に運んだ。
 「美味しい・・」
 
 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」「あああぁぁぁぁっ!!!」
 
 エミリアとオルデットが倒れた状態で、僕を指差し叫ぶ。
 エミリアはオルデットを突き飛ばし、僕にズンズンと歩み寄ってきた。
 
 「一番美味しい所取ってぇ〜・・・・なんでよっ!!」
 
 オルデットも起き上がって、僕に近づいてきた。
 
 「だ・か・ら! あれは俺のだって言ってるだろ!!!」
 
 二人ともそれなりに・・・いや、本気で怒っていて怖いので、僕はあやまった。
 
 それから、三人(何故、僕が掃除をしないといけないのかわからないが・・)でグッチャリと潰れたケーキを片付けていると・・・・・。
 
 「あ・・・・街だ!」
 エミリアがガラスの向こうを指差して言った。
 
 『街』・・・大きな・・それは大きな飛空船の上に建てられている。
 
 この広い空で「街の飛空船」と出会うことはあまりない。珍しいことなのだ。
 僕はガラスに近づき、ガラスにおでこをつけて、その街を見る。
 
 「よっしゃぁ!!なぁ!!勿論、あの街に降りるんだろ!?許可とるぞ!!」
 オルデットはガッツポーズをした後、僕らの飛空船にある通信室に走っていった。
 
 『街』降りるためには・・まず、その街の飛行場に「空き」はあるか聞く、なければ止まれない。それと自分のクルーの人数、や・・・etcと
 とにかく許可を取る。
 
 エミリアがクスッと笑った。
 「オルデットたら・・・絶対、食べ逃したケーキが食べれるとか・・そんな理由で喜んでるんだわ」
 僕もそう思う・・・・オルデットはそれなりにクールなのだが、ケーキが大好きだ。エミリアを追っかけていた時の怒った顔など・・・まぁ・・・怖かった。
 
 「OKだってさ!!」
 オルデットの声が通信室から響いた。
 
 つづく
 
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2003/12/07(Sun)17:37:27 公開 /  菊地
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■作者からのメッセージ
 始めまして、読んでもらえれば光栄です。