- 『わたしのせんせい 第2話』 作者:うさぎ / 未分類 未分類
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ドアの向こうで、桃子先生は、この言葉にショックを受けていた。
どんなに疲れて帰ってきても、亜希子のいつもの笑顔と、「先生だぁいすき」という言葉を聞けば癒された。でも、今日はそうではなかった。
次の朝、桃子先生は、亜希子が食卓にやってくるのを、まっていた。
でも、その日の朝、もう出なければならない時間になっても亜希子は降りてこない。
美代子は、「あのこったら、どうしたのかしら、先生、もう時間ですから、置いて行ってやってください。」
桃子先生は、力なく笑い、「分かりました。亜希子ちゃん、どうしたのかしら。」と言い、
亜希子の部屋のドアをノックした。
コンコン。
「・・・・」 返事はない。
「亜希子ちゃん?大丈夫かな?先生、遅れちゃうから先に行くけど、亜希子ちゃんも学校に遅れないように来るのよ。」
その日は、外に出ると、一面の雪景色だった。
美代子が、「今日は寒くなりますから、先生、気をつけて。」と手を振ってくれた。
一人で歩く道は、いつもより長く感じられるようだ。と桃子先生は思っていた。
いつもの亜希子の手のぬくもりがないのが、心ぼそくてたまらなくなった。
桃子先生が出て行ったのを確認して食卓に付いた亜希子は、桃子先生の朝食がほとんど手付かずであったことに驚いた。
美代子が、「ずぅっとあんたのこと待っててくださったんだよ・・。どうしたね?どうして今日は起きてこなかったの?」
亜希子は目に涙をためながら、「今日は先生と行きたくなかったの。」と言った。
美代子は驚いたが、亜希子の登校時間が迫っていたので、「早くしないと、遅刻するがね?
学校で先生にちゃんと言いなさいね。」
と、亜希子を送り出した。
一人で歩く道は、いつもより寒かった。
足元には、桃子先生の足跡。
「桃子先生・・私と、行きたくないって。なんでなんだろう。
翔太君、なんで桃子先生と来るなっていうんだろう。」
亜希子の頭はそんなことでいっぱいだった。
学校に行くと、あけみが、「今日は一人で、来たのね。」
と驚いたようにいった。
「うん、だって、先生、私と来たくないって、翔太君に言ったって。」
あけみは驚いた。翔太のやつ・・
「嘘よ。そんなことあるわけないじゃない。」
あけみは語調を強めた。
「だいたいあんたね、四月から一緒にきてたんでしょ?どうして桃子先生を信じてあげないの?」
「だって・・体育の先生が、『生徒の家で大変ですね。』って・・昨日。」
亜希子は、その言葉を言うと、涙が一粒こぼれた。
「・・で?」
「え?」
「桃子は何ていったのよ?そこが肝心でしょ?」
「なんにも。」
「はぁ・・・」
それは、ね・・といおうとしたとき、チャイムが鳴り、桃子先生が入ってきた。
「おはようございます。みなさん。今日は寒いね〜。今日の一時間目の体育は雪合戦をしましょう。」
というと、クラスから歓声が漏れた。
桃子先生は、ちらっと亜希子に目をやった。
うつむいたままの亜希子はにこりともしなかった。
雪合戦が始まると、それでも亜希子は楽しんだ。
しかし、翔太たちが、桃子先生ばかりを狙って雪を投げているのをみて、
「やめなよ。」
と一言いうと、
「何?お前やっぱり桃子の見方じゃねぇか。」
といわれた。
「そんなことない!」
と亜希子は言ったが、
翔太は、
「じゃあ、お前も投げてみろよ、思いっきりだぜ。」
といって雪球を渡した。「先生なんか嫌いっていえよ。」
亜希子は、今にも泣きだしそうだった。
でも、そのときの亜希子には雪だまをなげるしかなかった。
そして、桃子先生が、亜希子の方を見たそのとき、
「先生なんか、だいっきらい。」
そういって、亜希子が投げた雪球が、桃子先生の肩に当たった。
桃子先生の顔をみていられなくて、そのまま、亜希子は一目散に走った。
その日は土曜日だったので、授業は午前中で終わりだった。
いつもは、「杉の木のところで待ってるから。」といってくれる亜希子が、一目散に帰っていく。
桃子先生は、そのことが気になり、会議が終わった三時に急いで帰路に着いた。
そのとき、桃子先生は、めまいを感じた。
桃子先生はそれでも急いだ、亜希子の顔を思い出しながら。
つづく
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2003/12/06(Sat)23:42:45 公開 / うさぎ
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■作者からのメッセージ
第二話です!!
きゃ〜これからどうなるの?って
誰も思ってくれないかな・・・笑
漢字間違えてたので直しました・・笑