- 『医者』 作者:鷹羽霧子 / 未分類 未分類
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俺の職業は医者だ
職業は医者と言っても、ごく普通の町医者や研究医と言う訳でもない。
その理由は簡単だ、今私がいる場所が医者と対極に有る場所だからだ。
如何なる崇高な理念や思想を持とうとも、どれだけ国の掲げた正義を信じようとも。
敵側の魔導士の攻撃が頭上をかすめ、騎士の突撃が始まった瞬間それらは、彼方に吹き飛んでしまう。
そう、俺がいるのは戦場。
俺は軍属の医者、正式には医務士官と言うらしい。
国の阿呆な首長同士が殴りあう戦争なら大いに結構、勝手にやってくれ。
実際の戦いは悲惨だ、犠牲に成るのは末端だ。
戦闘が始れば、相当の数の戦死者が発生し、ヒトが肉塊に化す。
負傷者となれば、その何倍の数も発生し、この地獄で生死を彷徨う。
医者に救いを求める奴がこれほど多くいる、ここが医者として俺が居るべきだと思う。
兵士の一団が炎に包まれ、崩れ落ちるように倒れ、ヒトが炭になる。
炸裂音と共に土砂がヒトだった物と空に舞い上がる。
赤い霧が舞い、手足が持ち主から転がり落ちる。
「衛生兵!衛生兵っ!」
「アシガァァァ!アシガァァ」
「ママ、ママ、ママァ」
「オイテカナイデ、ヒトリニシナイデ」
「そいつは手遅れだ置いて行けぇ!」
「タスケテ、シニタクナイ、シニタクナイ」
「狙われいる移動しろ!」
「自分は動けません、ここに残ります」
「ウデガナイヨオ、ウデガナイヨオ、ウデガナイィィ」
「医務士官ッ!医務士官ッ!」
「クライ、ナニモミエナイ、ダレカ」
「オレノウデハドレダ、ナイ、ナイ、コレジャナイ、ドコダ」
「どこにいても同じだ!側面を突く移動しろ!」
「アツイ、アツイ、アツイ、ミズヲ」
「タスケテ、イタイ、イタィィ・・・」
俺を呼ぶ声が聞こえる、だから俺はここにいる。
ここは戦場、私は生きている、そして助けたい。
死にたくないヒト、生きる可能性が有るヒトを一人でも多く。
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2003/12/01(Mon)02:21:44 公開 / 鷹羽霧子
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■作者からのメッセージ
え〜っと、世界観とか分かりにくいかと思います。一応ファンタジー世界のお話です。
ファンタジー世界での戦争に付いて考えたら、こういう話を思いつきました。
まだまだ未熟な文書ですが最後までお読みいただきありがとうございます。