- 『−B−第六章』 作者:最低記録! / 未分類 未分類
- 
	全角2360文字
 容量4720 bytes
 原稿用紙約8.45枚
 第六章 「認定」
 
 機械式の扉が開いた向こうには、難しい顔をした人が十数人並んで座っていた。
 ただ1人、中央に座っている老人だけはやさしい顔をしていた。
 「入りなさい」
 と、右端の男が言うと、カリウスとイオが一礼をして入っていくので、俺も真似て入った。
 裁判所のようだった。
 男達に囲まれるように立っている状態で、俺を睨む。
 まるで、俺が被告人みたいじゃないか。
 「座りたまえ」
 え?いや、イスが無いから。・・・?
 後にはイスが出ていた。いつの間に出てきたのだろうか。
 「ほら、早く座れ」
 と、イオがせかすので落ちるように素早く座った。
 すると、中央に座っている優しそうな老人が始めた。
 「これより、認定評議会を行う。・・・さて、少年よ、どのような経緯でこのようになったか答えよ」
 と、優しく俺に語りかけた。
 
 そこで、俺が話を始めた。
 他にも色々な質問をされて、最後に「協力ありがとう」と言われて、一礼した。
 
 その後、老人の隣に居るやせた男が話し出した。
 「ふ〜む、どうしたものか・・・」
 と、難しい顔をしていった。
 「お願いします!彼を認定してやって下さい!!彼が、我々の所に来てしまったのは本当に不運な出来事でした。気付いてやれなかった私のせいでもあります!
 ・・・だから、私が責任を持って面倒を見ますので、どうか!!」
 涙ぐみながら懇願していた。立ち上がり、頭を深々と下げていた。
 申し訳なかった・・・。
 すると、中央の左に居る太めの男が口を開いた。
 「・・・まぁ、カリスト中将の気持ちがわからんでもない。グレイブ(おそらく、本来のコードネームだろう)君の事も思い出すだろう。」
 すると、一番右に居た男が口を開く。
 「しかし、時期が悪すぎる。消すべきではないか?」
 その言葉に大きくつばを飲む。
 「そんな!ガニメデ元帥!!私が責任を持って、面倒を見ますから!」
 と、カリウス。
 「では、責任を持ってお前の手で処刑してもらおうか?」
 皮肉のこもった微笑を浮かべて、ガニメデといわれた男が言った。
 感じの悪い男だ。
 「おい!ガニメデ!!貴様、人の気持ちを考えたらどうだ?」
 と、太めの男の左隣の体格のいい男が言った。
 すると、中央の老人が目を見開いた。
 「落ち着け!皆の集!!」
 その大きな声に誰もが、驚き、動きが止まった。
 「とりあえず、私がこの子の行く先を見てみよう。それによって、決めるのはどうだ?」
 と、老人が言うとガニメデ元帥が慌てて返す。
 「し、しかし、総司令!もし、これで認定する事になったら、カリスト中将の足手まといになる。カリスト中将は大事な戦力だ!それを失うわけにはいきますまい?」
 すると、少し微笑んで総司令と呼ばれた老人が返す。
 「その時は別に、カリストに頼まなくても良いだろう?休憩所の掃除だって、立派な仕事になる。カリストが帰ってきたときにだけ彼に任せればよい。違うか?」
 「・・・は、はぁ・・・・・・」
 少し引きつった顔でガニメデ元帥が言う。
 すると、老人は俺に向き直り、立ち上がって二コリと笑って近づいてくる。
 「少し頭の中がぐるぐるするかもしれないが、特に問題は無いから安心してくれ。そのまま座って伏せなさい。」
 ぐるぐる?
 よくわからなったが、「ハイ」と答えて膝に伏せた。
 すると、総司令は俺の頭に手を添えて念じ始めた。
 だんだん頭の中に別の意識が入ってきたような感じだ、確かにぐるぐるする。
 それをうまく表現する事はできないけど、なんか・・・だんだん・・・・・・意識が・・・・・・・・・遠くに・・・・・・・・・
 
 ―どうでしたか、タイタニア様?
 「非常に興味深い」
 「とは?」
 「わしは今まで沢山の者の未来を見てきた。その中に、見え無い者は無かった。
 しかしだ。この者の行く末は全く見えない。一、二歩先は見えるがその先は真っ暗だ。」
 「それは、この者が処刑されるという事だからじゃないですか?」
 「まだ言うか貴様!」
 「これ、静かにせい。
 よいか?確かに、そんな気もした。しかし、その暗闇のずっと、ずっと遠くに光が見えるのじゃ。だが、その光は暗闇を照らそうとしない・・・」
 「と言うことは・・・どういうことなのですか?」
 「分からん。だから、興味深いのじゃ。
 わしは、この子にかけてみたいと思うのだが・・・どうだ?」
 「私もそれには興味がありますな。」
 「私もだ。」「私も」「俺もだ」   「・・・皆さん」
 「正気ですか総司令?」
 「なんだ?おぬしは反対か?しかし、賛成多数決と言う物がある。
 今回の評議会は、この子を生かし、認定すると言う事で決定だ。」
 「・・・ありがとうございます」
 「カリスト中将、子のこの事は任せるぞ?」
 「ハイ」
 「イオ准将も頼んだぞ」
 「了解です」
 「・・・皆の集、この者のリレブ(コードネーム)をわしがつけても良いか?」
 「それは構いませんが・・・」「右に同じ」「同じく・・・」
 「アルタイル・・・じゃ。」
 「!!」 「・・・」 「・・・!?」
 「タイタニア様!それだけはいけません!!」
 「そうです!開闢の名をブラックメイデルに付けるなんて・・・」
 「それもアルタイルの名を・・・それだけはダメです。他の物も黙ってはいませんぞ!!」
 「・・・では、こうしよう。もし、この者がそれに相応しい存在になった時まで、アルタイルの名は他の物にはつけない。そして、この者につける。・・・だめか?」
 「・・・まぁ、なれればの話ですがね・・・・・・」
 「・・・」
 
 「あれ!?」
 「お目覚めか?」
 気付くとベッドの上に居た。
 「ここは?」
 「医務室だ。」
 イオが隣に座ってた。
 「俺は・・・どうな・・・ったの?」
 うつむいて、悲しそうな顔をした。
 「まさか・・・」
 と言うやいなや、顔を上げて笑顔になったイオが
 
 「認定おめでとう!コーデリア君!!」
 
 ―こうして、コーデリアとなった俺はシリウス・人間との闘いに赴く事となる。
 まるで、神の描いたシナリオが綴られ続けているように・・・
 
 
- 
2003/12/08(Mon)14:50:10 公開 /  最低記録!
■この作品の著作権は 最低記録!さんにあります。無断転載は禁止です。 
- 
■作者からのメッセージ
 最後のキメ的言葉を入れ忘れていたので、足しました(^^;
 
 ちょっと、謎も増えた今回ですがお読み頂きありがとうございます。
 暇があれば感想お願いしますm(_ _)m