- 『笑顔の宝 ホントの宝 二話』 作者:悠里 / 未分類 未分類
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 原稿用紙約4.8枚
 
 『今日は暑いですね』
 
 何度目かのメール。
 メールの相手は……そう。あの、感想をくれた人……。
 彼は湖海と言う名前らしい。
 男性だと知り、メールをしようかどうか迷っていたけど、彼には何か、魅かれるものがあった。
 
 『そうですねぇ。こっちはもう…暑くてたまりません
 死に掛けてます(笑)』
 
 微笑みながらメールを見ていた。
 男嫌いな私が、普通に男の人とメールをしているなんて……
 しかも、この私が笑うなんて……って。
 嬉しかったし、楽しかった。
 
 『湖海さん、面白いですね』
 
 送信した後、ぎゅっと携帯を握り締めていた。
 こんなにも返事が待ち遠しいなんて……
 私……どうしちゃったんだろ……
 
 『僕も柚華さん面白いと思いますよ。話していて面白いですし♪』
 
 嬉しくて、思わず笑顔がこぼれてきた。
 あぁ……これが笑う……ってことなんだ……
 
 『有り難うございます。私、湖海さんの事好きになっちゃいそうです(笑)』
 
 少し照れながら、そう送った。
 再びパソコンのキーボードに手を移す。
 と、早速返事が返ってきた。
 
 『僕は柚華さん好きですよ♪話していて面白いですし♪』
 
 再び笑顔がこぼれてきた。
 なんでこんなに笑えるのかな……??
 それと……この気持ち……今までに感じたことない。
 恋……って……やつ??
 今まで男って生き物を否定してきていた。
 大嫌いだった。
 愛も、恋も、全てを嘲笑ってきた。
 人には妬みって思われていた。
 それでも怯まずに……否定し続けていた。
 でも……私も恋をした。
 逢ったこともない、まだメールを始めたばかりのこの人に……
 
 『有り難うございます。とても嬉しいです♪』
 
 今までしてきたメールとは違う世界……。
 いつも友達とするメールは……
 
 『柚華ってさ、切れたら怖いよね』
 
 『まぁね』
 
 『なんで??』
 
 『知るかよ じゃぁね』
 
 こんなかんじ……
 湖海さんとも、はじめはこんな感じだった。
 でも、今ではお互い打ち溶け合ってきている。
 
 『僕も嬉しいですよ』
 
 優しい言葉……
 いままでかけられたことのない…優しい……
 分かった。これだよ。優しい気分になれるの。
 湖海さん、普通の人より、ずっと優しいから……。
 
 『湖海さんって、お優しいですね』
 
 たった一行だけど、心を込めたメール。
 伝わったかな……??
 携帯が震える。
 その振動を感じ、携帯を開く。
 
 『柚華さんこそ、とても優しいですよ
 今は孤独な日々を過ごしていますが、柚華さんに出会えてホントに良かったです。これからも宜しくお願いいたしますね♪』
 
 本当に嬉しかった。
 こんなに私を褒めてくれるなんて……って…
 
 『なんだか…湖海さん、お兄さんみたいです♪』
 
 『それじゃ、お兄さんになってあげようか??』
 
 思わぬ彼の返事に多少戸惑ったが、……一瞬で決意をした。
 
 『ぅん!! なって♪お兄ちゃん♪』
 
 …恥ずかしいけど、これが本当の私。
 ぶりっ子だとか、そう思われたくないから、学校では本性を隠しているけど…これが本当の私。
 
 『うん。これからも宜しくね、柚華♪』
 
 『ぅん♪ こちらこそ♪ お兄ちゃん♪』
 
 新しくできた兄に胸を躍らせて、その日は眠りについた。
 心地よい優しさを感じたまま―――――
 
 
 つづく
 
 
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2003/11/28(Fri)23:57:39 公開 /  悠里
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■作者からのメッセージ
 第二話アップさせていただきました。
 まだまだ新人ですが、頑張ります!!
 あぁ…なんだか意味不明な点もありますが、お許しくださいです…(汗)