- 『地図』 作者:鷹羽霧子 / 未分類 未分類
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原稿用紙約2.3枚
そいつは本当に酷く、どこまでも胡散臭く、安っぽい宝の地図
でも人によっては、それ自体が宝物
信じきってしまった彼もとうとう、宝を探す旅に出る
彼が住んでいたのは、小さな島の小さな村
外の世界を知る事が出来るのは、年に数回やってくる船乗り達の話だけ
彼はその船乗りの話が楽しみだった
船乗りの口から語られる、七つの海、七つの大陸を舞台にした冒険話
彼は心踊らせ、胸ときめかせた
ある船乗りが「これは、手にした者に世界の全てを与える宝の地図だ」と言って
彼に宝の地図を渡した
宝の地図を信じきってしまった彼は旅に出る準備を始める
誰もが彼を罵った「デタラメな宝の地図に目がくらんでる」
彼には家族がいなかったので、罵る者はいても、止める者はいない
ホントにでかい、誰もが耳疑うような夢物語でも
彼にとってはそれは現実
こつこつ地道に作り上げた、酷い出来栄えだが、
彼にとっては、記念すべき最初の船
荷物を積み別れを告げ、朝焼けの海に帆を張った
誰もが遠ざかる船を呪いだした
「願わくば、高波よ悪魔となれ、そして欲に目が眩んだ愚か者を飲み込め」と
高鳴る鼓動、高鳴る波
耐え切れず掲げた拳、響き渡る関の声
世界の神ですら俺を笑おうとも、俺は掲げたこの拳を下げない
そして船は嵐の真ん中、容易く覚悟の前に立ちはだかりやがって
世界の神ですら俺を救わなくても、俺はあきらめない
この掲げた拳それが、俺にとって最初の武器
夢はまだ終わらない
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2003/11/28(Fri)01:32:36 公開 / 鷹羽霧子
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■作者からのメッセージ
初めて書いてみました
色々ダメなとこはあるかと思いますが
指摘して貰えれば幸いです。