- 『夕日色の記憶  1話目』 作者:千夜 / 未分類 未分類
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 チーー・・・ン
 
 朝の清んだ空気に、鈴の音が響いた。
 仏壇の前であわせていた手をほどく。
 
 「じゃあ、行ってくるね。」
 
 大丈夫。・・・・大丈夫だから・・。
 
 そう、一言だけ言うと、家を出る。
 向かう場所は学校。
 久しぶりの学校。
 
 「んーーー。 きもちいいーー。」
 
 同じく久しぶりに浴びた太陽に、おもわずのびをする。
 こういうときは、やっぱり普通ってすばらしい!とか思う。
 
 「あ、瑞穂!!」
 振り返ると、友達の美香が歩いてきた。
 「おはよー!」
 「おはよ。あんたどうしてたの??」
 
 ギクリ
 
 「いやー、ちょっと風邪ひいちゃって(汗)」
 「えー?またー??」
 
 いや、うそなんだけどね。
 
 「君は受験生なんだよっ、体調管理はしっかりしなさいっ(先生口調)」
 「らじゃー(笑)」
 
 ビミョ−に似てるし。・・じゃなくて
 
 「ねえ、テストやったってホント??」
 「うん やったよ。でも小テストだし、簡単なヤツだったから。大丈夫だって。」
 「・・・・美香は頭イイから、そんなこと言えるんだよ・・(滝汗)」
 「瑞穂がバカすぎるんだよ。」
 「ヒドっ!!」
 
 あたしと美香は小学校の頃からの友達。しかも8年間、一回も別々のクラスになったことがない奇跡のオトモダチだったりする。
 
 
 
 でも、そんな美香との間でも、一つだけ言えないことがある。
 
 それは、あたしの病気のこと。
 今回休んだのも、それが原因。
 
 この病気は遺伝的なものらしく、もともとお母さんが病気だったらしい。
 
 美香にこの事を話さなかったのは、考えたくなかったから。
 いつか、・・いつか二度と会えなくなるかも、なんて、考えたくなかった。
 
 
 お母さんは、あたしが5歳のときに死んだ。
 
 そして2年前に弟も・・・・
 
 今でも、2人が死んだなんて信じられない。
 あんなに、あんなに笑ってた2人が死んだなんて・・・・
 
 
 死んだなんて・・・
 
 
 死んだ・・・・・・?
 
 
 
 
 
 
 「・・・・ずほ?」
 「・・ほ、みずほっ・・・・瑞穂っ!」
 
 「・・・・・・・・・・え・・?」
 
 「ちょっと、あんたホントに大丈夫??」
 
 気が付くとあたしは立ち尽くしていた。
 
 「だ、大丈夫だよぉ。ちょっとボーっとしてただけ・・・
 
 ・・・・ねえちゃん・・・・
 
 「!」
 ・・・あ・・・・
 
 
 
 考えたくなかった。
 
 
 
 バタン・・・
 
 
 「!ちょっ,瑞穂っ 瑞穂!!!」
 
 
 もう嫌だった
 
 大切なひとが死ぬなんて
 
 考えたくなかった
 
 
 自分が死ぬかもなんて・・・・
 
 
 
 
 
 
 
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2003/11/26(Wed)16:03:59 公開 / 千夜
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■作者からのメッセージ
 はじめまして。
 未熟な私ですが、よかったら感想ください!
 読みにくくて本当にすいません・・・