- 『Sun rise again』 作者:真木 / 未分類 未分類
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Sun rise again
1
夢か現実か・・・僕は陶器をつくる授業を受けていた。広い広い教室の真ん中で。みんなあつまって。陽光がすべての窓から差込みそれは教室の白い白い床に影を描いていた。ここは大きな精神病院だ。日本一広い広い。新しい。病棟はどこも開放的だ。精神病院というより、収容施設といったほうがいいかもしれない。
僕たちは教室の真ん中に密集して先生の作り方を観察していた。
2
集まった中で、ふと、僕のくちびるのところに女の子の頭が位置していた。知っている人。とってもキュートな女の子の。僕は静かにくちびるを頭に近づけた。きれいなストレートの髪とともに、シャンプーのにおいがしてきた。ナチュラルな香りの。そして、静かに静かに髪にくちびるをあわせた。髪にくちびるが触れたとき、変わらない女のにおいを感じた。学生時代、制服にしみ付いていたあの匂い。彼女は動揺しなかった。彼女の手が僕を確かめてきた。彼女は恥らうようなタイプの女の子じゃないんだ。ふたりの陰部は陽光を浴びたごとく熱くなっていただろう。
3
ここは僕の部屋だ。この施設にぶち込まれると出れる人はまれだ。ここで歳を重ねることになる。いくつも。幻覚を見るからだの、幻聴が聞こえるからだのいわれているが、なんのことだろうか。ふと、人の気配がした。彼女が白い鉄の扉の小さな窓に見えた。ぼくは扉を開けに、書いていたスケッチをやめて歩いていった。ドアをあける。「こんにちは。」彼女は言う。「入っていい?」ぼくらはベットの上に座った。「こないだキス、したよね。私わかった。私の気持ちもあなたの気持ちも。」僕は遠くを見つめ、そしてうつむいた。
「ねえ?」 ん?ここから逃げよう。「逃げたいけど、遁れたいけど、学校の数倍はあるじゃん。それに、敷地を出られても門には黒い鉄柵があって・・・」「大丈夫、逃げたいの。この壁の外へ出るのよ。外は楽しいに違いない。ここで一生を過ごしてはだめ。私たち元に戻るの。」
僕にもわかっている。
僕たちはいわば鳥かごの中の鳥。外に出たいんだ。
4
二人は抱き合った。甘いキスを交わした。ぎこちなく。だれかはそうして腰をふらずにいれる?といっているが、僕らは若いがその先へとは進めなかった。
5
僕たちは脱出へとむかった。息がはずむ。そうして息がはずんではずんで彼女にさえついていけなくなったとき。
僕はそこで目が覚めた。精神病院にいれられ、夢を見ていたのだ。早朝覚醒だったらしくまだ薄暗かった。いつものことだ。今日は一番に起きたらしい。明かりがこうこうとついたガラス張りのナースステーションの前を通り、ソファーにすわった。そして、夢を思い出していた。夢のことを。夢のことを・・・。
僕の夢。家族の夢。現実。そして薬のマジックとキュートな女の子について・・・
終
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2003/11/25(Tue)18:40:50 公開 /
真木
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