- 『ゴースト・ロード 第一話』 作者:バイス / 未分類 未分類
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原稿用紙約4.95枚
人がごった返す夕暮れの通り
家に帰るサラリーマンや高校生が駅へと人の流れを作っていた
その流れに逆流するように歩く男がいた
少々背が高く銀縁のメガネを掛け、ベージュ色のコートを来たその男は、時折流れてくる人と肩をぶつけながら歩いていた。ぶつけられた方は素っ気無くそれを無視して進んでゆく。男の方もさほど気にしてるようではなく、軽く頭を下げる程度で謝るのだった。男はさらに肩をぶつけつつも、男は何とか一軒のビルの前まで辿り着いた。男は1階のコンビにではなく、その脇の2階へと通じる階段を昇る。男の前にステンレス製のドアが立ちはだかり、男はそのドアノブを握った
「失礼します」
男は軽く断りを入れて扉を開けた
「お帰り!潤!」
男が扉を開くなり少女が抱きついてきた
短い黒髪に、大きな瞳。白いワンピースを着込んだ少女は困惑する男を尻目にその腰に嬉しそうに腕を回す
「困りますよ・・・離して貰えませんかね?」
「もうちょっと・・・暖かいから」
潤と呼ばれた男―中村 潤にそういうと、少女はしばらく抱きついたままでいた
「うん」
少女が離れる。潤は顔にホッとした表情を浮かべた
「仕事、終わった」
「ええ」
少女の質問に外履きを脱ぎながら答えた
短い廊下を抜け、潤が居間のドアを抜けるとそこには、長い茶髪を後ろに纏めた鋭い目つきの女がいた
「おう、帰ったか」
少女の声よりも少し低い
「あれ?いらしてたんですか?祥子さん?」
潤が聞くと、海野 祥子は顎をさすりながら答えた
「おう、お前が優樹に手を出してねえか心配でな」
優樹―松尾 優樹は笑顔で右手にピースを作りながら答えた
「大丈夫だよ!潤なら手を出されても許すよ!」
「いや、そういう問題ではないんですけどね・・・」
潤は苦笑いでツッコム
「案ずるな、潤。お前にそういう甲斐性があるとは思えん」
ところで、と祥子は思い出したように
「封書が届いていたぞ。つい、昨日」
そう言って中村に封筒を渡した。
「何それ?」
優樹が尋ねる
「ああ、これはね」
茶色の封筒を開けながら言った
「たぶん、仕事完了の」
ボン
声が掻き消される
開けた瞬間、部屋に煙と轟音が充満した
「やあ、中村君。仕事は終了したみたいだね。」
砕けた封筒の残りを握ったまま、眼鏡のずれた潤
驚いて床に尻餅をついた優希
さほど変化はないが、目の端が少しつりあがった祥子
3人の真ん中に少年が現れた
黒いスーツに、赤のネクタイを締めた白髪の少年はにこにこ笑っていた
「また新手な現れ方ですね・・・」
メガネを掛け直しながら潤がうめくように言う
「はっはっは、創造意欲が盛んですからな」
やはりニコニコ笑いながら少年は言った
「前から聞きたかったんだが・・・」
祥子が白髪の少年に尋ねる
「他の『丹伊神』は文面だけで報告するのに、どうしてお前だけ奇抜な現れ方をする?」
「それは・・・」
少し間をおいて
「趣味ですから」
腑に落ちない顔を浮かべる祥子を横目に少年は潤に向き直った
「ところで、さっき『検分役』から報告がありました。ご苦労様です」
そう言うと、白髪の少年の体が力が抜けたように倒れる
「これだけの報告なのに・・・」
潤はそれを受け止めて溜め息をついた
「また捨てるのに困るね・・・」
動かない少年の体―『抜け殻』を突付きながら優希が言った
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2003/11/23(Sun)09:49:39 公開 / バイス
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■作者からのメッセージ
徐々に、アップしていきたいと思います