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『涙のカタチ』 作者:南桜 / 未分類 未分類
全角938文字
容量1876 bytes
原稿用紙約3.35枚
「ねえ、涙って、なぁに?」
そう唐突に、お父さんに聞いた。
だって、知りたかったんだもん。
お父さんは、笑顔で言った。
「それはね、悲しいとき、瞳からながすものなんだよ・・・。」
お父さんは、やさしく、優しく言った。
「じゃあじゃあ、涙って、悪いやつなの?!」

私は、また疑問ができたから、お父さんに聞いた。
すると、お父さんは、クスッと笑って、
「違うよ。涙はね、エリの瞳を、綺麗に、より可愛くしてくれるものなんだよ・・・。」

私は、その言葉で、顔がほころんだ。
「そうなんだ!知らなかった。」

     私が、まだ、5歳の時の話。
でも、もう私は大きくなった。
今は、12歳。

「エリ!エリ!」
お母さんが、私の名前を大声で呼んだ。
「なあに?お母さん。」
私がお母さんに聞くと、お母さんは、涙ぐんでいった。

「お父さんが・・・お父さんが・・・。」

   「えっ・・・・・?」

突然の別れだった。
長い間、ずっとそばにいてくれたお父さんが・・・。
私は、とても信じたくなかった。
でも、これは夢じゃなく、『現実』
逃げられはしない。

   あんなにやさしかった、お父さんと、もう、あえないなんて。

私にそれ以上の悲しみはなかった。
たとえ12歳で、親離れのときだ・・とか言っても、やっぱり両親には、甘えたいもの。
まだまだ子供なのだ。

私は、お父さんが、とっても大好きだったから・・・。
私の名前をつけたのも、お父さんだって・・・。

「あの、ウィエルさん、亡くなったんだって・・・。」
「交通事故でしょ・・・?」
「そうそう、何でも・・・。」
    「体も骨も、全てぐちゃぐちゃになっちゃったんだって・・・。」

近所のおばさんたちの話を聞いていた私は、とても辛い、辛い気持ちになった。
ここに、いたたまれなくなって。

私は走り出す。
踏み切りの中央に、立ち尽くす。
下りてくる遮断機も気にせず。
カンカンカン・・・。
汽車が近づいてくる。
だんだん迫る、私の『死』。


「お父さん・・・。涙って、これ?・・・私、もうすぐ、お父さんの所へいけるんだね・・・・。」


少女が残した最後の言葉。
それは、永遠の涙のカタチ・・・。


         踏切には、彼女の涙が、まるで、宝石のように輝いていた・・・。
2003/11/18(Tue)20:54:34 公開 / 南桜
■この作品の著作権は南桜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして。
南桜です。
初めてなんで、短編まず書いてみました。
どうでしょうか・・・?
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