- 『孤独な戦士』 作者:来夢 / 未分類 未分類
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孤独な戦士。
それを聞いた時、私は思わず笑ってしまった。
学校帰り、ちょうど込む時間の電車でなんとか確保した席に座っていると、クラスの女の子が乗ってきた。
「偶然だねぇ。隣いい?」
特に仲良くもないけど、他に知り合いもいないので話しかけてきたという感じだ。
隣に座ると急に彼女は私の生年月日や血液型を聞いてきた。
「何してるの?」
携帯電話の画面を見ながら答える。
「占い。色占いだよ」
占い・・・か。
占いなんて誰にでも当てはまることを適当に並べてるだけだと聞いたことがある。
全てがそうではないだろうし、信じてないわけじゃないけど。
そして簡単な質問が始まった。
「待ち合わせには遅れるほう?」
ちゃんと待ち合わせの時間には着くようにしてる。
「…いいえ」
「人生で一番大切なものはお金だ」
お金より度胸かな。
「いいえ」
「人を蹴落としてまで出世したくない」
人のことなんてどうでもいいよね。
「いいえ かな」
「え、出世したいの」
少し驚いたように呟くと、また黙った。
「結果でたよ。 色は紫だって」
「へぇ」
「あたしは黄色だったよ〜」
紫色、私の誕生石のアメジストの色で高貴な色だといわれている。
悪い気はしないな。
「タイプは『孤独な戦士』だって」
「孤独な戦士?」
彼女はさらに詳しく読んでいく。
強くて、一人でも生きていけるタイプ。
冷静で、でも努力が嫌いで、周りから理解されがたいタイプ。
「当たってるねぇ」
彼女の無邪気な声に、私は驚いた。
強くなりたい。
一人でも生きていけるように。
感情なんていらないから、冷静な判断力が欲しい。
これがまさに私の理想だった。
そしてそれは友達づきあいが上手くできない私のいいわけだった。
がんばって一人で耐えようと思った。
そしていつのまにか作り上げた自分。
孤独な戦士。
なんて悲しい響きなのだろう。
戦士の孤独は永遠なのだろうか。
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2003/11/17(Mon)21:56:27 公開 / 来夢
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