- 『変わった客』 作者:最低記録! / 未分類 未分類
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 変わった客
 
 国道沿いの小さなコンビニ。
 闇夜に包まれて、淡く光るその光は目立っていた。
 私はつい最近バイトとして、ここの店員になった。
 国道沿いと言うことで、客も多く忙しいのだが、近くのコンビニでは断られてしまった。
 楽して儲けたかったが、客の少ない所はそれなりに雇う金も無いのだろう。
 結局、ここしか受け入れてくれなかった。
 私は夜に学校を終えてから、月・水・土の週3回来る事にした。
 そして、今日は月曜日。
 先週から始めて、4回目の今日は少し慣れた気分でコンビニに入り、先の店員に挨拶を済ませて、奥で準備をし、カウンターに立った。
 
 今日はやけに、人が少なかった。珍しい事もあるもんだ、と思っていると1人客が入ってきた。
 「いらっしゃいませ!」
 愛想を振りまいて元気に言う、この挨拶も少し慣れて来た。
 しかし、入ってきた客はブスッとした顔でスタスタと通り過ぎた。
 こんなもんさ。と、いつも思う。
 客は奥をうろうろし、買う物を選び終えると足早にこっちに来て、無言で差し出した。
 「ハイ、いらっしゃいませ〜。」
 なぜ、二回も言わなくてはいけないのか・・・と、疑問にも思う。
 けど、それがコンビニという仕事の宿命なのだろうとも思った。
 よく見ると、客は・・・不良だ・・・。
 まぁ、不良と言うには随分若い不良だ。おそらく、中学生を卒業した程度だろう。
 ダボダボのB系ファッション。ドッグタグをちらつかせ、キャップを斜めにかぶり、その目つきはギラギラし、煙草くさかった。
 感じ悪〜、と思いつつ、買った品を見てみると・・・!?
 え?
 抹茶のムース?
 お〜い、お茶ホット?
 それから・・・櫛?
 その上なんだ、勝手にストローやスプーンまで取っちゃって・・・。
 なんだ?普通こんな物を買うか?不良が。
 私自身、不良じゃないから分からないけど・・・
 まぁ、そういう物好きの不良もいるのだろう。
 精算を終えて、また愛想を振り撒いて。
 「ありがとうございました〜!」
 と言う。実は、これ変に体力を消耗する。
 変わった客だなぁ〜。と思った。
 結局、その日はその後もあまり客は来ずに終わった。
 いつもこうだと良いな〜、と思いつつコンビニをあとにした。
 
 水曜日、今日は結構人が来た。
 あの、変に体力を消耗する挨拶を沢山しなくてはならない日だった。
 すると・・・!?
 また、あの不良君だ。
 「いらっしゃいませ〜!」
 あの不良君・・・今日は何を買うのだろう?
 ・・・?
 え、また同じ!?
 確かに見えた。同じ物を持っていた。
 全く・・・変わった客だ・・・・・・
 そう思っていた。
 
 そんな、不良君は毎回毎回来ていた。
 火曜日も担当の人に聞いてみると、その日も来ているらしい。
 どうやら、毎日来て、毎日同じ物を買っているようだ。
 時間はまばらだが・・・・・・全く変わった客だ。
 
 それからも、ずっと同じように来た。同じ物を買うために来た。
 私は少し、彼に興味が湧いた。
 
 一月もたった頃だろう。
 私はいつものように、ここに来てカウンターに立った。
 また、あの変わった客が来ることを想像しながら。
 しかし、今日はいつになっても彼が来ない。
 珍しい事もあるもんだ。と、思い国道の方を見た。
 すると、そこをあの不良君が走っているではないか!?
 かなり焦った顔つきで、全力疾走していた。
 私はその姿に驚き、思わず外に飛び出てその姿を改めて見つめた。
 なに?なんなの?
 それ以来、彼はこのコンビニに姿を現さなくなった。
 
 彼が来なくなってから、何日か経ったある日。
 いつものように、コンビニに赴いた。
 カウンターに立っていると、1人のおばさんが入ってきた。
 げっ・・・
 このおばさんは、おしゃべり好きで知らない私とも突然カウンターで喋りこんでくる、人なのだ。
 また・・・きちゃったよ〜。
 ・・・そして、案の定買う物を持ってきて話し出した。
 どーでもいー話をずらずらと、している内にレジはこんできた。
 「あの・・・レジが混んでおりますので・・・」
 と言いかけた言葉も
 「あ!そうそう!!」
 と、話を持ち出す。
 「つい、この間近所で有名な物知りおばあさんが亡くなったらしいわよ。」
 だから、何?と言いたかった。
 「なんでも、ここのすぐそばにある、病院に入院していたらしくてね、親が看病できないから、変わりに孫が行っていたらしいよ。けどね、その孫がここらで有名な不良でね。ちゃんと、看病してやったんだろうか・・・」
 
 不良・・・?
 私は、不良の言葉であの変わった客を思い出した。
 そして、しばらく考え込んだ。
 
 ・・・そうか、だから・・・・・・
 
 コンビニは、今も夜に淡い光を放っていた。
 
 
 
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2003/11/15(Sat)18:22:50 公開 / 最低記録!
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■作者からのメッセージ
 ありがちなストーリーでしょうか?(^^;
 バイトやった事無いので、システムが分からない状況で書きました。・・・のでおかしい所あるかもしれません(汗 中学生なもので^^;
 
 一話完結のショートなら連続投稿大丈夫・・・ですよね?(18時間以内
 
 暇があれば感想お願いします。