- 『友情  〜第五章 三ヶ月〜』 作者:悠 / 未分類 未分類
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 数分後、二人はD組にいた。
 一応、紗子のクラス、B組には玲はいなかったが、紗子が嫌がったので、
 将登がカバンを取りに行き、その間、将登の席に座っている事にした。
 
 「紗子、おまたせ。これで全部?」
 
 「ん…と、うん。ありがとう…」
 
 いつもの太陽のように眩しい笑顔はそこには無かった。
 厚い雲に覆われて、光が見えなかった。将登は、紗子の手をぎゅっと握った。
 
 「ねぇ、紗子?今日、何の日か覚えている?」
 
 「…え?」
 
 不意を付かれたかのように紗子が顔をあげる。
 そこには、将登の優しい笑顔があった。
 
 「今日、俺たちの三ヶ月記念!もしかして、忘れちゃった?」
 
 「忘れてない…けど、何で?」
 
 「記念に何処か寄ってかない?」
 
 紗子の悲しみを紛らわせる為、将登は出来るだけ明るく言った。紗子は安心し、少し微笑んだかのように見えた。
 
 「将登といれれば…いい」
 
 その言葉に将登は困った。
 こういう事を言えば、いつも何処に行きたいかをはっきり言う紗子が
 こんな事を言うとは思っていなかった。
 
 紗子はそこまでショックを受けているのか…俺に何かできることは無いのか?
 でも、よく考えてみれば、思い出に残る事をすれば、さっきまでの事を含め、紗子の心に深く残ってしまう…
 
 そんな事を考えていると、言葉が少なかった紗子が口を開いた。
 
 「将登…」
 
 「ん、何?」
 
 「…ごめん…ね。」
 
 思いがけない言葉に驚くと、紗子の目には涙が溢れていた。
 
 「ごめん…ごめん…っ」
 
 「違うよ、紗子は悪くない。よく耐えたね。こうなる前に気付けなくてごめん…」
 
 「うう…ん。私が悪…いっ…」
 
 涙をこらえながら自分を責める紗子が、ケナゲで、可愛くて、自分が守らなくてはいけない、と思った。
 
 「紗子、帰ろうか。」
 
 二人は学校から紗子の家まで、ギュッと手をつないで帰った。
 
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2003/11/10(Mon)18:08:01 公開 /  悠
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■作者からのメッセージ
 第五章、自己満五回目ですo
 そろそろ続きを書き足さないとやばい!(汗
 
 はるかサン、いつもレスありがとう!!