- 『希望のかくれんぼ―前―』 作者:柳沢 風 / 未分類 未分類
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もういいかーい。
まぁだだよー。
日常によくある、『かくれんぼ』をして遊んでいる子達を見ると、
私はいつも足を止めてしまう。
高校生になった今でも、
『あの出来事』は、私の胸に突っ掛かっていた。
12年前―・・・。
幼稚園のグラウンドに、皆がかくれんぼをしようと集まってくる。
その時引っ越してきたばかりだった私は、
「わたしも入れてー」
と言って皆の輪に入っていく。すると皆は、
「いいけど、かわりに芽衣ちゃんがおにになってね」
と、言うのだ。
「え・・、私いつもおにになってるよ?」
私が焦って言うと、
「じゃなきゃ、入れてあげないよう。」
とひとりが言って、他の皆もうなずく。
その時ひとりが嫌だった私は、少し笑って、
「わかった。」
と、言った。
もういいかーい。
「まぁだだよ・・・」
私は自分の幼稚園時代を思い出しながら、ぼそりと呟いた。
その時、
何かが私の横を、すごいスピードで通り過ぎていった。
私はばっと振り向く。
すると、そこにいたのは―・・・・・・。
幼稚園の時、小さく泣き声をあげた私の心。
高校生になった今も、私の心の隅に残っている、
小さな悲しみ。
私の『希望』は、あの幼稚園の時から
『かくれんぼ』して見つからない。
自分でも12年前のことを引きずりすぎだと思うが、
この『かくれんぼ』は、ずっと心に残っていた。
その理由が今、なんとなくわかった。
私は前を向いた。
そこに立っていたのは、
幼稚園児のころの私、
『園田芽衣』だった。
そこに立っていた芽衣がまた走り出した。
私は夢中で追いかける。
なんとなくだが、
芽衣を・・昔の私をつかまえれば、
何かを見つけられるような気がした。
不思議と怖くなかった。
心の中で、
これが私にとって、
最後のおにだと・・・
最後の『かくれんぼ』だと思った。
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2003/11/06(Thu)22:00:26 公開 / 柳沢 風
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■作者からのメッセージ
今回は不思議な話です!
どうでしょう?
今少しスランプで作品が微妙です。(いつも微妙ですが・・)
これからもがんばります〜!