- 『私のためのワルツ (1)』 作者:めい / 未分類 未分類
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原稿用紙約3.4枚
菜代は中学3年生に進学した。
制服にリボンをつけてみたり、かばんをスクールバックに変えてみたり・・・・
いい暖かさだった。とても春らしく、新鮮な気持ちになる。
そのうちきっと勉強やら入試やら色々とごたごたしてくるかもしれないと
思われつつも、彼女は気持までもが春らしい。
クラス替えは、菜代の思い通りになった。いつも一緒に登下校をしている
一季もいたし、菜代と同じ吹奏楽部の彩子もいる。少しほっとして、
「帰ったらどっか行こうかな。」と、無意識に一言。
彼女がそんな風におもうのはめずらしい。いつも洋服がないだとか
人に会ったら恥ずかしいだとか言いほとんど買い物も行かないし
友達と遊んだりもしない。ましてや菜代は散歩なんてほとんどしない子なのである。
今日は始業式とクラスの学活だけなので、10時には学校が終わり、
みんな帰る。家に帰ったら紅茶を飲んで、少しゆっくりして、
それからどこかをほっつき歩こう。
ふと気が付くと担任の先生が明日の事について話していた。
今までの言葉は全然耳に残っていない。
菜代の頭の中はどこかを散歩する事でいっぱい。
「どこかを散歩する」ただそれだけの事だけど、
今までの彼女にとって、それは誰よりも大変な事だった。
菜代は制服を着ていないと安心できない子。みんな一緒だから。
「私服」はこの世で一番嫌い。
自分をのぞかれる見たいで、それがたまらなくて、
町で学校の女の子達を見かけた時、隠れてしまった事もある。
(変と言われれたらどうしよう。私はどう反応すれば良いの?)
そうやって考えているうちに気が付くと逃げていた。
しかし今日は違う。菜代は成長していた。
「今までただ着ていただけの制服にリボンをつけたし、髪を切ってかわいいと
友達にいわれたしかばんはスクールバックにしたんだから。」
少し大人になったのか、彼女は「自分」というものを新しくした。
「今までの私は、自分に自信がない私。でも、今は自分に自信がある私」
菜代は自分にそれを言い聞かせながら先生の話が終るのを待っていた。
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2003/11/05(Wed)02:35:03 公開 / めい
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■作者からのメッセージ
祝初投稿☆中3のめいです。
前に自分で書いた小説を少し書き直して
投稿しました。良かったら感想くださいな♪