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『Mechanical〜機械仕掛けのヒト〜 1』 作者:五月雨 夏月 / 未分類 未分類
全角1057.5文字
容量2115 bytes
原稿用紙約3.75枚
「お前は、『Mechanical』という単語の意味が分かるか?」
ジュノは何故か突然、本来ゼロが聞きたいことである「博士とは誰か、またそれがジュノの親のような存在だとはどういうことか」という質問からかけ離れていると思われる問いをゼロに向けた。
「はぁ?めかにくるだぁ?」
突然訳の分からないことを言われ、困惑した様子のゼロ。
しかし、ジュノはその問いをもう一度繰り返した。
「『Mechanical』という単語の意味が分かるか、と聞いているんだが」
「…え?あぁ…うん、一応」
実は英語の授業は得意であるゼロは、頭の中からその単語を引っぱり出した。
「機械的とか…機械仕掛けだとか…そんな意味だったろ?」
「あぁ」
ジュノは短くそう返事を返すと、目を細めた。
「俺は昔、『Mechanical』と呼ばれていた…昔といっても、数年前のことだがな」
「『Mechanical』…?機械仕掛けって呼ばれてた、ってこと?」
ゼロは目を丸くして、それを問うた。
ジュノは、どこか寂しそうに、そして悲しそうに頷いた。
「そうだ。つまり、それがどういうことか…お前にはわかるか?」
ゼロは黙って首を横に振った。
この次にジュノの口からどんな言葉が飛び出してくるのか、想像もつかなかった。
「…そう…だろうな…」
ジュノは悲しそうに微笑い、目を閉じた。
そして、ズボンのポケットからカッターのような物を取り出した。
カチカチと刃を出し、それを自分の手に向ける。
「なっ…おい、なにすんだって…」
ゼロがそう呟くのと殆ど同時に、ジュノは…

「スパァン」という効果音がピッタリなほど…
綺麗に指先を切り落としてしまった…。

ゼロは唖然として、目を大きく見開いた。

「おいっ、お前…っ」
ゼロがそう言うと、ジュノは鮮血の溢れる指をずいとゼロの前に突き出した。

「…見るがいい」
ゼロは、顔をそこからそむけた。
血の流れる指に、その中にある生々しい肉。
そんなグロテスクな物なんか、見たくもない。
だが、ジュノはゼロの顔を自分の指の方に向けさせた。
「見てみろ。そこまでグロテスクな物じゃない…」
ゼロはやはり見るのが嫌らしく、目を閉じて開こうとしない。
この現実から、逃げるように。

「お前が真実を求めるなら、見てみろ」

ジュノのその言葉に、ゼロは薄く目を開いた。
そこにあるのは、ジュノの指とそこから迸る紅い液体。
そして…

「…ッ!」

機械にしかありえないであろう、導線。
パチパチと弱い光を放つ、細い管やチューブ。

「…分かったか?俺は人間じゃない…。つまりこれが、俺が『Mechanical』と呼ばれていた理由だ」
2003/11/02(Sun)21:33:27 公開 / 五月雨 夏月
■この作品の著作権は五月雨 夏月さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
…お久しぶりです。(又は初めまして)
執筆速度が妙に遅い五月雨です。カメ並…?
ようやっと出せました、ジュノちゃんの真の設定。(ぇ
あぁ、緊迫感が出せない…。
自分の文才のなさを恨みつつ、投稿させて頂きます(笑
感想など頂ければ幸いです。
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