- 『指先と指先でこんにちは 1』 作者:ハイジ / 未分類 未分類
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 憂鬱な日々さよなら
 そして今新しい扉・・・
 
 開いとく?
 
 
 
 「おっはよー!ゆ・う・じ☆」
 「うっわ!お前いつもより増してキモイ!」
 「キモイだと・・?」
 
 松方千佳17歳。
 吉住祐司17歳。
 多分青春やってる。
 
 「俺さぁ、昨日2組の小百合ちゃんと話しちゃった!すごくない?」
 「小百合ちゃん・・?ああ。小泉さんか。」
 「そう!こう・・ギュー!って守りたくなるんだよね!白くてちっちゃくて・・」
 「千佳とは正反対!って言いたいんでしょ?」
 「何で分ったんだよ!」
 
 こうやってバカっぽいことを話して毎日を過ごしていく。
 
 それが2人の暗黙の了解。
 これでも2人、恋人同志だったんです。
 過去形だけど。
 
 
 ずっつずっとまえの話。
 「祐司、あたし、エイズに、なったっ・・・ぽい、んだ。」
 
 エイズこの一言が始まり。
 
 途切れ途切れでやっとの思いで吐き出した言葉。
 あの時の祐司の顔忘れやしない。
 「マジで?嘘でしょ?」
 でも私の目に溜まった涙を見て嘘ではないと悟った祐司。
 「え、ごめん・・」
 「何で祐司があやまるの?」
 「・・・・」
 「赤ちゃんはできてなかった。でもエイズはなってた。」
 
 もう笑うしかない様子で祐司は口端を少し上げた。
 
 「そっか・・」
 「うん。」
 
 何分かの沈黙。
 
 「・・・・ぅ」
 涙が出てきた。なんか不甲斐なくて。
 祐司のせいなんかじゃないのに。
 
 ただ、私達愛しあっただけなのに
 
 買ったばっかりのマフラーが涙で濡れる。
 寒い冬の日で涙が頬に刺すように凍みた。
 
 
 
 
 
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2003/10/30(Thu)17:20:34 公開 / ハイジ
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■作者からのメッセージ
 今日は。ハイジです。
 エイズは本当に真剣に考えなきゃなぁ。
 と思います。
 これから宜しくお願いします。