- 『STRAIGHT OUTTA STREET $1$』 作者:WEED / 未分類 未分類
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原稿用紙約7枚
「ゲンキ、明日時間あるか?」
出かけようとしたゲンキと入れ違いで帰ってきた親父が俺の顔色を伺いながら聞いてきた。
「…夜ならいいけど」
「そうか。…会わせたい人がいるんだ」
「…会わせたい人って芳川さんだろ?」
「え…、知ってたのか?」
「時々電話かかってきたし…」
戸惑う親父を残してゲンキは家を出ようとした。が、あまりにも動揺している親父を見てゲンキは立ち止まり言ってやった。
「安心しろ、反対なんかしねーよ」
親父は驚きと喜びを顔一杯に浮かべながら、それでも不安そうに聞いてきた。
「ほ、ほんとか?」
「ああ。…明日はなんかでっけー肉が食いたい気分だな」
「わ、わかった!でっかいのだな!」
親父は今にも踊りだしそうな雰囲気だ。
「じゃ、俺行くから。朝まで帰んないから火の元に気をつけろよ」
「ああ、気をつけて…」
親父の声を背中で聞きながら俺は家を飛び出した。
『ゲンキ今どこだよ?』
携帯の向こうでショウが怒鳴っている。
「今中学校の横だよ」
ゲンキは信号が青に変わるのを待ちながら答えた。カーステから流れているFabolousのThis Is My Partyに合わせて体が自然に揺れる。
「ショウは今どこいんだよ?」
『パチンコ屋の横のコンビニだよ』
「は?まじかよ。そこたまんなって言ったべ?」
『なんでだよ』
「ユウタ君がぶっ飛ばされたコンビニってそこだよ」
『は?ココなの?』
「ああ。すぐ行くから店から出るなよ!」
『わかった。ダッシュな!』
ゲンキは信号が青に変わるとアクセルを思いっきり踏み込んだ。信号を三つばかり無視して五分ほどで目的のコンビニに到着した。
「んだよ、中で待ってろって言ったべ」
ゲンキの車に駆け寄ってきたショウは笑いながら言った。
「だってよー、こんな可愛いおねーちゃんいたらじっとしてらんねーだろ?」
見るとショウの後ろにそこそこ可愛い女子高生が二人いた。
「ふーん。いいからさっさと車乗れよ」
「なんだよ、機嫌悪いな。あ、これが後輩のマツ君」
「チワス」
ショウの横にいた小太りの少年がぺこりと頭を下げた。
「おう、君がマツ君か。色々噂は聞いてるぜ?」
「よろしくお願いしまっす!」
「おいおい、気合入ってんなー」
ゲンキが苦笑いするとショウは自慢げにマツの肩を叩きながら言った。
「マツはまだ16なんだけどよー、ウチのチームの幹部候補なんだぜー?」
「ほー、んじゃなかなか危ない奴なんだな」
「そんなこと無いっすよー」
マツが笑いながら言った。笑顔を見るとまだまだ子供って感じだ。
「ま、いーから車乗れよ。腹減ってんだよ」
「おう、じゃとりあえず飯行くかー」
ショウは助手席に乗り込むと窓を開け女子高生達に手を振った。
「んじゃまたねー!今度遊ぼうねー!」
「バイバーイ」
女子高生達の姿が見えなくなるまで手を振ると、ショウはCDを探り始めた。「ウェッサイねーの?」
「探してみ」
ゲンキがバックミラーに目をやるとマツがかしこまって座っていた。
「ははは、マツ君リラックスしなよ」
「”恐怖のゲンキ君”の前じゃさすがのマツも硬くなっちまうよなー?」
ショウがCDを探りながら言った。
「お、Chingyみっけ」
「ウェッサイじゃないじゃん」
「いいんだよ」
ショウはCDを取り替えながら言った。
「マツの世代にもお前の名前は知られてんだぜ?」
「まじかよー」
「”桜台守護神”の名は自分等のとこまで伝わってきてます」
「おいおい、やめてくれよー」
「かなり有名っすよ、ビレッジ事件とか」
「おー、ビレッジ事件かー。クラブで相手がヤクザだって分かっててタンカきってぶちのめした奴なー」
「あ、中学校の頃のも有名っす!修学旅行事件とか」
「他校と揉めてお土産屋でわざわざ木刀買って相手の学校の泊まってるホテル乗り込んでこれまたぶちのめした奴な」
「大野駅事件では死人も出たって話じゃないっすか!」
「おー、フィリピン人の殺し屋名乗ってた奴がゲンキに追いかけられて線路飛び出して電車に轢かれて死んだって奴な!あれ傷は大した事無かったのに電車に轢かれたショックで死んだんだぜ」
「まじっすか?」
「なのに逮捕者一人も出なかったってのが驚きだよな」
「それくらいにしといてくれよー。俺の過去を暴いて楽しいかー?」
「うん、楽しい」
ショウはやめようとしない。
「でもこれ以上話すとゲンキ怒り始めるからまた今度話してやるよ」
「ははははは」
マツはだいぶ緊張が解けたようだ。
「飯どこで食うよ?」
「うーん、マツどこがいい?一番お前が食いそうだからお前が決めていいよ」「牛丼屋が一番安くて腹いっぱいになると思います」
「牛丼屋かー。女っ気ねーなー」
「ショウはほんっと女好きだな」
「ゲンキだって好きだろ」
「うるせーよ。俺も牛丼食いたいから決定な」
「えー」
「多数決で2対1だから決定!極めて民主的!」
「なんだよそれー」
ぶうぶう文句を言うショウをからかいながらゲンキは牛丼屋を目指して車を走らせた。
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2003/10/28(Tue)02:44:52 公開 / WEED
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■作者からのメッセージ
めちゃくちゃですがよろしくお願いします。