- 『MeiL』 作者:超丞 / 未分類 未分類
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 ぴろりろりん♪
 
 
 
 
 
 
 オレの携帯にメールが着信した。
 
 
 
 “はじめまして、わたしとメールしてくれませんか?”
 
 
 
 という内容の見たことのないアドレスからメールだった。
 オレは暇だったから面白半分で送り返した。
 
 
 “いいよ☆オレとメールしても楽しくないかもしんないけどいいの?
 (笑)”
 
 
 数分して返事がきた。
 
 
 “きっと楽しいはず!(笑) 自己紹介しま〜す★☆
 名前は菱沼美恵子(ひしぬま みえこ)。ミエって呼んでね(*^^*)
 歳は17歳の高校2年だよ♪他に聞きたいことあったら言ってね☆ あなたは?”
 
 
 高校2年・・・オレとタメだ。あぁ、早く送り返さないと・・・
 
 
 “オレは加○ 茶だよ!歳は17でタメだよ〜(*^○^*) どこに住んでるの?”
 
 
 また数分してメールがきた
 
 
 “○には、もしかして『藤』が入る?(笑) うそでしょ!? それなのに17歳って・・・サバよみすぎだよっ(笑)
 住んでる所はね札幌だよ(≧∇≦)”
 
 
 このコ、ノリがいいなぁ。札幌・・・オレも札幌。偶然だな。
 
 
 “ウソウソ、本当は日向慎仁(ひなた しんじ)、シンって呼んで☆ オレも札幌住んでるんだよ〜、偶然だね!”
 
 
 送信っと。
 
 
 
 
 時刻は12時を回っていた。
 慎仁は
 「明日朝錬で朝も早いからもう寝るかな。」
 と、独り言を言って布団に入った。
 電気を消すと同時にメールが届いた。
 
 
 “シン君も札幌なんだ!いっつも登校するときにあってるかもね(笑)
 なんか部活とかやってるの?”
 
 
 寝たかったので手早く返事を返した。
 
 
 “サッカー部だよ(*^0^*) その朝錬あるからもう寝るね(-_-)zzz... ”
 
 
 オレは睡眠を邪魔されたくないので寝る前は電源を切って寝る
 今日もいつものように電源を切ったあと、布団の中で
 『そういえば、なんでオレのアドレス知ってるんだ?』
 という疑問と葛藤した。
 きっとオレのアドレス簡単だから適当に打って送ったんだろうな。
 と勝手に解釈した。
 
 だけど、本当にそうかな?
 と考えてしまって
 その解決するわけがない疑問と葛藤してるうちに
 オレはいつのまにか寝てしまった。
 
 
 
 
 
 
 「シン〜〜!! おきなさーーい!! 遅刻するわよ〜!!!」
 
 母親のいつもの台詞で起床した。
 携帯を見るとメールが2通きていた。
 
 1通目は
 
 “そっかぁーサッカー部か。わたしはなんもやってない(笑) 帰宅部だよっ(*^0^*)
 じゃあ迷惑になると思うからおやすみ☆★”
 
 
 2通目は
 
 “おはよ〜\(~0~)/ 朝錬がんばってね★☆ いってらっしゃい&いってきます(笑)”
 
 
 どっちもミエからだった。
 時間がなかったから急いで返事を返した
 
 
 “はやすぎ(笑) まだ起きたばっかだよ(゚ー゚;)
 じゃあ、いただきま〜す&いってきます(笑)”
 
 
 このメールを送ってすぐに用意されていたパンをものすごい速さで口に詰め込んだ。
 そして、歯を磨いて、顔をあらって、制服をきて・・・
 どれも、ものすごい速さだった。
 そして、そのままのスピードで
 「いってきます!」
 と駆け足で学校に向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 朝錬が終わって、教室に向かった。
 「おはよ〜。」
 教室に入ると
 見慣れた顔がたくさんあった。
 「ちょっと聞いてくれよ、昨日さ・・・」
 シンは昨日のメールの出来事を友達に話した。
 「写メとか送ってもらわなかったの?めっちゃかわいいかもよ」
 と笑いながら言われた。
 
 たしかに、めっちゃかわいいかも!?
 どんどん気持ちは高ぶっていった。
 今日写メ交換しよっと。
 どんな顔なのかなぁー。
 と、考えていると時間が過ぎるのがものすごい早かった。
 
 
 
 
 
 部活も終わって家に帰って携帯を見てみると
 メールが3通届いていた。
 
 1通目は
 
 “あの借りてるマンガ明日持ってくわ。心の準備しとけよ!(謎)”
 
 いっつも文章の最後に『(謎)』をつける先輩からだった。
 
 
 2通目は
 
 “明日の時間割り教えてくれ〜。”
 
 いつもボケーっとしている同じクラスの友達からだった。
 
 
 3通目は
 
 “ただいま&おかえり☆★ 今日も疲れた〜(>-<#) シン君は付き合ってる人とかいないの??”
 
 
 
 1、2通目までは適当に返信した。
 
 3通目を送るときはちょっと考えて送った。
 
 
 “オレも疲れた〜。今はいないよ(T_T) ミエはいないの?”
 
 
 すぐに返事はきた。
 
 
 “わたしもいないよ〜(T_T) 付き合おっか?(笑)”
 
 
 オレは学校で友達に言われたことを思い出した。
 
 
 “じゃあさ写メ交換しない?顔知らないで付き合うのとかなんかおかしいっしょ?(笑)
 あと電話番号も教えてくんない?ってか付き合う気満天かよっオレ(笑)”
 
 
 なぜだか返事が返ってこなかった。
 なんかオレ悪いことでも言ったのかな・・・?
 考えてもわからなかった。
 
 
 
 寝るときにメールがきた。
 
 
 “ごめんね、写メはもっと仲良くなってからにしよっ電話番号も☆
 それより聞いて!今日学校でね、英語の先生のカツラとれちゃって(笑)もう笑い止まんなかったよ〜”
 
 
 話を逸らされた・・・写メみせんのとか嫌なのかな。つーか、かつらって。絶対うそだろ。
 
 
 “それは、きずかないふりしてあげたほうがいいよ(笑) じゃあ明日も朝錬あるから寝るね☆”
 
 
 オレはあえて『うそだろ』と指摘しなかった。
 
 
 
 
 次の日の朝も
 彼女からメールがきていた。
 
 学校から帰ってくると
 やはり彼女からメールがきていた。
 そして、寝るまでメールをして・・・
 朝起きてまたメールがきてて
 ずっとその繰り返しだった。
 同じような毎日の繰り返しだった。
 でも、その繰り返しがすごい楽しかった。
 
 
 
 いつの間にか彼女に恋をしていた。
 
 顔も見たことない相手なのに
 文章だけで恋してしまった。
 
 冷静になれ、オレ!
 
 と何度も言い聞かしたけど
 ダメだった。
 
 
 
 そして、そんな生活を始めてから3ヶ月が経った。
 
 
 
 
 
 
 
 ぴろりろりん♪
 
 
 
 
 “今度会わない?12月24日の朝の10時に札幌時計台で!”
 
 
 ミエからのメールだった。
 オレはびっくりした。
 写メを交換するのを嫌がっていたコが『会おう』なんて言ってくるなんて・・・
 
 
 “もちろん、いいよ!部活休んででも絶対行く(*^0^*)”
 
 
 今日は21日。
 ちょうど24日は日曜日で学校もない。
 
 
 
 そのメールがきてから、ずっと楽しみで学校でもニコニコ
 笑顔がとまらなかった。
 
 
 
 
 
 そして、とうとう24日がやってきた。
 
 
 朝6時に起きて
 風呂に入って
 ごはん食べて
 歯磨いて
 顔洗って
 一番お気に入りの服を着て
 同じく一番おきにいりのネックレスをして
 香水をつけて
 髪をセットして
 
 8時には準備は終わった
 待ち合わせの時間は10時
 家を9時にでれば30分前にはつける。
 
 あと1時間・・・
 
 財布の確認
 髪型の再セット
 準備は完璧だった。
 そして、9時になり家をでた。
 
 オレは予定通りに30分前についた。
 そしてミエにメールを送った。
 
 
 “もうついた(笑) 待ちきれなくて早く来ちゃった。かっこわるっオレ(笑)”
 
 
 15分ぐらいしてミエからメールがきた
 
 
 “わたしはあと、5分ぐらいでつくよ〜(*^0^*)”
 
 
 あと5分で彼女を見れる。
 3ヶ月もメールをしていた相手に会える。
 どんな顔なんだろう。
 どんな声なんだろう。
 想像は膨らむばかりだった。
 
 そのとき後から声が聞こえた
 
 
 
 「シン君・・・!!」
 
 
 
 オレはすぐに振り返った
 
 オレはびっくりした。
 自分の目を疑った。
 オレの目の前には
 同じ高校の同じクラスのカワイイと結構人気のある
 西川まゆ(にしかわ まゆ)というコがたっていた。
 
 
 「西川さん!?なんでここにいるの!?」
 
 
 オレは大きな声で言った。
 
 
 「ごめんね、菱沼美恵子なんて人はいないの。」
 
 
 「え?」
 
 
 
 オレはまだ理解しきれてなかった。
 
 
 
 「わたし、シン君のことが好きだったんだけど、話すきっかけがずっとなかったのよ・・・。」
 
 「だから、友達にシン君のアドレスを聞いて送ったの。」
 
 「でも、なんか自分の名前を言うのがすごい恥ずかしかったの。だから菱沼美恵子っていう仮想の人物を作ってシン君とメールして満足してたの。悪気はなかったの・・・。いつか言おう、言おうと思ってたら3ヶ月も経っちゃった・・・。」
 
 「でも、もう耐え切れなくなっちゃったの、本当のこと言ってメールだけの関係から先に進みたいと思ったの!」
 
 
 
 
 そう言うとおもむろに自分の携帯電話をいじりはじめた。
 
 
 
 
 
 
 ぴろりろりん♪
 
 オレの携帯にメールがきた。
 
 
 「見て。」
 
 
 西川は言った。
 
 
 
 
 “シン君、わたし、菱沼美恵子とはもうお別れ。わたしは西川に作られた仮想の人物なの・・・。
 仮想の出来事はこれでおしまい。シン君、わたし 西川まゆと付き合ってくれませんか?”
 
 
 
 
 オレは黙ってメールを打った。
 
 西川はオレをずっと見つめていた。
 
 
 
 西川の携帯が鳴った。
 ゆっくりと折りたたみ式の携帯を開いてメールボックスを開いた。
 
 
 
 “ミエ、今までありがとう。そして、さようなら。西川、これからよろしく☆”
 
 
 
 「シン君・・・!! ・・・」
 
 
 
 西川の目からは太陽の光に当たってダイヤみたいな輝きの水が溢れていた。
 
 
 「泣くなよっ。ハズいだろ?ほら、みんな見てるって」
 
 
 と言ってオレはそのダイヤを拭ってあげた。
 
 
 
 
 
 「おい、行こうぜ。あの店前から行きたかったんだよなぁー。」
 
 「クリスマスプレゼンント買ってあげるよ!」
 
 「じゃあ、オレもなんか買ってあげる。安いやつね。冗談冗談」
 
 「あはは」
 
 「あはは」
 
 
 
 
 
 
 2つの笑い声が冬の青い空に響いていた。
 
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