- 『SAKURA (1)』 作者:ぽよよ / 未分類 未分類
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原稿用紙約2.8枚
丘の上に建つこの学園に通うものは、必ずこの桜並木の坂を登ってゆく。
春先には、風が花びらを散らし、空を淡い桃色に染めた。
「花園私立桜木女学院」
校門の看板に書かれた学校名。
生徒はもちろん、教師も事務員も全て女。下は幼稚園から上は短大まで、ほぼ全ての学科がある超エリート校だ。この街のほとんどの女たちはここに通っている。
亜季は、小学校は市外の公立校に通っていたが、両親の仕事の都合でこの街に引っ越してきて、桜木女学の編入試験を受け、奇跡的に合格した。
校内のどこへ行っても目にするのは女ばかり。気がおかしくなりそうだった。亜季は、中学生になったらたくさん恋をしようと思っていただけに、ショックは大きかった。
「おはよう、亜季!」
亜季の友人・舞が明るい声で挨拶した。
「あ、舞。おはよう。今日もきれいね、あの桜並木。」
「そうだね〜。噂だと、あの桜並木を毎年見るために入ろうとして落っこちた人とかいるんだってさ。」
「何それぇ?」
クラスは別々とはいえ、二人は亜季が入学した当時からすっかり打ち解け、もはや親友と呼んでもおかしくなかった。亜季は舞と別れ、教室に入った。
「起立、礼!!」
日直の号令が教室に響く。担任の梅園美郷は出席簿を閉じると、連絡事項をだらだらと話し始めた。
亜季は梅園先生の話を聞きながら、風が中庭に立っている桜の花を散らすのをぼんやりと眺めていた。先生の話では、あの桜は樹齢50年にもなる学校の中では一番古い木らしく、あの桜の前で祈ると願いが叶うとか。
(おまじないなんか信じるわけないじゃん・・・もう子供じゃないんだから。・・・でも・・・。)
その日の放課後、願掛けの桜の木の前に亜季の姿があった。亜季はしばらく木をじーっと眺めてから、目を閉じ、手を合わせ、こう祈った。
(どうか、新しい出会いがありますように!)
夕日が桜の木と亜季の体を、淡いオレンジ色に染める。その時だった。
突然、つむじ風が起こり、桜の花びらを巻き上げた。そして桃色の渦は、亜季の体を包んだ。
風がやんだ時、亜季の姿はなかった。
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2003/10/25(Sat)13:25:09 公開 / ぽよよ
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■作者からのメッセージ
始めましてこんにちは!
ぽよよと申します〜。
つむじ風にかっさらわれた亜季の運命はいかに!?
自作もこうご期待(誰が待つかよ)♪