- 『復讐』 作者:佐川優 / 未分類 未分類
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原稿用紙約5.75枚
1988年10月2日
大きな町の中に大きなマンションがたっていた。その5階の一番左はしには西奈という人たちが3人住んでいた。
一人は西奈翔。32歳、顔、スタイルはよく、頭もよく、背は高いのだがいまだ独身。昔、刑事をやっていたことがあった。
もう一人が西奈圭。21歳、翔の妹だ。翔と違って21でもう結婚していた。その相手がもう一人住んでいる
西奈秀だ。圭と同じ21歳。ついこの前まで翔や圭のイトコで、圭の恋人だったのに半年前から結婚しはじめたのである。
ちなみに秀は6年も前から探偵としての仕事をしている。
「ああ圭!」翔が玄関のドアノブをまわしながら圭に呼びかけた「俺先に行ってるからあとで来いよ」
「あ、うんわかった」
圭がそう返事すると翔は玄関のドアをしめ、マンションのエレベーターの方に歩いていった。
「えっ翔さんもうあの場所行ったの?」
秀が朝ご飯を食べながら言った。
「うん、秀もはやくご飯食べちゃって!」
「わかった」
「はー・・・」圭がいきなりため息をついた。
「どうした?」
「いやさーもうあれから5年もたつんだなあと思って」
「ああ・・・」
それは5年前、1998年のことだった。
圭には3人の姉妹がいた。一番上が姉で、真ん中が兄の翔、そして一番下の妹が圭だ。
今(2003年)から10年前(1993年)、圭はその3人と圭の母親と(父親は圭が2歳のときに亡くなった)秀の5人ですんでいた(秀の親は早死にしたので、圭の親がひきとった)。だが一番上の姉が結婚したため、結局 圭と、翔と秀は家を出て、今のマンションに住み始めた。
だが秀が大きくなって名探偵になりはじめたころから秀と翔の仲が悪くなり、秀は高校を入学したとたん、一人暮らしを始めてしまったのである。
そして5年後、圭と翔は二人暮らしというわけだ。
圭は学校が終わったあと、誰もいない家に帰るのはちょっと気が引けたので、翔の働いている警視庁によくお邪魔していた。
ちなみに翔は刑事で、そのころは27歳のくせに階級が警部だった。頭はいいくせに面倒くさがりやなので、ほとんど彼の仕事は迷宮入りになった事件を推理で解決することぐらいだった。
だがそんな西奈翔が気に入らない部下の草川有紀(24歳、階級警部補)はいつも上司を叱っていた。まともに翔が仕事をしないとよく蹴ったり殴ったりしていた。
いつものように学校が終わったあと警視庁にお邪魔していた圭は部下に蹴ったり殴られている実の兄を見ることになった。
「あら圭ちゃんこんばんは」警視庁、捜査一課の部屋に入ってくる圭を見るなり、草川有紀は上司の翔を蹴るのをやめたのである。
「こんばんはーお兄ちゃん、今日も派手にやられてるね」
「まーな。んじゃ圭も来たことだし俺は帰る」
「ちょっと!!」
翔は草川の言葉を無視し、一目散に外へ逃げた。
「ちっまた逃げられた」草川は舌打ちをした「はい圭ちゃんお茶」そう言ってまだのこっていた圭にお茶をだした。
「どうも。草川さんも大変ね」
「まーね。ああ圭ちゃん。まだ警部のいる車に戻っちゃだめよ。もう少しここにいれば警部が戻ってくるかもしれないし」
「あははは・・・」
「そういえば圭ちゃんと警部って今二人暮らししてんだって?」
「ああ、うん」
そこで圭は草川に親や姉やどこに住んでいるかや、秀のことを話した。
「ふーん・・・そうだったんだ、ややこしいね」
草川が納得した。
「うん」圭はうなずき、飲み終わったお茶を草川に返した。
「あー・・・聞かれたくないかも知れないけど・・・お父さんってなんで亡くなったの?」
「それがお父さんが死んだの私が2歳のときで家族の誰もそのことにふれないの。前お兄ちゃんが話してくれたのはお父さんは推理小説家で、ベストセラーもけっこうだしてて警視庁にもよく顔だしてたんだって。小説のネタもらうかわりに迷宮入りした事件解いてたって話だけど・・・」
「ふーん・・・ああごめんねこんな話させちゃって。もう警部のいる駐車場に行っていいよ。戻ってきそうにないし」
「あ、ええ。じゃまた明日も来ますね」
「ええ、また明日」
圭が部屋からでた後、草川がつぶやいた
「ホントに圭ちゃんがうらやましい」
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2003/10/17(Fri)15:59:41 公開 / 佐川優
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■作者からのメッセージ
初投稿です。なんか説明ばっかで読みづらくてすいません