- 『witch history(仮)』 作者:和樹 / 未分類 未分類
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エピローグ
平和
それは突然崩れ落ちるもの
「平和」とはこの話の主人公にとって懐かしくもあり
また今一番ほしいと望んでいるものである。
でもその願いは儚く、星に願ったところでかなうような願いではなかった。
第一章 唐突の出会い
ここは明星学園。明るく・清く・美しく(?)がキャッチコピーの
ごくごく普通の中学校だ(一応私立だが)。
キャッチコピーのとおり柄の悪い生徒は一人も居ない。
それどころか、普通は「めんどくさい」などといってパスしがちな
学校行事を毎回有り余るほどのやる気でこなす
少々熱血し過ぎの連中ばかりの学校だ。
この学校のスローガンは
「遊べ!学べ!恋せよ!」と理解の仕方によっては
「何でもOK」とも取れるなんとも気合の入らないスローガンだ。
この平和な学校に通う榊原もみじはこの平和な学校生活を満喫し
エスカレーター式で用意されている高校に通い
その先に用意されている大学に通うため受験戦争とは
無縁な生活を送る予定だった・・・あの日が来るまでは
部活にも入っていないもみじは2・3人の友達に囲まれ下校していた。
途中で友達と別れ「近道♪近道♪」と浮かれながら
いつも登下校に使っていた路地に入った。
そこにはなぜか黒猫がおり近所の人からは「なんか気味悪いよなぁ・・」
と言われてなかなか地域住民は通らない道だったが
猫好きのもみじとっては
「猫に会えるし、家と学校に行くのに近いしサイコ〜よね♪」
とお気に入りの道らしい。
悲劇はその道で起きてしまうのだが・・・。
もみじは猫に笑顔を贈った後少し小走りでその道を抜けようとしていたが
途中何かが前で光っているの見つけさっきよりも早歩きでそこに近づいた。
その光っている物の正体は安そうなペンダントだった。
そのペンダントを拾い上げもみじの一言「ラッキー!可愛いペンダント拾った♪」
・・・あんたは小学生かと言うような行動だが当の本人は
気に入ってしまったペンダントを持ち鼻歌まじりで
それもスキップをしながら家に帰った。
第二章 ご主人様ぁ!?
家に帰宅後TVを見た本を読んだりと
いつもの夜を過ごすもみじだったが今日は
宿題が出ていたことを思い出し、いそいそと自室へと歩き出した。
もみじは頭の悪いほうではないのだがこの半天然(実際は天然ではないのだが)
ゆえ授業中寝てしまうことが多くほぼ帰ってきてからの自主学習で
学校の勉強を補っているのである。
しかし今日は帰りに拾ったペンダントが気になり集中して
勉強することができず、3分ごとにペンダントを見てしまう。
「あ〜!!なんか気になるんだよなぁあのペンダント。」
それは気のせいです。
「それだけ気に入ってんのかなぁ?ちょっとつけてみるか!」
そういってペンダントを手にとり首につけた。
「やっぱり似合う〜♪このペンダントは天からの私への贈り物ね♪」
「やっぱりつける人が美しいからかしら?」
それはないでしょ・・・。「なんか今誰かに失礼なこと言われたような気が・・・」
ぎくっ・・・この娘勘が鋭い・・・
「まぁ気のせいでしょう。」
その直後下に六亡星を使った紋章のようなものが現れ
ペンダントがまばゆい光を放ち首から外れた。
「きゃぁ!な、なに!?」
外れたペンダントは紋章の真中に落ちそこから人のような形をしたものが出てきた。
そのあと光輝いていたペンダントは元に戻り地面に転がっている。
「ふう・・何年ぶりかな外の空気吸うのは」
ペンダントから現れた男がため息をつく
「何なんですかあなたは!!かってに部屋に現れて!」
いつもおとなしいもみじが怒鳴る。
男は無言でもみじに近づきもみじの顔を見つめる。
「ちょっ、ちょっと何!?」
男はまたも無言でもみじのあごを持ちあげ
「これが今度のご主人様か。今度は若いな・・・。」
男が口を開く。
「ちょっとやめてよ!!」
もみじは男の手を払い間合いを取る。
「ちゃんと説明しなさいよこの変態男!!」
もみじは叫ぶ、これ以上出ないってほど叫ぶ
「変態男とは心外ですね。私の名はフェルス=グリードです。フェルスとお呼ください」
意外と丁寧に名乗ってきたのでもみじも動揺する。
「で、そのフェルスが私に何のようよ。」
「まあ落ち着いてください。」
フェルスは軽くなだめる。
もみじは息を整えそしてフェルスに問い掛ける。
「もう一度聞くけどあなたは何しにきたの?」
「先にあなたの名前を教えてください。」
「私は榊原もみじ」
もみじは答える
「それではもみじ、少しでいいので目をつぶってください」
「えっ・・・?」
もみじは動揺した、自分の部屋とはいえ見知らぬ男の前で
視界を消すなどと言う危険な行為をしていいものか・・・
「言っておきますが怪しいことをするつもりは微塵もありませんよ」
フェルスは動揺したもみじを見てさらっと言う。
「わかったわよ。けどなんか怪しいことしたらその顔蹴り飛ばすからね。」
もみじは目を閉じる。
フェルスは何かの呪文を詠唱し始めた。
「汝の使命を受け継ぎし者、名をもみじ。汝の膨大なる
魔力の一部を彼女に分け与えよ。」
呪文の詠唱が終わった瞬間もみじの下に先ほどの紋章が浮かび上がり
もみじの体を光が包み込んだ。
(何これっ・・・なんかこの中にいると力が入らない・・・)
紋章陣が消えるとともに光も消えた。
「はぁ、はぁ・・・何をしたの?」
先ほどまでの心地よさが消え、疲れているようにも見える。
「私を作り出したマスターの魔力を少し分け与えたのです。
お前にも十分な量の魔力が体の中に眠っているのですが、
それを今のお前では使いこなすことができません。
だから使いやすく改良してある魔力を与えました。」
フェルスは真顔で語る。しかしもみじは半信半疑で
「私が魔女っ子になったって言うの?まさかね?」
「簡単に言うとそういうことになるのでしょうね・・・」
フェルスはさらっと流す。
「ちょっと信じられないんだけど。なんか証明できる?」
もみじはフェルスが現れた時より動揺している。
「そうだな・・・簡単な呪文を教えるから復唱しください。」
「う、うん」
「天と地をつかさどる精霊たちよ。その力を我に貸し与えよ。」
「天と地をつかさどる精霊たちよ、その力を我に貸し与えよ。」
もみじの下に先ほどの紋章陣が現れる。
「エボリューション!」
「エボリューション!」
もみじが唱え終わると同時に紋章陣がから出る光に包まれてしまった。
そのあとすぐに紋章陣の光は消えたが、そこに立っていたのは
中学生のもみじではなかった。
「これって私?」
もみじはわが身を疑った、背丈はほとんど変わっていないのだが
髪の長さや顔つき体つきすべてが20代後半の大人の女性になっていた。
「あなたには下手に火や水を魔法で出すより体を変化させたほうが
信じていただけると思いまして。どうですか未来の自分の姿は?」
フェルスは大人の女性へと進化したもみじに問い掛ける。
「これが私の未来の姿・・・」
「信じてくださいましたか?」
もみじは混乱して何を言ったらいいのかわからなくなっていた。
その直後体が光りだし、元の姿へと戻った。
「まだ自分の魔力がコントロールできていないから
長時間あの姿を保ちつづけているのは無理です。それに今日はじめて
魔法を使ったのだから、もう魔法は使えませんよ。」
確かにもみじの体力はもうほとんど残っていない。
未熟なものが魔法を使うと体力まで使うことになるようだ。
「とりあえず使命などの詳しい話は明日はなすことにしますので
今日はもう休んでください“ご主人様”」
「え・・・私があなたのご主人様?・・・」
疲れきっているもみじの声はとても細く弱弱しい。
「はい。ご主人様はペンダントをつけ、私を呼び出し
そして契約まで済ませています。」
「け、契約って・・・」
「そのことについては明日お話いたします。今日はお休みになってください。」
「そんな事いったってまだ聞きたいことが・・・」
もみじが話している途中にフェルスはもみじの額に手を乗せ
小さな声で呪文を詠唱するともみじはすーすーと寝息をたてて眠ってしまった。
「お休みなさいませ。ご主人様」
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2003/10/13(Mon)02:44:44 公開 /
和樹
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初投稿 緊張してます