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『生きる』 作者:はるか / 未分類 未分類
全角1474文字
容量2948 bytes
原稿用紙約5.55枚
私は琉衣に何も出来なかった___________


「葉月っ!」
琉衣が私の名前を呼んだ。毎日、昼休みになると琉衣は私のクラスにやって来る。私は、ただなんとなくだけど教室の入り口から私の席まで来る途中の笑顔が好きだ。人が居ない所を探してはくだらない話をして笑い合ってすぐに昼休みは終わってしまう。
「チャイムなったで」
『いつもいつも早過ぎやって!』
愚痴をこぼしながら教室目指して廊下を歩いて行く。秋と冬の境界線の上を歩いている様な気温だった。琉衣とわかれ教室に入ると暖かかった。まるでクラス全員の体温が溶けているみたいに。いつも通りの教室。授業も喋り声で消されて何を聞いたらいいのかも分からない。そんな中で先生の怒鳴り声が響いた。一旦は静まり返った教室もたちまち喋り声が聞こえ出した。その時の授業の内容は命についてだった。私自身、自殺とか殺しとか死ねとかいう言葉は何より好まない。真剣に先生の声に耳をかたむけ様とした所別の声が聞こえた。
「・・・いってリストカットしてたんやろ?」
最初の方が聞えなかったけど「い」と聞えた。スッっと頭を過ぎった。
「うち、リストカットした事ある・・・」
琉衣が一週間前くらいに言っていた。


『琉衣って将来の夢、変わってないんやろ?』
「そりゃあもちろん!!」
『ははっやっぱり?!頑張れよぉ!』
『てか前の学校大変だったらしいやん?』
「まぁ・・・大変だったと言えば大変だったね・・・友達も失っちゃった様な感じだったし」
『今、琉衣はここに居る。良かったやん。』
「うん・・・まぁ・・・・・・。でも前の学校は伊達じゃなかった・・・」
「っっ・・・・・・・・」
『どうしたの?』

「うちリストカットしてた・・・」

『・・・嘘っっ?!ほんまに?!』
驚いた口調で琉衣に言ったけど実は知っていた。噂で流れてたから。でも信じてなんかいなかった。琉衣がリストカットなんて・・・死のうだなんて・・・。本人の口から聞いたこの言葉はあまりに皮肉過ぎた。

嘘だ。

そんなの信じない。

いつも笑ってる琉衣が。

いくら辛くてもそんな事琉衣がする訳なんて・・・。

琉衣の声が闇の様に感じられた。琉衣が自殺しようとしたなんて・・・・・・。信じたくない。それが本音だった。でも、琉衣の声に嘘は感じられなかった。
『もうしてないよな?絶対しちゃあかんで・・・?』
気がつけば真剣な顔で琉衣に言ってた。
「もうしてへん!将来の夢考えてたから!!」
『頑張れ!!』
明るい声も雲がかかっていた。正直言って泣くかと思った。でも、駄目だ。琉衣は今はこうして明るくて私と喋ってる。大丈夫だ・・・。「信じよう琉衣を」そう心に決めた。

一週間前の事を思い出しただけで意地でも先生の言ってる事を聞こうと思った。数分でチャイムが鳴り響いた。
『もっと早く聞こうと思うべきだったな・・・』
号令の声とともに立ち上がり呟いた。HRが終わり放課後掃除をしていると琉衣がやって来た。
「葉月っっ!!明日遊ぼう!」
『勉強は?来週テストやで?!』
「ははっそんなのあとあと!」
『もうっ!私の点数悪かったら琉衣のせいやからな!!』
「んなもん知らんわ!」

今日も琉衣を信じ続けて笑い合おう。



もし、琉衣が今ここに居なかったら私は・・・どうなっていただろうか。
泣いて戻る事じゃない。
平気で生きていられるかも分からない。
泣くよ。
心の底から琉衣を呼ぶ。
琉衣が死んでいたら私はどうなっていたか・・・本当に分からないよ・・・。
琉衣が生きる事を選んでくれて本当に良かった______。
2003/12/24(Wed)08:13:59 公開 / はるか
■この作品の著作権ははるかさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
改めて読むと会話の言葉がおかしかったのでちょっと変えました。文の内容は何も変わっていません。
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