- 『a ra ta / a i [4]』 作者:さこ / 未分類 未分類
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 原稿用紙約3.1枚
 「ったく、暑いな。」
 思わずひとりごちてしまう。新はまだ上がりじゃないらしい。きっとサボりがばれて(違うけど)コーチに搾られてるに違いない。部室では暑いので校舎の影に移った。
 「はぁ・・・。」
 何度目かのため息をついていると急に目の前に影が立った。
 
 「楡崎?」
 
 ***       ***       ***
 
 ツヨクナリタイ
 ツヨク
 ツヨクナッタラ ヒトリデモツヨクナレタラ
 アタシヲミトメテクレル?
 ムカエニキテ クレル?
 
 人の集団ほど怖いモノなんて、無い。『みんなと違う』モノは排除したがる。『みんな』は、同じである事に安心し、安穏な生活を送る。
 中学の時、ある女の子をリーダーとするグループに囲まれて吐かれた言葉。
 「フフッ。あたし知ってるのよ。あなたの父親って人殺しなんでしょ?」
 父親―――私が生まれた時はすでにいなかった。母親は私を端から認めていないみたいで、そんなことを訊くことすらできなかった。陰口を言われるのは私の異常さのためだけだと思ってきたから、反抗の言葉も思い付かず、愕然としていた。 今まで投げかけられたどんな言葉より罵声より、その言葉は痛かった。
 
 ***       ***        ***
 
 「楡崎? 楡崎でしょ! ずいぶんいい御身分になったわねぇ〜。」
 目の前にいる数人の女子。
 そしてこのコ、知らずに震えが走る。
 「女子に騒がれて嬉しいの?男装までして、そっちの趣味があったのかしら。」
 「やっぱりまともには育たないのね、人殺」
 「・・・メロ。ヤメロ。っ黙れ!!」
 声も震えたが構っていられない。睨み付ける。
 引く気がないようなので自分から去ろうとすると、他の女のコ達に行く手を阻まれる。振り返るとあのコは事挙げた。
 
 「あたし達が、矯正してあげる。」
 
 
 ***       ***       ***
 
 
 マダツヨクナイ
 ツヨクナッテナイ ナレナイ
 イヤダイヤダイヤダ!!!
 ―――タスケテ
 
 
 「新!」
 
 
 
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2003/09/28(Sun)12:57:11 公開 / さこ
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■作者からのメッセージ
 [4]です。
 暗いです。果てしなく。ぎゃっ★
 これでも読んでくれた方々ホントにありがとうございます!
 あと3話くらいで終わる予定;
 初投稿で長編はムボーでした(++;