- 『Mechanical〜機械仕掛けのヒト〜 3』 作者:五月雨 夏月 / 未分類 未分類
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原稿用紙約3.5枚
「えーっとですねぇ…ジュノ君?博士ってだぁれのコトかなー?」
突然前に飛び出した不自然さを誤魔化すように、ゼロはおちゃらけた言葉とへらへらとした笑みを作った。
それに気付いたのかそうでないかは定かではないが、ジュノは怪訝そうに眉をひそめた。
「誰だ?」
相変わらず短く素っ気ない言葉に、ゼロは苦笑した。
つい先程自己紹介したばかりなのに、もう忘れるか、と。
…まぁ、あんなに騒いでた中で自己紹介やったんだ、忘れるのもしょうがない、と思いはするが。
「……っと。俺はゼロだけど?自己紹介の意味なんて微塵もねぇなぁ」
ゼロがそう言うと、ジュノはなにかを思案するように目を細めた。
…かと思うと納得したような目をする。
表情が動かない人間だと思っていたのに、些細で、そして多彩な変化を見せる。
ジュノがそんな人間だとは思っていなかったなと、ゼロはふっと笑った。
先入観だけで人を見てしまうことは、よくあること。
だが、すっかりその通りの人であることは、まずない。
ゼロは、そのことにはじめて気がついたかのような目をしていた。
「…ゼロ…か。そんな名前を聞いたような気もするな…」
(なんだ、覚えててくれてんじゃん…)
ゼロは、ジュノのその発言に、ほんの少しだけ目を見張った。
…だが、数秒後に、それが本題とズレていることに気付く。
慌ててゼロは咳払いをし、もう一度ジュノに問いを向けた。
「…で?博士って誰のことなのさ」
「お前が知る必要などない」
あまりにも早すぎる返答。
なんとなく、ゼロはこれ以上追求する術を失った気がした。
なんと言えばいいのか迷っていると、ジュノがふっと微笑った。
「…どうしても…知りたいと?」
(え?教えてくれるのかっ!?)
予想外の展開に、ゼロは困ったように眉を寄せた。
それを言葉の意味が理解できていないと思ったのだろうか、ジュノはもう一度、少し付け加えて繰り返した。
「どうしても、博士のことが知りたいというのか?」
ジュノが何を考えているのかなど理解できなかったが、とりあえずゼロはこくんと頷いた。
それを見たジュノは、昔を思い出すように、懐かしそうな表情を見せた。
「…博士…とはな……俺の父のような…存在なんだ…」
ジュノはそこまでをゆっくりと、噛み締めるように言った。
(父?博士が?まさか養子とか?)
ゼロが訳が分からないことを表情で示すと、ジュノはふっと笑った。
「……話してやるよ…。俺のこと知りたいなんて言った奴は初めてだからな」
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■作者からのメッセージ
お久しぶりです、(はじめましての人ははじめましてかな)ご無沙汰しておりました、五月雨です。
かなりスローペースな更新のため、愛想を尽かされただろうとも思ってしまいますが…気長に読んでくださると幸いです。
また微妙なところで終わらせたので…続きは早めに書きたいと思っています(苦笑
では、失礼します。