- 『アイスガール・1』 作者:岬 雫 / 未分類 未分類
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ある秋の日に。
「編入生かい?」
僕・高野祭十は校庭にある大きなもみじの木の下にたっている少女に声をかけた。
「迷ったの?この学校はひろいからねぇ。どこに行くつもりだったんだい?あんないするよ」
それは親切心からでた言葉で、少女はこちらを向いて「ありがとう」といってくれると思ってた。だけど予想に反して少女は
「迷った訳じゃない。他人の力をかりずとも、目的の場所にたどりつける」
というと歩いていってしまった。
「プライドが高いのかなぁ?人の助力は要らないなんて」
ちらりとみえた少女の顔は、端正な美しい顔だったけれど、不機嫌そうだった。
「けど、この時期に編入生かぁ、珍しいこともあるもんだ」
そう。この学校は編入生を受け入れるとしたら新学年の始まる春なのだ。
なんでまた、こんな時期に。
ここは、戦闘訓練が授業カリキュラムに入っている全寮制の学校だ。ゆえに、学力だけでなく、身体能力なども重要視される。厳しい試験に合格した者や、推薦された者(といってもなかば強制的に)のみがこのような学校にかよえる。祭十の場合は前者だ。特例の編入生もいるが、それは何十年かにいちど現れるか否か、といったぐあいである。(ちなみにこの学校にかよえるのは12歳以上である)国内外での戦いが頻発している今、このような学校は各地で増えているらしい。当然といえば当然だろう。「戦力」はいくらあってもよいのだから。むしろ多いほうがいいだろう。祭十はそのことを良く理解していた。
「戦力としてしかみられなくても、居場所をなくしたくないのなら、ここにいるほかないじゃないか!おまえもそうおもうだろう」
先日の実践訓練で、無茶をして大けがをしたクラスメートの少年が言った言葉。
祭十は心のなかでその言葉をくりかえしながら寮へとむかった。
続く
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2003/09/13(Sat)16:16:23 公開 / 岬 雫
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■作者からのメッセージ
つたない文章ですが、がんばって書いた(つもり)です。興味がありましたらぜひ続きも読んでください。(前回まで書いていたものは完結パターンがいくつもあったので、途中ですが断念いたしました。すみません)