- 『戦国記』 作者:ルクロ / 未分類 未分類
- 
	全角997.5文字
 容量1995 bytes
 原稿用紙約3.2枚
 序章 伝説
 
 時代は戦国。武士の身勝手な戦で、世は荒廃しつつあった。
 炎に包まれる村。
 苦しみに揉まれた叫び、呻き声が世に響いた。赤色の炎が村を飲み込み、灰の塊と化した村が次々と生み出されていった。特に、当時の都、京都周辺の集落は、ひどかった。灰ではない。塵だ。人体が刹那で塵になってしまう。たった一握りの、ぱさぱさした黒色の灰に。消化されず残った食物、目、髪、歯、臓器。それは炎に焼かれ、段々凝縮され、小さな―小さく丸めた餅のように道に転がった。目は白黒、臓器は様々に。青黒、赤、桃色―――・・・村の道にはそれらが吐き気のする、汚い色の調和を彩っていた。
 村人は。恐怖。そんな簡単な感情と向き合って生きたのではない。死。という恐怖に煽られ、必死に命を保とうと、生きた。我武者羅に―生きた。我が子の指の肉を食べてまでも生きようとした。我が身を食べさせても、子が生きる事を望んだ。
 
 時は戦国。正に戦乱の世―――
 その風景は、こんなものだ。
 
 ■ □ ■
 大名達は、他国を支配しようと、兵を挙げていた。ただ、他国を支配し、我が国を拡大し、いつかは将軍に立ち向かえるような国を準備しよう、と。
 
 武士たちは、主人の位を奪取しようと必死で刀を握っていた。
 下克上。位の低い御家人が、将軍の位を奪う事。それに御家人らは熱中し、中には下克上に成功し、後生に将軍としての名を残した者も存在する。
 将軍の睡眠中に刀を仕掛けたり、背後から油断を突いて斬りつけたり。身内、家来までもが信頼と安心を奪う。将軍らも決して楽では無かった。
 また、時には下克上変わって、家来同士で斬り合いになる事もある。だがそれは幼稚な思惑が、反発しあったからに過ぎない。まともに考えても、幼稚に過ぎない、馬鹿な喧嘩だ。例えば将軍を殺して位を奪うのは俺だ、お前は下克上を企むのはやめて大人しくしていろ。俺が将軍になったら、親藩くらいに―いや、大臣にしてやるから、やめろ。対して、そんなの俺の勝手だ。そういうお前だってやめろ。俺が将軍になってやる!――こんなものだ。
 さて。
 下克上や大名ら、武士らの勝手な戦乱が相次いだ、この世。戦国。
 その中、一人だけ。反戦を訴えた者がいた。
 名前は――もう残っていない。いや、誰もが知らない。
 だが、誰かは知っている。彼の名を、永遠に心に刻んでいる。
 
 阿双―――――――――
 この、名を。
 
 
 
 
 
 
 
- 
2003/09/07(Sun)09:57:58 公開 / ルクロ
 ■この作品の著作権はルクロさんにあります。無断転載は禁止です。
 
- 
■作者からのメッセージ
 えっと。初めまして。
 何となく率直な物語になってしまいました。キャラ全然でてきてませんね。名前くらいしか。しかも架空人物・・・・
 まぁ、宜しくお願いいたします。
 戦国時代。六年生以上の方、覚えてますか〜?