- 『人形の屋敷』 作者:みぬり / 未分類 未分類
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原稿用紙約3.7枚
――だって私は人形ですから――
〜紬 つむぎ〜
手に触れた瞬間、私はあの人の「人形」になった。
この身体は全て、あの人のモノになった証……。
捨てられたのだ。あいつらは私を捨てたのだ。
私は役立たずだと感じ、私だけを置いて逃げたのだ。
家に帰ったトキ、それが分かった。
あいつらは。あいつらは紙切れ一枚残して行ったのだ。
「紬、達者に暮らせよ」。と。私はあいつらを恨んだ。
お兄ちゃんもお姉ちゃんもお母さんもお父さんも憎んだ。
15歳が一人で、身寄りもなく生きていくのは不可能。
毎日のように来る借金取りから隠れていた、そんな夏の日。
あれは、神の手に見えてしょうがなかった。
「俺の屋敷で暮らそう。」
イキナリそう言ってきたあの人は手を差し延べてくれた。
…あの手につかまれば?
あの手にすがれば、私は生きていけるんじゃないか――。
思いっきり、その手を掴んだ。あの人はこう言った。
「お前は、俺の館で<人形>として扱ってやる。」
…その日から、私はあの人の「人形」となった。
あの人は、私を大事に大事に扱ってくれた。
私は、これ以上ない幸せを感じた。
あの人の近くに居ると、全てを忘れられた。
あの人の持っていた「人形」は、私だけではなかった。
皆が明るくて可愛くて…友達が出来た私にとって、
そこは至上の天国だったような気がする。
…だったのに――――――。
怖い。私はずっとここであの人の「人形」として
生きていかなければならないのだろうか?
そんなのは、イヤ。
この館に来て2年後。
私はここを出ようと決心をした。あの人にもその気持ちをつげた。
あの人は…冷笑を浮かべて私の腰まである髪を撫でた。
「あてはあるのか? まあ…行きたいんなら行けばいいさ。
その代わり…お前が俺なしで暮らしていけるかな、紬?」
…ちゃちな脅しだったのに、その言葉は私の
胸に重く響いた。
その日から、私は逃げる事も喋る事もしていない。
あの夏の日から、私はもうあの人なしでは
生きていけなくなったのだろうか?
人形は、使われてこそ価値があるもの。
だから私はここに居る。
あれから3年目の夏。
未だに私はあの方の「人形」。
人形なのだから…。
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2003/09/06(Sat)18:07:09 公開 / みぬり
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■作者からのメッセージ
未熟なので色々ご指摘
お願いします〜。
やっぱ子供ですからこれくらいの
拙い文章しか書けませんが…。