- 『Mechanical〜機械仕掛けのヒト〜 1』 作者:五月雨 夏月 / 未分類 未分類
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 原稿用紙約2.9枚
 心を持ったロボット。
 「これ」…いや、「彼」は、そう称される存在。
 「彼」は、ヒトと同じように育てられ、ヒトと同じように生きていた。
 しかし、決してヒトと同じではない。
 「彼」がヒトと違うのは、生い立ち。
 そして…その存在。
 どんなに頑張ろうと、「彼」は人間にはなれない。
 
 …彼自身の力では、絶対に…。
 
 そして…
 「彼」はある人物と出会う。
 その運命を変えることになるかもしれない、ひとりの人間に…
 
 
 〜チェンスシティ、チェンス中学校〜
 キーンコーンカーンコーン…
 退屈な授業から脱出できる、救いのチャイムが鳴り響く。
 そんなチャイムに感謝しつつ、うーんと伸びをするひとりの生徒がいた。
 彼の名は、ゼロ。
 男子なのに腰まで漆黒の髪を伸ばし、途中で赤いゴムで止めているという少々変わったヘアスタイルではあるが、それを除けばルックスもまぁまぁで友達もそれなりにいる、普通の生徒である。
 
 そんなゼロに、青い目の少年が話しかけた。
 「なぁゼロー。なんか明日辺り、転校生が来るって噂なんだけど、知ってるか?」
 突然飛び込んできたニュースに、ゼロはその漆黒の目を少年の方に向けた。
 「マジで?ルーツ、そんな情報どっから仕入れて来たのさ?」
 ルーツと呼ばれた少年は、にっと笑う。
 「俺の耳は地獄耳だぜ、ゼロっ!さっきすっごい小さい声でセンコーが話してたのを聞いちまったのさ」
 「さっすがルーツ!地獄耳では世界一競えるなっ」
 二人でにぃっと怪しい笑みを浮かべて、しばし沈黙。
 そんなことをしている間に先生が入ってきて、いきなり怒鳴りつけた。
 「コラ!ゼロ君!ルーツ君!またなの!?もう授業時間なのよ!!」
 「ハイッ!」
 二人はいやに威勢のいい声で返事をし、席に着いた。
 「あーあ…また退屈な授業始まっちまう…」
 ゼロがそう呟いたのを、先生は聞き逃さなかった。
 「ゼロ君…?授業を受ける気がないなら、廊下で立ってなさい!」
 「…へーい…ちぇっ…」
 ゼロはとぼとぼと廊下に出て、先生の怒声を背に受けていた。
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■作者からのメッセージ
 はじめまして。
 五月雨と言う者です…。
 この小説は、2年ほど前からネタを暖めていたもので…自分としては渾身の作ではあります。
 …と言っても…まだこの時点では物語のカギになる筈の「機械仕掛けのヒト」が出てきていないのですが…(ぇ
 では…少しでも気に入ってくださると幸いです。