- 『虚王のタリト 九章』 作者:piyo / 未分類 未分類
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男達が悪かったのか?
それとも孤王が悪かったのか?
それは、誰にも理解らない。
*
「!」
一斉にかかって来た男達の間をすり抜け、男達は一箇所に集まる形になった。
背後から一人目、長い刃の剣で斬り付ける。
ぎゃ、と鈍い声があたりに響き渡る。
「何時の間に――――」
バッと振り返った直後には、もう孤王の姿は無い。
斬り付けられた男がどさりと前のめりに倒れた。意識は無い。
「死ね」
勢い良く切っ先を向けて突進してきた男の剣先を自分の愛用の剣『燐榛(リンシン)』で弾き、剣の筋と注意が逸れた所を両手で柄を持ち、左の腹に燐榛を食い込ませる。途端、血が横に吹き、孤王に向かって倒れてきたのを、腹から抜いた勢いで更に心臓へと突き刺す。
ぐ、と言う最後の男の言葉を聞いたのは孤王だった。
「ふざけんなぁ!!」
横に跳んだ孤王に向けて斬りかかったもう一人の男のボロボロになった刃を燐榛の綺麗に手入れが行き届いている剣の腹で受け止め、一時二人は対峙する。
「よくやった!俺が止めを刺してやる!」
そういうと最後のひとりが横から孤王の横腹に向けて剣先を放つ。
孤王は動じずに直ぐに対峙している男の剣から離れ、懐に潜り込んでがら空きになったその身体を突進してくる男に向けてずらす。
「な!?」
「馬鹿め」
なだれ込んだ男の体に、敵に向けたはずの剣先が喰い込んだ。
味方を殺したという衝撃が最後の一人を襲う。
「終わり」
剣にずるりと男の体が雪崩れる。
抜く事が出来ずに最後の一人の意識は、頭の先から消され、終わった。
辺りが、血の海に変わる。
其処に佇む修羅は、とてつもなく不気味な歪んだ笑みを浮かべている。
―――――懐かしい。本当に、懐かしい。
くく、と小さく微笑うと、孤王はふと其処にいる人影に目が行く。
「誰だ!!」
剣先を向け、構える。
逆光に照らされた姿が徐々に明らかになる。
「お前・・・・」
その姿はまさしく、戎羅だった。
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2003/08/31(Sun)11:02:32 公開 / piyo
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■作者からのメッセージ
九章アップです。
今回ちょっと血みどろすぎたかな・・なんて思ったりしたんですが、これが無いと孤王とは言えないですし。
読んで下さってありがとうございました☆
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