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『不死身の木〜第1の巻き〜』 作者:勝嶋 / 未分類 未分類
全角1442文字
容量2884 bytes
原稿用紙約6.95枚
いきなりだが、僕は今、ものすごく大変な状況に
置かされている。


僕の目の前には、数人の不良が僕を囲うように立っている。
その真中に、僕はポツンと、冷たい汗を流しながら、
立っている。


ただ、親から頼まれた牛乳を1本買いにいこうとしただけ
なのに、肩がぶつかっただけで、カツアゲされている
ところだ。


目を回りに向けても、誰もいない。僕のめがねが、ズルッと、
左側に傾く。


      体が動かない。    逃げれない。  声もだせない。


不良が、僕に向かってなにかを言い始めた。怖くて聞けない。
けど、手もまともに動かない僕は、自然に聞こえてくる。
不良が、光で眩く反射するナイフを取り出した。


     「(もう、牛乳買いに来ないから・・・・)」


僕の心の中で、そう、くだらないことを思い浮かべる。
もうなにも見えなくてもいい。ただ、殺られるのを
待とう。


そう、思ったとき、僕と同じぐらいの背の人が、
にのん気に走ってきた。服からして、さっき牛乳を買った
店の店員だろう。


     「お客さんこまりますよ、消費税忘れちゃ」


僕は、その人がなにを言っているのかわからなくなった。
そんなことのために、ここまできたのか?

     「(そんなの・・・・・意味ないよ・・・)」


不良が、コンビニの店員に、ナイフで斬りかかろうとした。
ナイフは店員の腹に刺さった。刺さった部分が、赤く、
にじんでくる。


     「(こんなこと・・・、こんなことのために・・・)」


僕が、頭を下げてあきらめた。だが、いくらたっても、
刺された店員の倒れた音がしない。1分・・・10分・・・。
時間が無限に過ぎていく。僕が上を見ると、お金を
僕に差し出してる店員の姿があった。その表情は笑顔だった。


     「(人間なのか?・・・・血が出てるのに・・)」


その店員は、驚いた表情のまま突っ立っている不良を
見て、こう言った。


     「俺は死なないから・・・・。来てもいいよ?」


不良は、全員ナイフを片手に持ち、店員に向けて
走った。店員は、両手を合わせて、口の近くで揃えると、
なにか言い始めた。

  
     「夢涙・新聖・冥郷・化腎」

     「(御経?・・・唱えてるのかな?)」


すると、不良達は頭を抱え込み、倒れてしまった。
店員は僕のもとに来ると、立てるように手を貸してくれた。
僕が不安そうに、不良を見ると、店員は言った。


     「あいつらには、夢を見させているだけだ。
      強制的にね。地獄よりも、もっと残酷な
      夢を・・・・・。」


     「(あなたはいったい?・・・)」


口が開けない。だけど、店員はわかったように
僕を見て、こう言った。


     「俺はヒナシ。この世界にさまよいこんだ
      4人の植木を探しに来た。」


     「(植木?・・・)」


     「・・・・人が眠っているのを、狙って、
      そのまま、霊界へと連れ去ってしまう。
      それが植木の役目だ。他にも、
       種・水かけ・肥料・日光
      がいる。そいつらは、植木を成長させるための
      ものなんだ。だから植木を追っている。」


     「(・・・・・なんで・・・僕の・・・
        思っていることが・・・わかるんだ?・・)」


気がついたときには、僕は自分の家のベットだった。
そして、これから新たな事件が始まろうとしているのだ。
2003/08/22(Fri)22:04:11 公開 / 勝嶋
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