- 『地球という星は・・・壱』 作者:naoki / 未分類 未分類
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 窓から巨大な青がこぼれる。
 それは水のように清らかで緑のざわめきを予感させる青。
 その淡い光は・・・いや太陽の光を受けて輝くその球体は、ぼんやりと霞みがかった大気圏をあらわにしていた。
 知っている。それが地球という惑星なのだと。
 もちろん知っている。その星が生物に満ち溢れた、命ある惑星なのだと。
 わかっている。自分はこの惑星を侵略するための視察者なのだと・・・。
 こんなにも美しい・・・、神秘的な存在。そして巨大な存在。
 吸い込まれてしまいそうな青が強烈に目を襲う。同時に振動が衝撃が身体を、あるいは宇宙船を包み込む。
 視界が赤に変貌したのはそれからすぐだった。
 やはり強烈な振動、船の外を焦がす轟音。
 自分が地球に降り立とうとしていることが・・・わかる。
 揺れは続く。幻想に溶け込もうとしている自分が揺り起こされているかのごとく。
 しばらくして・・・・・。
 
 (ここが・・・)
 眼下に広がる広大な海。気ままに流れる雲海とその狭間から除く島々。
 なるほど、侵略しようとする気もわからなくはない。
 青や緑や茶や白・黒・・・。
 資源や生物の豊富さというような伝えられた魅力、というよりも、今視界を魅了してやまない多彩な「色」の世界がありのままを訴えている。
 数え切れないエモーションに浸っていれば、地表が近づいて来る。
 どこに着陸しようなんて指定はしない。この宇宙人はもう底無しの興奮と期待、それしか携えていないからだ。
 高度がさらに下がって地表がはっきりと映し出されてきた。
 さきほどの振動は既におさまった。ゆっくりと静かに降下していく。
 眼下には広大な麦畑が広がっていた。地球で広域に栽培されている植物だと記憶している。
 ゆっくりと、ゆっくりと。順調に高度を下げていく。
 麦の穂は宇宙船の存在も無視して、楽しそうに風に泳いでいる。
 そして・・・。
 これといった衝撃も無く、周囲にもたいした影響を与える事無く。
 地球に無事着陸した。
 (とうとう地球にやってきた・・・!)
 抜けるような青空の下、広大に広がっている豊穣の世界にいつもと変わらぬ風が吹く。
 普段と全く変わらず迎えた昼下がりに、見えない宇宙船があらわれたことなど。
 畑の虫たちさえも気付くはずはなかった。
 
 続く
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2003/08/19(Tue)19:29:58 公開 /  naoki
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■作者からのメッセージ
 宇宙人という視点から地球をみつめなおす話です。頑張って続きを書くので読んでください。