- 『虚王のタリト 二章』 作者:piyo / 未分類 未分類
-
全角584文字
容量1168 bytes
原稿用紙約2.4枚
生まれた時からの奇病。
精神を喰われ、生きる力を無くしていく。
*
彼女は屋敷の周りを囲む巨大な森に居た。息苦しくなった屋敷の中の自室から這いずるように出、そして理由も無く森の中で溜息をついた。
「・・・・」
どうしようもない。あと44日。
原因不明の奇病。
医者が言わなくても彼女は知っている。
「・・精神病」
日ごとに衰えていく体力。時には体が弾けるかと思うほどに体の中から『何か』が暴れた事もあった。
「そんなに恐ろしいか」
大木の下、彼女は俯いていた顔を目の前の大木の枝へと上げた。其処にはこの前現われた『死神』ことコバルト・ブルーがシニカルな笑みを浮かべて枝に腰を掛けている。
「俺が前に狩った、人間のことを話してやろうか」
その声は冷淡で、吐き捨てるかの様。
暫く彼女は黙り込み、コバルト・ブルーを見つめた。
ざぁッ――――――――
風が一瞬、強く吹く。
彼女の自慢だった黒髪が横に靡く。
「酷いね」
彼女は苦笑いを浮かべた。
気休めにもならない。
ただ、絶望を深くするだけで。
それもいいかも知れない。
「・・どうぞ。話してくださいよ」
彼女は溜息混じりにそう言ってコバルト・ブルーを見据えた。
風が、吹き荒れて雲が靡く。
コバルト・ブルーもまた、楽しげに『それ』を語り始めた。
-
2003/08/19(Tue)15:03:46 公開 / piyo
■この作品の著作権はpiyoさんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
こんにちは。piyoです。
この前言い忘れ(書き忘れ)てたんですけど、この「虚王のタリト」はファンタジーです。
わかりにくいなぁ・・(苦笑)
よかったら次も読んで下さい。