- 『虚王のタリト  二章』 作者:piyo / 未分類 未分類
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 生まれた時からの奇病。
 精神を喰われ、生きる力を無くしていく。
 
 
 
 
 *
 
 
 彼女は屋敷の周りを囲む巨大な森に居た。息苦しくなった屋敷の中の自室から這いずるように出、そして理由も無く森の中で溜息をついた。
 
 「・・・・」
 
 どうしようもない。あと44日。
 原因不明の奇病。
 医者が言わなくても彼女は知っている。
 
 「・・精神病」
 
 日ごとに衰えていく体力。時には体が弾けるかと思うほどに体の中から『何か』が暴れた事もあった。
 
 「そんなに恐ろしいか」
 
 大木の下、彼女は俯いていた顔を目の前の大木の枝へと上げた。其処にはこの前現われた『死神』ことコバルト・ブルーがシニカルな笑みを浮かべて枝に腰を掛けている。
 
 「俺が前に狩った、人間のことを話してやろうか」
 
 その声は冷淡で、吐き捨てるかの様。
 暫く彼女は黙り込み、コバルト・ブルーを見つめた。
 
 
 ざぁッ――――――――
 
 
 風が一瞬、強く吹く。
 彼女の自慢だった黒髪が横に靡く。
 
 「酷いね」
 
 彼女は苦笑いを浮かべた。
 
 気休めにもならない。
 ただ、絶望を深くするだけで。
 
 
 それもいいかも知れない。
 
 
 「・・どうぞ。話してくださいよ」
 
 彼女は溜息混じりにそう言ってコバルト・ブルーを見据えた。
 
 風が、吹き荒れて雲が靡く。
 コバルト・ブルーもまた、楽しげに『それ』を語り始めた。
 
 
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2003/08/19(Tue)15:03:46 公開 / piyo
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■作者からのメッセージ
 こんにちは。piyoです。
 この前言い忘れ(書き忘れ)てたんですけど、この「虚王のタリト」はファンタジーです。
 わかりにくいなぁ・・(苦笑)
 
 よかったら次も読んで下さい。