- 『虚王のタリト』 作者:piyo / 未分類 未分類
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 彼女は奇病を患っている。
 日に日に衰えていく精神、体力。
 遠方から呼び寄せた名医も、とうとう匙を投げた。
 
 言うまでもなく、彼女は絶望にくれた。
 
 あと、多くて45日。
 
 匙を投げた医者は、それだけを告げて、それだけ彼女に絶望を与えて、この地を去った。
 
 「・・・・何だって言うのよ」
 
 呟いて、だだっぴろい部屋の中で窓を見つめながら毎日過ごしていた。
 彼女は日に日に衰えていった。瞳に、生気が無くなって行く。
 
 そしてそんな彼女の前に、『死神』と称されている者が現われた。
 
 『コバルト・ブルー』
 
 コバルトブルーの瞳を持つ事から、その者はそう呼ばれている。
 
 「よぉ」
 
 窓辺に佇むコバルト・ブルーは、全身に布を纏い、かすかに宙に浮いている。
 世界最強生物種・ドラゴンを狩った事で有名な者。伝説の者。
 彼、あるいは彼女はシニカルな笑みを浮かべて寝たきりの彼女に、
 
 「もう、棺に片足突っ込んでるようなもんだな」
 
 そう言って、その部屋を去っていった。
 はは、と自嘲して、彼女はその瞳を閉じた。
 
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2003/08/18(Mon)16:39:24 公開 / piyo
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■作者からのメッセージ
 初めまして。piyoという者です。最初は序章ということで・・まだまだです。未熟ですが読んで下さい。
 
 よろしかったら、これからも読んでやってください。